APPキャンプ グループワークのタイトルと概要発表

2016.6.7

アジア・プロデューサーズ・プラットフォーム(APP)キャンプでは、アジア各国から参加する30名のメンバーが5つのグループに分かれ、それぞれのテーマをもとにリサーチを行います。以下、各グループのテーマと概要が決まりましたのでご紹介します。

今後の進捗は、随時メンバーよりON-PAMのフェイスブックにアップしますので、ぜひそちらもご覧ください。

https://www.facebook.com/PAPNMeeting/


(1)「地域におけるグローバル化戦略」横山義志

台湾で開催されたAPPキャンプでも見たように、今日のアジアにおいて、舞台芸術の地方分散化は重要なトピックになっている。日本においても、地域の劇場が東京を介さずに独自のグローバルネットワークを築こうとする動きが見られる。だが、地域コミュニティの関心との乖離などの困難が伴うことが少なくない。このグループでは、地域からのグローバルな活動の意義とその困難に焦点をあて、リサーチを行う。

特に関心を持っているのは、地域の観客にどうやってアジアの作品への関心を持ってもらうか、という問題。経験上、西洋人よりもアジア人の方が身近に出会う機会が多いのに、アジアの作品よりも西洋の作品に関心がある観客が多い。これはアジアの劇場文化に関する根本的な問題の一つでもあるように思われる。もちろん、これ以外のご提案も歓迎いたします。

 

(2)「どのようにして、アートプロジェクトの「報告書」に載らなかった痕跡を記録しうるか?」清水翼

記録する行為(ドキュメンテーション)とは?

舞台芸術において、当事者以外の人間が目にできる記録は、おもに映像や写真による上演記録や劇評などである。しかし、公演に至るまでの過程とその上演には、さまざまな人のそれぞれの時間と出来事が存在しているが、一般的な記録には、それら作品の周りにある事象は表れてこない。

作品が制作・上演された場所やコミュニティ、社会、生活、あるいは鑑賞者に、どのように影響と変化があったのか、いわゆる“記録”には表れてこないものに目を向け、その瞬間には立ち会えなかった人にその瞬間を伝達するためのドキュメンテーションという方法を探りたいと思う。

今回は、ドキュメンテーションを作品化している作家や、魅力的な取り組みをしている施設、芸術祭を運営している団体など、舞台芸術に限定せず、ジャンルを問わない視点でリサーチすることを目指す。

 

(3)「持続可能な舞台芸術活動〜拠点を持つことの可能性について」植村純子

少なくとも日本おいて、舞台芸術活動を長く続けることは、難しい。私の周辺でも、経済的理由・家庭的問題など様々な事情によって、多くのアーティストやプロデューサーが活動をやめている。また、若い人達が舞台芸術を仕事として選ぶことができず、そのため、この業界から離れてしまう例も多い。どのようにすれば、私たちはこの活動を続けていけるのだろうか?

アーティストやカンパニーが、自分達の拠点を持つ事例に注目してみる。そこには、社会(地域社会etc)との繋がりが深く生じてくる。その活動を通じて、芸術は社会にどのようにあるべきだろうか、、ということを考えざるを得ない。

また、昨今、小規模スペース同士の連帯が生まれてもいる。これはこの先、どのような展開が可能であろうか。これらのことを、「ビジネス」(社会経済活動)という視点から考えてみたい。

 

(4)「公的資金に頼らない、事業運営の持続可能性について考える」西崎萌恵

国際事業を行う際、資金調達の課題は避けて通れない。時に、公的資金を得る事ができるが、それに頼るのはリスクがある。どのようにバランスのとれた資金環境をつくることができるのだろうか?

このグループでは、近年、公的資金に頼らず国際事業を行ったアーティストとディスカッションを行う。

ディスカッションのトピックは以下のとおり

・国際事業を始めた目的

・公的資金や助成金との付き合い方

・国際事業におけるプロデューサーの役割とは何か。

・アーティストの興味を追求することと、多数の観客から支持を得ることとのバランスの取り方

 

(5)「2020年以降のアジアの社会と舞台芸術(テクノロジーの革新だけでなく)」西山葉子

東京で大祭典が開催される2020年に向けて、アートは社会を変える力を持つものとして、さらなる注目を集めるであろう。同時に、この祭典なくしても、社会は多様な要因により変化し続ける。

未来のアジアの社会における課題を共有し、舞台芸術がどのようにそれに作用するのかを探り、国を超えて協働できるきっかけを探る。

 

APP2015の様子 Photo by WANG PiCheng(TW)