第3回地域協働委員会が開催されました

ON-PAM 第3回地域協働委員会@鳥取『全国の廃校利用について』
2013年11月17日(日)〜18日(月)

会場:鳥の劇場(鳥取県鳥取市鹿野町)
ホスト:NPO法人 鳥の劇場 齋藤 啓さん
ゲスト:NPO法人S−AIR 代表 柴田 尚さん
参加委員:植村、大平、大森、小倉、野村、藤原、丸井、渡邉

■ スタディーツアー
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11月17日(日)
13時 鹿野町「夢こみち」で昼食後、鳥の劇場集合、施設内見学
14時 倉吉方面へ移動し旧明倫小学校へ
15時 倉吉市人権文化センター内の一室をお借りして「NPO法人明倫NEXT100」の活動紹介を理事長の川部洋さんより受ける。
旧明倫小学校は昭和51年に移転、一部の敷地をスーパーに売却したが円形校舎は現在まで残っている。今年1月に取壊しを市長が決定。

NPO法人明倫NEXT100は約70名の会員(コアメンバーは30名ほど)これまで明倫小学校を中心に100年の歴史がある町で、この後100年先までこの地区で暮らしたいという思いを形にする活動をしている。
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具体的な活動
○ 「仕事を作る」
地域の家庭の庭先に巣箱を設置してもらい養蜂をしている。飼っているのはニホンミツバチ。そこからとれた蜂蜜からお酒を作るプロジェクト。40名ほどの会員で、昨年は20キロほどの収穫があった。これだけではお酒を造れないので西洋ミツバチの蜂蜜も合わせて使用している。
○ 円形校舎の保存について
昭和30年代から40年代に坂本鹿名夫により100棟ほど設計されたのもの一つ。旧明倫小学校の円形校舎は全国で3番目に建設された円形の校舎で、現存するものとしては最も古い。狭い敷地でも廊下を少なくし教室を沢山とれるという利点があったことと、当時の市議会議員に建築好きの方がいたり、新しいものが好きな町内の気風がありモダンな円形校舎を取り入れた。校舎移転後は、中央公民館、各種団体事務所として活用。メンテが十分でなかったこともあり、平成18年に使用停止、平成21年に解体決定。
保存に向けた活動は平成20年から地域発見講座で内覧会を行、耐震診断をしてもらう。震度5強にも耐えられるという診断をもらったが1階部分が2階、3階部分の重さに耐えられない可能性あり、補強に1億、通常使用ができるようにするにはもう2億という試算もある。
鳥取県は建物を残すことに前向きな意見を持つが市の意向が強い上に、民間への譲渡など新たなアイデアを受け入れる窓口もない。
平成21年に明倫小学校創立100年を記念し明倫100年展を開催。これまでの記録写真を円形校舎内に展示。平成21年〜24年まで「ケーキ化」プロジェクト開催。

○ 明倫AIRプロジェクト 平成21年〜毎年1名のアーティストを招聘し初年
度は円形校舎を使用したがその後は使用できなかった。AIRを活用して建物の存続に繋げようとした。

2009年にこのプロジェクトを始めた時は当法人と鳥取大学野田先生、ディレクターを小田井真美さんの3者で企画。現在はアドバーザーとしてNPO法人BEPPU PROJEKCTが入っている。プロジェクトに外部のディレクターを入れたこともあったが、地域との関わりが薄くなってしまった。地域への有効性と地域の人にとってのアートと外側への発信のバランスに悩んだ結果、地域の人との関係を大切に進めるため、アーティストの選定から自分たちで行うことになった。プロデュース能力のあるアーティストなら、直接市民と共同したほうが、専門家の調整がはいるよりもいいという場合もある。
明倫AIRは現在、県の助成金が3年間ついているが、自力でも出来るようにと考えている。
コミュニティーとアーティストの接続を大切に10年続けたいと考えている。
今後のAIRの可能性として地元カバンメーカーと協働してデザイナーを育成するようなことも考えている。

S-AIR柴田さんより、札幌での経験をふまえて、「レジデンスはビジュアルアートで一番普及しているので、このジャンルのいいアーティストは有名なレジデンスに流れる傾向がある。うちの場合だと映画監督やデザイナーなど、レジデンスが普及していないジャンルを取り入れて成功したことがある」とのこと。日本では最近ダンス系のAIRが流行っているという話もあった。
地域づくりをしているところがAIRをオプションの一つとして取り込んだ。鳥取県の政策で「アーティストリゾート推進事業」により「暮らしとアートとコノサキ計画」事業が始まり、倉吉市として観光、文化、姉妹都市の交流などの目的とAIRが合致する。
*「アーティストリゾート」とは鳥取をアーティストのリゾートにしようという計画。地域で活動するNPO等との協働によりアーティスト・イン・レジデンス(芸術家が現地に滞在しながら創作活動を実施するもの。)を実施し、アートに関わる人材の育成とノウハウの蓄積を図ると共に、本県の豊かな自然環境と地域の人々の繋がりを活かし、アーティストが活動しやすい環境づくり(アーティストリゾート)を推進します。(県HPより)

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その具体的事業として主な事業
*「暮らしとアートとコノサキ計画」(平成24年〜)
県内で活動するNPO等が協働して、アーティストリゾート事業を全県的に展開する推進組織「暮らしとアートとコノサキ計画」実行委員会が平成24年3月に設立されました。
地域とアーティストを結びつけ、地域の歴史・伝統・魅力・生活を見つめ、解決すべき課題に向き合い、いろいろな人たちとつながりながら、既存の枠組みにとらわれない新しいアートイベントを実施しています。
本年度事業は、明倫AIR2013、鳥取県発アートスタート作品県内ツアー、フィンランド人演出家とのクリスマス舞台作品製作、AIR475、大山アニメーションプロジェクト2013

*アーティストリゾート創造事業
地域の活性化を目的に芸術家を受け入れ、遊休施設で実施される芸術活動を支援します。
平成25年度は、「鳥の演劇祭6」「ホスピテイル・プロジェクト」

自分たちが大切にしたいものがあり、それをモチベーションにして事業をしている。AIRをしたいのではなくアートを手段として使っている。
現代アートがわからないという人でもレジデンス(生活)はわかりやすい。まちづくりに関係のない人にちょっと集まってもら、関わってもらう場としてAIRがある。アーティストと場所との相性は重要で、初めてAIRをやる地域と経験のある地域では滞在するアーティストの資質も変わる。柴田さん曰く、本来AIRはアーティストを育てるための仕組み(欧米型)、まちづくりのためというありかたは日本独自ではないか?とのこと。

お話を聞いた後は活動地域を実際に視察。空き家を利用した展示やミツバチの巣箱を見せて頂いた。

17時30分終了。移動。
18時30分 鳥取県東伯郡湯梨浜町にあるゲストハウスtamiへ
さっと近所の温泉銭湯に入り、交流会。

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ゲストハウスtami
山陰線「松崎駅」近くにある、若いキュレーター三宅航太郎さん、蛇谷りえさんが運営しているゲストハウス。これまでのいきさつなどをお聞きしながら地元野菜と鳥のお鍋を頂く。2010年に3ヶ月間、岡山で「かじこ|Kajico 」というゲストハウスのプロジェクトを実施。宿泊だけでなく、泊まりに来る旅人がイベントを開催する「ゲストをホストに変える」仕組みや、旅人が暮らす生活空間の中にアーティストに滞在して作品を設置してもらうなど、ユニークな試みを行う。その後、長期的に滞在スペースを運営したいと考え、2011年、現在の町に辿り着き1年間、地域の方との関係を築き、借りられた空き家を改修しtamiをオープンさせた。1階にはドミトリー、カフェ、キッチンなど、2階はシェアハウスとしてアーティストや学生や役所の臨時職員などが生活している。この場をコミュニケーションスペースとして活用するほか県内の事業にアートコーディネーターとして関わっている。

とそんな話を聞いている中、早速、地元の方が来られる。羽合町(合併により合併により、羽合町(はわい)・泊村・東郷町の名称は、「湯梨浜町」)で国際交流事業をされている方で自身のハワイとの交流企画の紹介をして下さった。

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11月18日(月)
7時50分 tami出発
8時30分 鳥取空港にて野村さんピックアップ
8時55分 「ホスピテイル・プロジェクト」の会場である、コトメヤ、旧横田医院視察。キュレーターの赤井あずみさんに案内頂いた。またAIR中のアーティスト、レオ・カチュナリックさんに制作途中経過のビデオを見せて頂いた。

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10時30分 鳥の劇場へ
■委員会ミーティング【来年度に向けて】記録:藤原
webアーカイヴ、委員会活動を継続したい。
課題は、参加者の増加について。スケジュールを早く決めるのに加え、限定Ustream中継を行っていく。

【来年度でのテーマ設定についてディスカッション】(以下、意見抜粋)

・アートの手段に地域を利用するのは駄目だということは共有されてきているが、今回のスタディーツアーでは地域の人の側から、誰でもアーティストではなくデザイナーでも良いという発言があった。アーティストが地域にとっての手段だと言う人も出て来ている。しかしそれだけだとクソみたいなアートになって、金が尽きたら何も残せずに終わる。それだと境目は越えられないだろう。
どっちもあることをやってかなければならない。まちづくりにとってアートは手段で良いが、我々の側からは、本当に手段なのか、質は問われないのかという投げかけが必要だろう。
アートとまちづくりは、戦略的にあえてごっちゃにされている。
さらに美術・演劇・ダンス・音楽で違ってくる。

・演劇のアーティスト・イン・レジデンス(以下AIR)の場合、美術のAIRと違って、他者と向き合うことが必要となる。
この他者として関わるというということを、手段と言い切る人達は軽んじているのではないかと思う。

・AIRの発祥概念は、アーティストに何も求めないことだった。いわば作られた場所のネーミングライツ。日本では、地域の人と作品を作ったり地域交流という方に進んだ。
これには善し悪しがある。アーティスト自身が不本意ながらも、地域で通用する言い方を身につけたりすることもある。
作品づくりや交流がフォーマット化しつつあることは、一方では危険ではないか?
アーティストが地域の人と作品を作れるのか、それで何が生み出されるかについては、時間をかけて考えないと。

・Kyoto Experimentの海外AIRの成果は気になる。
裾野を広げること、参加した人たちの刺激になっていることについて。アートが主体になっている。

・住民が主体のときの成果の出し方は、難しい。

・地域とアートの関わりについて、この作品ならばこういう手法・さじ加減で成功したということは、紹介して行く必要がある。

・ダンス分野でJCDNが行っている事業と、プロジェクト型のもの(市民ミュージカルや市民劇)との比較はどうか。

・市民参加型企画について。
「やる人が地域に増える」は成功なのか?
劇団ができて続いている、ということが成功事例としてよく語られるが、評価の問題として、本当にそれで良いのだろうか。
みんながやる方になったときの胡散臭さがある。また、宴会をずっと続けさせているようなものかもしれない。
正社員で働いた人が仕事を辞めて演劇をやることになったときには、自分たちがけしかけているとも思え、罪悪感がある。

・なぜ正社員じゃなければいけないのか?
夢を追っかけてしまうだけのベクトルにいってしまうとまずいけれど、今の自分の生活や、演劇ダンスの社会における在り方を感じて、自分が選んでこれをやっていると思ってもらいたい。自分がそれを操作したというのはおごりだと思う。

・舞台芸術における市民参加型企画の成功イメージを共有したい。何が成功なのか?

・来年の中心は、「アートが地域にとっての手段なのか、地域がアートにとっての可能性なのか」ということではないかと思う。

・「観客ではない形で他者と出会いたい」という部分に、自分が満たしたい可能性があるような気がする。演劇愛好者じゃないお客さんとか。
→野外劇や鳥の劇場のお客さんにはそれを感じる

・こっち(アーティスト側)は作品で伝えたい、向こう(地域側)はこれがあることを一つの楽しみにしている、というぼんやり感。
すれ違っているが、すれ違っている状態を認識した上で、その状態が良いと見なすべき。
分かり合わなければいけないという考えだと、どちらも苦しくなる。
向こうにとって中身は分からないけれど、こっちから差し出したものを受け入れてくれる関係性を作る。
向こうの受け入れてくれるものをこちらがフィードするということではない。
そもそも出発点が違うんだから、こうなって当たり前なんだということを見ていれば良いということ。
どっちが良い、悪いではいけない。

12時 鳥取市鹿野往来交流館 童里夢にて唐揚げ定食を40分待って食す。

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■第3回委員会 13時〜
議題「全国の廃校利用について」
司会の丸井さんより、地域の舞台芸術について調査、アーカイブし、その中からテーマや方法を抽出して活用する、また事例紹介のみでなく、その中から普遍的に使えることを考えるという本委員会の趣旨説明。

鳥の劇場—齋藤さんより「鳥の劇場」活動紹介
「鳥の劇場」は劇団名であり劇場の名前でもある。公演だけでなく、この日はon-pam、12月の鳥の劇場の新作公演の稽古、フィンランドの人形劇作家のAIR(「暮らしとアートとコノサキ計画」)、「踊りに行くぜ!!」Ⅱのレジデント、鳥の劇場メンバーの目黒大路さんのダンスボックスでの公演準備と様々な人が出入りしていて、人が集まる場所が「劇場」だと感じる。
鳥の劇場は1969年に建てられた旧鹿野小学校(2001年閉校)校舎の一部と体育館、併設する旧鹿野幼稚園(1978年〜2005年)を使用している。鹿野町内にあった旧小学校3校は、いずれも幼稚園を併設していた。
劇団として自分たちの活動の場所を持ちたいと考えていた時に主宰者の故郷である鳥取市からの紹介でこの場所を使えることになった。他にも鳥取市と合併した町村議会の議場やオフィスビルの1室など候補があった。鹿野町の議場は演劇祭でも使用したことがある。私たちがこの場に辿り着いたのは偶然ではなく、鹿野町民の文化的なことへの興味(町民ミュージカルを長年続けている)と、廃校になったこの学校を活用したいという思いがいいタイミングで繋がった。
当初は「普通財産」であった幼稚園のみを借用、小学校と体育館は「行政財産」だったためすぐには借りられなかった。コミュニティー施設で占有ができなかったが、その後、事実上占有することになる。これは公演の度に客席を組むという物理的要件が大きい。
文部科学省の廃校利用への対応の柔軟化により、2010年に行政財産から普通財産への移行が報告のみで可能になった。現在の契約は平成28年まで、賃料なし、メンテナンスは自分たちで行うことが原則となっている。
現在、市としては地域のための施設なので、劇場としての補助はできないが、トイレ改修や消火栓の設置は行ってくれた。消防法、興業場法(衛生管理上常設の施設として認可)をクリアし、今後は建築基準法上は学校のままで、劇場ではないので、これらについて安全面の要件を満たした後、申請予定。法律上、住宅地に劇場は建てられないがここは大丈夫ということだった。

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場所の持つ特性として、コミュニティーの単位が小学校を中心に出来ている。元々、地域の人が集まる場所であった。ここで学んだ人が帰ってくる場所として機能し、住民参加のプログラムや、俳優やダンサーとして舞台に立つ人もいる。地域の持つ力が繋がっていると感じる。

収支はサポーターに対し毎年報告をしている。年間予算は6〜7千万、劇場の収容人数は168名、18人のフルタイムスタッフがおり、人件費はスタッフ費、出演費として文化庁の助成金に事業費として計上している。

施設面における課題は雨漏り、雨音対策、舞台上の安全面、多目的トイレの設置がある。補助金は文化がメインなので「まちづくり」系を検討している。市はこの場所の譲渡の可能性や、数年後に建物を解体し、鳥取市内中心部での活動の可能性もある。しかし、現在は市内中心部からの距離に価値を見出している。

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劇団がこの地に来ることに対して住民からの大きな反対はなかった。ある日、幼稚園に当時設置してあった黒板に「私たちの幼稚園を大切に使ってね。」との記述があり、ドキッとしたことがあった。
旧鹿野町の計画では、この場所の活用について観光客向けの物産店にする計画があったが、町の合併により、以前にあった計画は止まり、鹿野往来交流館のみ計画通りに建設された。地域の人とのコミュニケーションは、その地で一番親切な人に相談するのはバランスに欠けるので、役場の人の役割が重要であった。

事業面での課題は、現在行っている、演劇祭、劇場運営、アウトリーチ、外部受託事業、作品造りなど個々の事業を突詰めてゆきたい。作品を他の劇場で上演するための営業活動もおこないたい。

現在、劇団員(フルタイムスタッフ)18名、俳優、演出、音楽、照明、舞台、ダンサー兼制作、制作、経理が在籍。

劇場来場者の内訳は市内50%、県内20%、鹿野町内20%、県外10%。年齢層は当初20代、50代が多かったが、子ども向けの作品を上演することにより、30代、40代が増えた。
鹿野町の住民は鳥取市内へ通勤している人が多いこともあり、平日は人を集めにくいので公演は主に金、土、日。家族で来られる作品を意識している。地域に媚びず芸術だと肩肘を張っていたが地域との関係を作ってからは地元の情報を取入れた作品を作ったりしている。当初の公演アンケートには観劇体験に対してのコメントはあったが、作品にたいしてのコメントがなかった。色々な作品を観てもらい知識を蓄えてもらいたいと考えている。

「地域のための施設」を占有することについて
劇場(上演会場)として純粋に貸出す(貸館)はテクニカルや集客などの問題があり現実的には難しい。地域のイベントで鳥の劇場のスペースを使ってもらうこともあるが、場所をただ貸すだけでなく、実施に協力することが多い。婚活パーティーの一部として主宰による俳優術を使った「勇気を持ってアプローチ」ワークショップを行ったこともある。
※補足:鹿野町のダンスグループの練習やピアノ教室のレッスンに貸し出すといったことは、頻繁ではないがある。

鳥の劇場の託児室は開館当初から設置し、親が子どもを預けて観劇できるようにした。託児サポーター制度により県の補助金で運営。

市内へ出張しての学校上演に小作品を持って行く事はあるが、その逆、学校単位で劇場へ来るための足としてのバスの手配が難しい。歩いて来られる範囲の子どもたちは観劇に来る。

15時30分〜
NPO法人S−AIR 柴田さんより廃校活用例をお聞きする。
北海道教育大学で学び中学校の教員をしていた(幼稚園から大学まで経験)。在学中から不動産に関わる。S-AIRでは14年間レジデンス、展示、スペース活用などを行っている。
近年、母校にて教育大学にも関わらず、教員を目指す人は少ない。教育大学のミッションについて疑問を持った。その後、大学の授業で廃校の調査を開始。スペースも元の目的から新たな目的に「転職」させるような機会にしたいと考えている。廃校の活用に地域差がある。その土地の経済とアートの関係が密接になっている。フロンティアアートファームでは羊飼いと陶芸を廃校で行っている。
平成4年〜13年のデータでは、北海道だけで毎年40から50校が廃校になっていて全国1位。全国では400〜500校。平成16年に指定管理者制度ができたことも廃校利用に繋がっている。
廃校になる主な理由としては市町村合併、少子化、ドーナツ化、老朽化、行政の負担軽減など。
北海道の事例紹介。アルテピアッザ美唄(1991年〜)は美術家安田侃のアトリエでもあり、美術館でもあり、1Fは幼稚園として現役。
多摩美術大学学長の五十嵐威暢さんの個人美術館「かぜのび」は、2009年春に廃校となった、新十津川町の吉野小学校校舎をアート空間として改修した施設。
北海道では40年ほど前から転用があった。廃校になりそうだった名寄農業高等学校音威子府分校を、おといねっぷ美術工芸高校へ。
筬島(おさしま)の小学校跡は彫刻家 砂澤ビッキさんのアトリエとして利用。http://kuroisoba.com/bikky/
白老の飛生アートコミュニティーhttp://www.tobiu.com/ 旧飛生小学校を活用して1986年に設立された共同アトリエ。学校は公共の場ということで、たまに外に開くために芸術祭を開催。期間中、森作りとアートを考える「飛生キャンプ」を開催、レイブパーティー、コンサートが主(アイヌなどの民俗音楽も)、絵本スペース、唄を作るWS、服を売るなど、参加者はテント持参、地区の人口50人足らずのところに数百人が集まる。
地方では学校はとても立地のいいところにある。学校の歴史は街の歴史、学校はみんなで作ったものという意識がある。

学校を買うというパターンもある。企業やコレクターが学校を買って作品を展示。個人で買って自費でリノベーションして自分の作品を飾るというケースもある。
出生率の減少で生徒がいなくなり廃校となった小学校を、北海道の新冠町が公官庁のオークションにかけたこともあった。

廃校数と休校数の地域データの差について、北海道ではほとんど休校が見られないが、四国では廃校数と休校数が近い県もある。寒い地域では休校にしておくとメンテナンスなどの維持費がかかるということもあるかもしれないが、はっきりとした理由は不明。

廃校利用に関するガイドラインはあるのか?
自立的に運営するには?
例えば、廃校はGPSがなければ辿り着けないような場所にある場合もあるが、そんな僻地にもアートシーンが成立する可能性があることに興味を覚える。都市と地方ではマネジメントの手法が異なるのではないか。
各種法令がハードルで美術館、ギャラリー、スタジオと劇場など不特定多数が常に集まる場所は異なる。都市によっても手続きが違うのでは。

丸井さんより、京都芸術センターの場合、稽古場施設として活用。1年2ヶ月のテストランでいくつかの廃校でWSを開催しどこが適切な場所かリサーチ。
北海道の場合は廃校の数が多いのでもっとスピーディーに進められた。

福祉や産業で利用し、儲けが出た場合、公共へのリターンは?

齋藤さん:鳥の劇場の場合は場所を決めて3ヶ月で契約まで行えた。
困っている人と必要な人の間に廃校があり、まずは安価に場所を確保することができることと、そしてそこでの活動が学校という建物の様々な価値に波及することを示し、ここを劇場として運営できるようになった。

柴田さん:スキームの公開、地域性の理解が必要。企画書を提出して話が転がるものではなく、多様なその場への思いや、多様なそこに関わる人の思いが入り組んでいる。

丸井さん:アートは町おこしの手段なのか?手段であるというということを引受けて、大きな目的を持って進めていくべき。

京都の立誠小学校では京都市がプロポーザルを出している。
大阪の精華小学校は民間に売却された。

廃校利用についてパブリックだったものをパブリックでなくすという選択肢もある。都心部の場合は地元の意向や、商業的な利害が密接に絡んでいる。

アーティストにとっての魅力とは?
空間の魅力、スペースのサイズ、人が集まる場としての潜在的な場の価値。

柴田さん:ヨーロッパでは占拠(スクウォッティング)してオルタナティブスペースにして自費で運営しているところもある。

その地域のバランスで共同運営という選択肢もある。

造る場と提供する場のそれぞれの場で行う必然性がないとできないこと。
富良野塾の倉本聰さん曰く、住む、食べる、風呂、稽古場、劇場という順番で構築していった。

そもそも論になるが、現在の劇場が作る場になっていないので、オルタナティブスペースとしての廃校に目がいくのではないか?
本当は創作する場としての「劇場」があり、その延長に廃校という場があるべきだ。

野村さん:「サンプル」が新潟でのレジデンス時、学校にはお風呂がなく、生活インフラのないところで、集団生活することの難しさがあった。

齋藤さん:鳥の劇場の場合、劇団で生活も共同しているというイメージで話される場合があるが、生活の場と距離があるというケースもある。鹿野には生活に使える空家がなかったこともあるが、劇場へはみんな通っている。

廃校活用について、漠然としていたものに少し色が見えた。「劇場」とは、「A.I.R.」とは、「拠点を移す」とは、ということについてもっと議論を深められればと思いました。経済偏重から「まちづくり」そして「アート」を活用するという流れの中で、本当にアートはまちづくりに利用する価値があるのか問われてくるだろう。

17時終了

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