6月20日(土)開催の次回テーマ委員会in京都、第2回となるテーマ委員会は、ここ20年余で一気に増えた「公立劇場の制作者」について、ON-PAMならではの問い直しを試みます。「公共(性)」は行政だけが担ったり体現するものではないという前提は持ちつつ、日々行政との関係の中で劇場という場をつくる制作者に焦点をあてるところから、「わたしたちはなにものなのか?」という問いに向かいたいと思います。京都での開催ですが、関東圏など関西地域外の方々も日帰りで参加できるような時間・場所設定とさせていただきました。公立劇場所属の方はもちろん、そうでない立場の制作者の方々にこそぜひご参加いただき、ともに考察できればと思います。
ON-PAM委員会
年間テーマ:「あたらしい制作者」像を考える
第2回:「公立劇場の制作者」の現在地~行政と表現のはざまにて~
これまでのON-PAM 委員会等でも再三言及されてきたように、ここ20余年で公立文化施設は全国の自治体等によって次々と設置され、公的なお金をもとに舞台芸術に関わる活動を「社会化」する方向は、2012年「劇場・音楽堂等の活性化に関する法律」施行を一つのメルクマールとして日ごとに増しています。また、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会開催を契機に数々構想されるであろう「文化プログラム」をはじめ、行政が文化芸術に関わり、その現場にさまざまな立場の制作者が向き合う機会は、直接的、間接的にせよ、今後益々避けられないでしょう。
こうした状況の中、公立劇場が果たす社会的、芸術的責任はますます高まっていると言えますが、直接的に行政と関わる「公立劇場の制作者」は、いまどのような課題と向き合っているのでしょうか?
「公立劇場の制作者」は、ここ20年余で民間の劇場・プロダクション、劇団、アートNPO、フリーランス等にその出自を持つ制作者らも担うことが多くなり、いまや私たち制作者の中での“一大勢力”になりました。一方、芸術を創る側と行政とのあいだには、文化政策・制度設計から現場の細部にいたるまで、いまだ隔たりがあり、「管理型、官僚的な仕事をせざるを得ない」「舞台芸術制作者としての役割、仕事を果たせない」といった葛藤や悩みはしばしば聞かれます。ただ、それらは、各組織の個別の問題として回収されがちなため、当事者以外には、実態は、漠然としたイメージしか伝わってこないというのが実情ではないでしょうか。
本委員会では、公立劇場の現場で10年以上のキャリアを積まれた唐津絵理さん、澤藤歩さんのお二方と、昨年フリーの制作者から公立劇場へ“転職”した橋本裕介さんの3名の制作者に、それぞれの現場から見た公立劇場の制作者の置かれた現状と具体的な課題、自身が考える公立劇場の制作者の役割、そして今後への展望等を語っていただきます。
さらに京都市職員として文化政策・事業を実践するON-PAM会員の原智治さんから行政側からの視点を示していただきながら、多様な立場の制作者が集う会員とのディスカッションを実施し、ON-PAMならではの「公立劇場の制作者」像の更新を目指し、「あたらしい制作者」像の議論を進めていきます。
トーク・セッション登壇者:
唐津絵理(愛知県芸術劇場シニアプロデューサー、あいちトリエンナーレ2016キュレーター)
澤藤歩(KAAT神奈川芸術劇場)
橋本裕介(ロームシアター京都/KYOTO EXPERIMENTプログラムディレクター)
原智治(京都市 文化市民局 文化芸術都市推進室 文化芸術企画課 振興係長)
司会:武田知也(ロームシアター京都)
日時:
2015年6月20日(土)
16:00~17:30 トーク・セッション
17:30~18:30 グループ・ディスカッション
18:30~19:30 懇親会
※Ust中継あり
(現地のネット環境や機材状況により予告なく中継できない場合や、途中で配信が停滞することもありますのでご了承下さい。)
配信チャンネル:
ONPAM-event
会場:punto(JR京都駅より徒歩5分)
〒601-8011 京都市南区東九条南山王町6-3 mapはこちら
参加費:無料
お申込み:こちらのフォームからお申込みください。
※委員会への参加は会員限定です。(年会費が必要となります。当日会場でもご入会頂けます)詳細&入会申し込みはこちら
主催:ON-PAM(舞台芸術制作者オープンネットワーク)
問合せ:武田知也
※会員メールに記載の連絡先にご連絡ください。
トークセッション登壇者プロフィール
◼︎唐津絵里(愛知県芸術劇場シニアプロデューサー、あいちトリエンナーレ2016キュレーター)
お茶の水女子大学文教育学部舞踊教育学科卒業、同大学院人文科学研究科修了。舞台活動を経て、92年より日本初の舞踊学芸員として愛知芸術文化センターに勤務。2000年第1回アサヒ芸術賞受賞。14年より愛知県文化振興事業団に派遣される。07-09年文化庁文化審議会文化政策部会委員、13年度~アサヒグループ芸術文化財団選考委員、14年度~文化庁・次代を創造する新進芸術家育成事業会議委員、「劇場・音楽堂等への芸術文化活動支援派遣型」支援員等を兼務。
◼︎澤藤歩(KAAT神奈川芸術劇場)
ゼネコンOLを経て、2000年に劇団青年団制作に転身。国内公演の制作全般、キラリ☆ふじみの運営サポート、地域創造・公共ホール演劇製作ネットワーク事業「天の煙」の制作を手掛ける。その後、2005年に北九州芸術劇場に転職。制作課、学芸課を経て、2009年に神奈川芸術劇場 開設準備室に入所し、現在に至る。
◼︎橋本裕介(ロームシアター京都/KYOTO EXPERIMENT プログラムディレクター)
ロームシアター京都/KYOTO EXPERIMENT プログラムディレクター。1997年より演劇活動を開始、京都芸術センター事業「演劇計画」など、現代演劇、コンテンポラリーダンスの企画・制作を手掛ける。2010年よりKYOTO EXPERIMENT京都国際舞台芸術祭を企画、プログラムディレクターを務める。13年2月~舞台芸術制作者オープンネットワーク理事長。14年1月よりロームシアター京都開設準備室。
◼︎原智治(京都市文化市民局 文化芸術都市推進室 文化芸術企画課 振興係長)
メーカー勤務を経て、2007年に京都市役所入庁。2009年より文化芸術企画課に配属。京都文化芸術都市創生計画の改定のほか、京都芸術センター、若手芸術家等の居住・制作・発表の場づくり、KYOTO EXPERIMENT、PARASOPHIA、円山コンサート、京都薪能等の事業を担当。2014年より現職。