政策提言調査室2019年度第4回ミーティングですが、本日第3回ミーティングの議論を受けて、以下のようにしたいと思います。
制作者の職能を考える(1) 助成金の「企画制作費」を通じて考えてみる
日時:2019年4月19日(金)18:30~21:00
場所:確認中(都内、オンライン参加可)
各自、自分が申請したことのある、あるいは申請を検討したことのある助成金のフォーマットを持ち寄っていただき、「企画制作費」についてどう考えたか、お話しいただいて、制作者の職能を考える出発点としたいと思います。ここで課題を整理した上で、助成金団体の方にも直接お話をうかがう機会を作りたいと考えています。(もちろん、まだ助成金申請経験はないが興味はある、という方もぜひご参加ください。)会員であればどなたでもご参加いただけます。このテーマに至るまでの議論を手短にメモしておきます。
・舞台芸術制作者の専門性の根拠は、
①作品を知っていること(鑑賞の経験、広域的な舞台芸術事情や舞台芸術史についての知識)
②現場を知っていること(現場運営の経験があること)
の主に2つ。この2つの職能は、報酬としては、主に、
①学芸的職能(企画を立ち上げたり、大きな方針を立てる)⇨企画制作料
②現場的職能(現場の運営をする)⇨日給・報酬(フリー)/給料(組織からの雇用)
に対応(もちろん現場運営を知らずに企画を立てることはできず、両者は完全に切り分けられるものではないが)。もちろん②の報酬額を増やしていくことは重要だが、とりわけ30代以降の舞台芸術制作者が展望を描きにくいのは、①のディレクター/管理職な役割を果たして「食える」から「(まともに生活できるだけの収入を)稼げる」に至る道が見えにくいことが一因。その原因の1つは、事業費のなかで「企画制作費」の占める位置がはっきりしていないこと。これは制作者の職能が十分認識されていないこととも関わっている。制作者が予算を立てる際に、きちんと「企画制作費」を計上することは、制作者の活動の継続性を担保し、ひいてはアーティストや団体の活動のクオリティと継続性を担保することにもつながる。
これを、たとえば「管理費は総事業費の5~15%」などと一般企業が事業費の見積を出す際のような形で基準をつくっていくことができれば、制作者が長期的に活動しやすくなるのではないか、というもくろみが背景としてあります。また、「今できることは何か」ということを考えたうえでのご提案でもあります。いろいろ議論があるところかと思いますが、ぜひ多くの方のご意見を伺えればと存じます。よろしくお願いいたします。