ON-PAM | 特定非営利活動法人舞台芸術制作者オープンネットワーク

ON-PAM事務局スタッフと、YPAM2024 満喫ツアー レポート

日時:2024年11月29日(金)-12月15日(日)(YPAM2024 開催期間中)
対象:ON-PAM会員(20代の会員にはプロフェッショナル登録料を支援。先着5名)
参加方法:参加申込フォームから申し込み
参加者:20代学生会員2名、正会員2名、ON-PAM事務局スタッフ5名


Next Producers Meeting おでかけ企画 ON-PAM事務局スタッフと、YPAM2024 満喫ツアー

ON-PAMにて2022年度から実施している、次世代アートマネージャーの環境整備にアプローチする事業「Next Producers Meeting」。これまで横浜、京都、東京、豊岡でゲストスピーカーを招いたトークセッション等を開催し、全国の若手制作者や学生を対象としたつながりの場として機能している。今回は新たな取り組みとして「Next Producers Meetingおでかけ企画」と冠し、横浜で開催されている国際舞台芸術プラットフォームであるYPAM(横浜国際舞台芸術ミーティング)に参加する「ON-PAM事務局スタッフと、YPAM2024 満喫ツアー」を実施した。

このツアーは、ON-PAM会員の中から、YPAM2024のプログラムの観劇や、ラウンドテーブル、シンポジウム等に一緒に参加し、ネットワークにつなげるもの。「どの演目を観たらよいか分からない」「一人だとレイトナイト・ミーティングに参加する勇気がない」など、舞台芸術の国際プラットフォームに初めて参加する人の心理的ハードルを下げ、国内外の作品を鑑賞し、各国から参加するプロフェッショナルと交流し、最新の情報を交換する機会を共有するために企画された。

正会員2名、学生会員2名が参加し、ON-PAMスタッフ5名と連絡ツール「Slack」でお勧めプログラムを共有したり、観劇予定を擦り合わせながら、YPAMを楽しんだ。20代の会員にはYPAMのプロフェッショナル登録料をON-PAMが支援する枠組み(NPMおでかけ支援)を用意し、学生会員の2名がこれを活用。そのうち1名は、この企画への参加をきっかけにON-PAMに入会した。

参加動機として、「YPAMの鑑賞が初めてなので、識者の方々と情報共有したい」「元々行こうと思っていたが、せっかくなので事務局の方含め色んな方と感想や意見交換しながら参加したい」といった声が寄せられた。実際に、ON-PAMのネットワークを通じて、事務局スタッフのみならずYPAMスタッフ・関係者の方とも積極的に交流することができ、個人で参加するだけでは叶わない、新しい出会いやネットワーキングが実現した。

また、参加した学生会員からは「フェスティバルの研究をしており、ラウンドテーブルに参加したかったものの、プロフェッショナル登録料がネックで躊躇っていた」との声があり、「NPMおでかけ支援」の枠組みが参加へとつながった。

参加者間のやりとりは、チャットツール「Slack」の無料プランを使用。事前にYPAMの歴史や取り組み、演目・アーティストに関することを情報共有することで、自分の興味の範囲外にまで視野を広げることができた。
観劇予定はGoogleカレンダーで共有し、「〇〇さんがあの演目の19時の回に行くみたいだから私も行こうかな」といったことや、数人でタクシーをシェアすることで演目のはしごをしやすくなるなど、プラットフォーム特有の観劇プログラムを効率的に周ることにもつながった。レイトナイト・ミーティングやラウンドテーブルにも「仲間がいる」という安心感を持って参加し交流することで、参加者同士で観劇の感想をすぐにシェアし、お勧めし合うなど、お互いの関心や作品の捉え方などを交換しあえる関係性が生まれた。

参加者の感想
Mさん(四国から参加)
YPAM満喫ツアーに参加して、一人で観に行っていたら気づかなかった演目、また演劇祭の意義、日本の、世界の動向を知る、ON-PAMや満喫ツアーメンバー以外の人とも知り合う機会となり、とても充実の参加となりました!
単純に楽しかったのは勿論ありますが、地方在住だとどうしても今の舞台・芸術文化の潮流に疎くなってしまうことが多々あるため、カルチャーショックを受けに来たYPAMを一緒に観ること、話すこと、巡ることでそのインパクトを強めてくれたことをとてもとてもありがたく思います。追いつけ追い越せではないですが、在住地域から出来ること、続けていくための励みとなりました。

Aさん(学生会員)
ミーティングポイントやレイトナイト・ミーティングポイントで、様々な形で舞台芸術に関わる方々とお話しすることができ、とても貴重な経験でした!情報交換しながら観劇ができたのも嬉しかったです。YPAMの楽しみ方を知ることができたので、今から来年のYPAMが楽しみです。

Yさん(学生会員)
私は今年初めてYPAMを訪れたのですが、横浜の各地で開催されていることもあり、どのように回れば良いのか分からず戸惑っていました。しかし、YPAM満喫ツアーに参加させていただいたことで、ON-PAMやツアー参加者の方々とお話しさせていただき、多種多様な公演を巡ることができました。その中で、シーンにおいてどのような関心があり、どのような問題意識が共有されているのかを知ることができ、大変有意義な機会になりました。さらに、ツアーに参加しなければ出会うことのできなかった方々とも交流する機会に恵まれ、とても充実した期間を過ごすことができました。

個人の感想としても、この機会に観ておきたい演目は多々あれど、一人ではなかなか腰が重かったが、観に行けば「誰かがいるかも」という楽しみが生まれたことがかなり観劇のハードルを下げたように感じた。また、韓国からフリンジに参加していた劇団の演目を観に行った参加者から、Slackですぐに「おすすめ!」と共有され、上演期間内に観に行けたこと、その方が劇団のメンバーと連絡を取り、レイトナイト・ミーティングで交流できたことは、自分一人では実現しなかった出会いとなった。
学生会員と、正会員や事務局スタッフといった様々な世代・立場の方々が一緒に参加したことで、それぞれの知見や知識・人とのつながりをシェアできたことは、何よりの収穫だったように思う。ON-PAMならではのネットワークを活用した企画であり、次回以降のYPAMや各地のフェスティバルでも開催できたらと願っている。

執筆:加藤七穂