ON-PAM | 特定非営利活動法人舞台芸術制作者オープンネットワーク

キックオフ・ミーティング議事録

舞台芸術制作者ネットワーク・ミーティング(仮称)キックオフ・ミーティング議事録

2012年10月22日(月)13:00-17:00
ホテルアンテルーム(京都)にて
参加人数:89名(発起人12名含む)

進行

第1部
・舞台芸術制作者ネットワーク・ミーティング(仮称)とは?
・オープン・ネットワークとは
・舞台芸術制作者ネットワークミーティング(仮称) 設立の動機について
・団体規約の説明
・質疑応答

第2部
・3ヵ年計画の紹介
・意見交換

舞台芸術制作者ネットワーク・ミーティング(仮称)とは?

橋本裕介さん(京都 KYOTO EXPERIMENTプログラムディレクター)[発起人]:この度12名の発起人によって発足させようとしているこの組織は、舞台芸術の制作者を中心とした、国内はもとより国外にも展開していくことを視野に収めたネットワーク型の組織です。何をする組織なのかということですが、この団体を団体として成り立たせるための規約案を元に、目指す組織の概要をお話ししたいと思います。後半ご紹介する事業計画でも触れることになりますが、この団体はNPOの法人格を取得することを目指しています。ですからこの規約案も、ほぼ同じ内容で法人に移行できるよう、特定非営利活動促進法にのっとって作成しています。まず規約案の第3条「目的」を元に全体像についてご説明したいと思います。我々発起人が議論を重ね、特に下線部の言葉にこの組織の意図するところを盛り込んだつもりです。


第2章 目的及び事業

(目的)

第3条

この団体は、舞台芸術を推進する者が、主体的に参加する制作者を中心としたネットワーク国際的に構築、有機的に継続させ、舞台芸術が多様な価値観の発露として社会に活力と創造性をもたらすという認識の元に、同時代の舞台芸術の社会的役割定義と認知普及、文化政策などへの提案・提言、その他この規約に掲げる種類の活動・事業を行なうことで、舞台芸術の発展に寄与し、もって社会全体の利益の増進に寄与することを目的とする。


まず初めに、このキックオフ・ミーティングが、東京ではなく一地方である京都で始まったことの重要性についてお伝えしたいと思います。なにも「東京より京都だ」というようなお国自慢をするのではありません。むしろ、実際に顔を合わせる場所は、どこでも良いということがネットワークの形成にとって重要なのです。量の面で考えれば、東京に多くの人やモノが集約されていることは事実です。

ですから、なにがしかの全国規模の組織を考えれば、東京で済ませれば効率が良いのかもしれません。しかし、今組織しようとしているのは、点と点つまり個人個人のつながりと言っても良いかもしれません。詳しくは規約の「会員」についての説明をお聞きいただきたいと思いますが、このネットワークの正会員としての参加資格は、個人です。どのような組織に属しているかは二の次であって、逆に言えば組織における役割を代弁するためではなく、舞台芸術に携わる個人が主体となっていて、それらをつなぎ、それが恒常的に機能するものでなければなりません。

ですから、中心と言う概念を出来るだけ持ち込まないように意識しています。今回は京都でしたが、京都を中心としようとしているのでもなく、場所はつぎつぎに変えながら、集っていくことになると思います。
次に制作者が主体となったネットワーク組織ということの重要性について述べたいと思います。この組織の目指すところは、舞台芸術が発展していくことだけに留まりません。これはあくまで通過点・手段であって、舞台芸術の振興を通じて、最終的には社会にとって有益な結果をもたらすことを目指すものです。

ですから、特定の成果を達成することのみを目的とするのではなく、また業界の利益を代弁するための組織とはなりませんし、制作者どうしの親睦サークルでもありません。これまで日本の舞台芸術の状況が大きく変動してきた背景には(もちろん目に見えないところでの多くの方々の尽力があったことは確かですが)、ある重要なタイミングでは著名な実演家の鶴の一声のような働きかけが事態を変化させてきたことは否めません。

いわゆる「神輿に担ぐ」というパターンです。果たしてこれでいいのでしょうか?表現者はあくまで自身の表現で世の中と向き合うべきで、彼ら彼女らの興味はそのときどきで変わるでしょうし、社会における彼らに対する評価も変化するものです。将来の状況を見通すようなビジョンを、そこだけに委ねていても良いのでしょうか?もし私たち舞台芸術の制作者が舞台芸術の可能性を信じているのであれば、制作の実務を通じて日々社会と接しているわれわれ自身で、同時代の舞台芸術の社会的役割の定義と認知普及を行わねばならないと考えます。

さらには、社会の中で芸術がどうあるべきか、状況を自ら更新していく意志を持って、文化政策などへ具体的にアドボカシーを行う必要があると思います。それは対行政だけではなく、芸術に関わる民間の企業やNPOそして実演団体といった業界に対しても、提言・提案を行っていくことだと言えるでしょう。とはいえ、提言・提案といったアクションを実行するためにも、まず私たちは有効な知識や情報を手に入れなくてはなりません。それをこのオープン・ネットワークによって共有・交換しながら手に入れていきたいと思います。

このネットワークは別のネットワークと特定の目的においてはつながることも出来ますし、このネットワーク内でサブネットワークを作ることも出来るようにして、より具体的な目的に特化した集まりというものを組織することを可能にしようと考えています。それが、規約案でいうところの「委員会」というものになります。委員会の規定は別途定めますが、おそらくこのネットワークの主な事業は、委員会の活動になると思います。現在舞台芸術を取り巻く状況の中で深く学ぶ必要のあることであったり、対策を講じなくてはならないトピックについて、個別に委員会を組織することになると思います。

今後3年間の間にどのようなトピックに委員会で取り組むのかということが、後半の事業計画の発表の中で説明されることになります。今やもう、「のるかそるか」ではないと思います。立場を超えて、あらゆる困難や課題に取り組むべき時だと思います。皆さんのご参加をお待ちしています。


塚口麻里子さん(東京 PARCー国際舞台芸術交流センター)[発起人]:オープン・ネットワークとは何かということを説明するためにネットワークの種類についてお話します。

ネットワークの種類について
(1)アソシエーション
ヒエラルキー構造をもつ組織形態です。
意思決定もトップダウンで行われ、いわゆる「協会」もこの種類の構造です。
(2)プロジェクト・コンソーシウム
特定の目的のために集まったネットワーク組織で、そのプロジェクトが終わると解散します。何館かの劇場で作品をまわすツアーや共同製作がこの種類に属します。
(3)オープン・ネットワーク
ヒエラルキーのない、水平構造を持つネットワークのことを指します。
互いの活動や文化を理解するプロセスを経て、新しい価値を創造し、有機的に持続性のあるネットワーク。メンバーシップの更新が重要で、自由に入会、退会、そして必要になったときに戻ってくることのできるネットワークです。

オープン・ネットワークとは?
(1)入会、退会、再入会の資格に制限を設けず、成員間のヒエラルキーを生むようなメンバーシップ体系を持たない組織です。
(2)実現目標の達成をもってのみ存在意義を得るのではなく、異なる関心を持った成員の多様な活動を通して有機的に継続する組織です。
この意味で、プロジェクト毎に解散するプロジェクト・コンソーシウムとは違います。
(3)ネットワークの内部でより目的的で、コネクティヴィティを持った人が集まる小規模のサブ・ネットワークを作ったり、ネットワーク間でネットワークを形成したりできる組織です。

今回、自主的に制作者のネットワークを立ち上げようとしている人達で集まり、オープン・ネットワークの概念のもとにそれぞれの概念を理解し共有、交換しながら価値の更新を行うこの舞台芸術制作者ネットワーク・ミーティングを設立しようということになりました。


舞台芸術制作者ネットワークミーティング(仮称) 設立の動機について

伊藤達哉さん(東京 ゴーチ・ブラザーズ 代表取締役/プロデューサー)[発起人]:設立の背景、経緯についてお時間をいただきたいと思います。まずは、1990年以降、急激な変化をとげている舞台芸術を取り巻くわが国の文化政策の流れを簡潔に追いたいと思います。1990年に芸術文化振興基金が設立、1996年に「アーツプラン21」が創設されこれ以降、文化庁を中心に舞台芸術の創造団体や劇場への支援制度が大幅に拡充されてきました。

また1997年には新国立劇場が開場し、現代舞台芸術の分野で国が本格的な公演事業を開始しました。続いて2001年、文化芸術振興基本法が施行されます。これにより、芸術家の自主性や創造性の尊重、国民の鑑賞・参加・創造の環境の整備など、8項目の基本理念が定められ、国や地方自治体の責務が明文化されました。2007年2月には、基本法に基づいた第二次基本方針において「文化力」という言葉が使われ、「文化芸術立国を目指すことが必要である」ことが閣議決定されています。

一方、行財政改革の流れの中で、特殊法人だった日本芸術文化振興会、国際交流基金等が2003年、独立行政法人に移行されます。また、小さな政府の実現に向けた「官から民へ」の流れの中で、同じく2003年の地方自治法の改正によって「指定管理者制度」が導入され、地方公共団体の設置した公立文化施設の運営が民間事業者に開放されました。その結果、文化政策の分野でも、従来以上に効率性や透明性が求められ、政策評価やアカウンタビリティが重視されるようになっています。こうした動きと並行して、アートNPOの活躍も全国各地で注目され始めました。

1998年のNPO法施行から10年間でその数は2,000件以上に達し、中でも中間支援型のNPOが様々な分野で芸術文化の振興に重要な役割を果たすようになっています。そして2006 年、公益法人制度改革関連3法案が国会で可決され、財団法人や社団法人の設立が大幅に容易になり、公益財団・社団には様々な税制上の優遇措置がとられるようになりました。これら民間の非営利・公益団体は、これからの日本の舞台芸術の振興にとって、重要な役割を担うことが期待されます。

私が常務理事を務める日本劇団協議会も2012年4月より公益社団法人となりました。このことにより、演劇の公益性ということがこれまで以上に理事会の議題に上がるようになりました。2009年、政権交代を果たした民主党によって鳩山内閣が発足します。2011 年2月(8日)、基本法に基づく第三次基本方針の中では「『文化芸術立国』を目指すべきである、というより強い表現で閣議決定されています。この中でも特に注目すべきが、芸術文化振興会にアーツカウンシルに相当する新たな仕組みを導入するとして、まずは音楽と舞踊分門において2011 年度よりPD、PO を設置、2012 年度より演劇部門においてもPD、PO の運用が始まりました。そして2012年6月には、劇場・音楽堂等の活性化に関する法律、いわゆる劇場法が議員立法で成立・施行されました。

2010年、鳩山政権発足とともに俄に現実味を帯びた劇場法に対応する人材を育成する目的で、セゾン+アゴラ共催による勉強会が開かれました。主に30歳未満の演出家、制作者たちが集まったわけですが、制作者たちが現場を離れて定期的に集い学ぶことがいかに有意義かということを実感します。その繋がりから、青年団の野村くんとプリコグの中村さんと3人で継続的に集まり次なる動きを模索していく最中、2011 年、東日本大震災を迎えます。私自身、吉祥寺シアターで公演を行なっていたのですが、原発事故の影響で公演中止を余儀なくされました。

震災の混乱の中、様々な会合が場当たり的に行われるような状況が続き、有効な手だてがとれたとは言えず、新しい時代に対応したネットワークの必要性をあらためて感じるとともに、制作者という職域の存在が成しうる可能性もまた強く感じました。いま全国の同世代の制作者は何を考えているのだろうか、問題意識を共有したいという思いで、中村さん、野村くんとで声をかけあい京都にて制作者たちのミーティングを行いました。この集まりが今回のネットワークのひとつの母体となりました。このネットワークが政策提言、基盤整備、そして舞台芸術制作者がプロフェッショナルの職能となるような自らの研鑽の場と人材育成の場にしていきたいと思っています。

川口聡さん(東京 Next-ネビュラエクストラサポート)[発起人]:Nextがネットワークの必要性を感じたのは昨年の東日本大震災の時でした。関東では3.11以降、数日にわたり断続的な余震が続き、食料や石油の供給不安が起こり、鉄道各線も停止や再開や一部復旧など刻々と状況が変わりました。また原発事故の影響が関東圏にどの程度及ぶのかや、計画停電の実施とそのエリアの情報が錯綜しました。さらに公演を自粛すべきとの声もあがるなど、公演の上演の判断を難しいものにしたさまざまな事態が発生しました。

地震や事故の発生によって、各劇場、各公演の制作者は、安全性の確保や、避難誘導の方法やアナウンスをいかに行うか、上演中止か実施か、中止の場合は観客への伝達方法をどうするか、上演されなかった公演の費用負担をどうするか、前売券の払い戻しを行うのかなど、重大な判断をすぐさま行っていく必要性に迫られました。そうした危機時に、いかにプロデューサーや制作者が、迅速に各劇場、各カンパニーの対応の情報を共有し、自らの公演の対応を決めていくのかという、「危機時に情報を共有するネットワーク」が必要だと感じました。

これは、その年の夏に予定されていた計画停電や節電の懸念や対策、東北の被災地地域への支援、また公民館などの公共施設の節電対応としての夜間利用停止によってカンパニーによっては稽古場確保が困難になったことにおいても同様です。Nextでも情報共有や危機対応のためのミーティング開催やウェブ上で情報共有の場を設けましたが、さまざまなグループが、対応を協議したり、行動を起こしても、おのおのの個別のネットワークの範囲に留まっていたように思います。Nextは、そうした危機時に対応できる包括的なネットワークとして『舞台芸術制作者ネットワークミーティング(仮称)』の設立を協議してきました。

同時に、「舞台芸術」が蓄積してきた、「人間の関係性に対しての認識」や、「価値観の多様性こそが人の意識や考え方を更新する力となること」や、「問題や課題への洞察力」は、現在の社会の課題解決への重要な「考え方」や「先見性」を内包していると思っています。そういった「舞台芸術」の持つ力を共有し、社会や市民、行政に各々がアドヴォカシーし、継続可能な舞台芸術の世界を構築するとともに、舞台芸術があることの重要性を社会に認知していくため、舞台芸術の制作者を中心としたネットワーク組織が必要だと考えています。

丸岡ひろみさん(東京 PARC-国際舞台芸術交流センター)[発起人]:1995年から始まった東京芸術見本市(TPAM)、2010年に見本市からミーティングへ、会場を東京から横浜に移して、名称も国際舞台芸術ミーティングin横浜に変わりましたが、その名前の催事のディレクターを、2005年からしています。ネットワークというのはすごく曖昧で見えづらいもので、もしくはネットワークのためのネットワークとみなされることもある、ある意味冗長さを伴うものです。劇団をやっている方は、高い機動力と素早い意思決定というものに慣れているかと思いますが、ネットワークというのはゆるやかで冗長な側面を持っています。

TPAMというのはプラットフォームです。つまり場所ですね。毎年一定の同じ場所で繰り返し場所が提供され、皆さんが集まっていただくような仕組みです。しかし、ネットワークというのは人です。人と人がどのようにつながり展開されていくかということは、数量では図りづらく顕在化もされにくいものです。プラットフォームやこういった集まり、フェスティバルもそうですが、それ以外でも、私たちは個人で仕事をしているつながりというのが無数にあるわけですけれども、それをどのように顕在化していくかという仕事をしてきました。

人と人とのつながりはそれ自体が財産で、その財産であるつながりを展開する為の新しい出会いを求めても、自分の仕事の中にだけにいるとなかなか展開しづらいものです。なので、その展開が期待できる機会のひとつがプラットフォームです。プラットフォームとネットワークの話をしますが、まず、世界的にもプラットフォームの多くは公的資金でささえられ、一定の場所に付属し支えられているものがほとんどですが、そのプラットフォームがなくなってしまうと、その場所や機会を使ってつくられ続いていたネットワークが、消えてはしまいませんが、非常に薄いものになるということがよくあります。

例えば関西では大阪に見本市がありましたが、それが大阪の事情でなくなってしまう。するとそこで培われたネットワークも継続していくのが難しくなった。プラットフォームがある事で、人と人の繋がりであるネットワークが個人だけに付随せずにシェアできる仕組みを作っていけるが、そのプラットフォーム自体が実は儚い構造の上にあるということが課題だと思います。この舞台制作者ミーティングが目指しているオープン・ネットワークの特徴の一つにメンバー制であるということがあります。

これからメンバー制のネットワークは大きなプラットフォームを開催する予算がそれ自体になくても、ネットワークの情報をシェアしていくという作業は少なくともメンバー間で維持されるのではないかと思いますし、各地で開催されるプラットフォームやフェスティバルと協力して、具体的に集まる機会も創れる。つまり、プラットフォームが先ではなく、ネットワークが先、とい構造を創る事ができるし、必要ではないかと思う訳です。

ところで、TPAMのようなプラットフォームは世界中にあり、そこに参加する事で、個々人の持つネットワークをつなげ拡大したり、交換したりということが多々ありますが、日本ではそのつながりも個人にのみ付属されがちです。なので、海外からは日本の窓口というのは限られた少数の個人に頼らざるを得ないとまだ見なされている。2005年当時にTPAMのディレクターを始めた時に驚いたのが、20年前から同じ様な人たちだけがまだ日本の顔になっていた。これは不健全だろうと。で、海外のプラットフォームなどと協力して、日本の新しいプレゼンターを積極的に送りだして、新陳代謝を図ろうとTPAMはしてきましたが、現状に比してまだ少ない。もっと多くの顔が見えるようなしくみが必要なのではないかとずっと思っていましたが、このネットワークがそういうものになればと思います。

もうひとつ。国際ネットワークはいらないと思っている人もおいでかと思います。でも私たちは今、舞台芸術という仕事を通じてどのくらい新しい価値の創造ができるのか、今自分たちの世界、状況自体を、芸術という抽象的なものを通じて変えていこうというミッションを制作者が持っていると思うならば、外の視点というのは必要になってくると思いますし、実際に、私たちが歴史上、世界のどこの地点にいるのかということを確認できたり、それは新しいアイディアをもらえることもあるだろうし、その逆もあるだろうという事を考えると、国際ネットワークというのは非常に大事なのではないかと思っています。

野村政之さん(東京 こまばアゴラ劇場制作)[発起人]:このネットワーク・ミーティングのきっかけの一つ、2010年度に公益財団法人セゾン文化財団とこまばアゴラ劇場の主催で行った「創造型劇場の芸術監督・プロデューサーのための基礎講座」を企画・運営していました。90年代後半から公立施設や公立機関の助成制度が拡充されてきて、00年代の文化芸術振興基本法、そして今年の劇場法成立という流れがあります。そうした中で近年でも、優れた劇場・音楽堂の創造発信事業ほか助成制度も改定され、基本的には、劇場への助成が拡充されて、だんだんと舞台芸術に対する公的支援が広がってきています。

また、劇場法成立によって文化予算が増えるというような動きも、とりあえず背景として視野におさめておきたいと思います。そうした中で、先ほどお話しのあった、「国際的に外に向いている日本のアーティスト・プロデューサーの顔が変わらない」のと同じように、公立劇場を担うプロデューサーの顔も、公立劇場が数々できた10年〜20年前とほぼ変わっていませんし、プロデューサーが変わらないなかではプログラムされる芸術家も、取り組みのコンセプトも大きく変わらないと思います。

もう一つの背景として、この日本の経済が縮小する方向に向かっていて、廃校や過疎村など、経済原理で隙間ができたところにアートプロジェクトや新しい文化施策が施されるということが近年進んできています。このように経済原理と違う力で文化をなるべく国民、住民一般に享受できる環境を作っていくことが広まっているなかで、では経済原理や人気ではないどのようなあり方が望ましいのか、議論の場が必要であろうと考えます。

以上のように、助成金制度やプロジェクトという形で、公的なお金が実際に私たちの現場に入ってきているなかで、主催となる公的機関と私たち芸術団体がどう関わるのか。実際、公立劇場で創作したほうが枷がキツいというような状況もあります。そういったことについても、各地域の文化状況を踏まえて、日本全体の文化芸術、舞台芸術のことを国内の立場から一緒に考えていくということが、このネットワークでできればと思っています。

小倉由佳子さん(兵庫 アイホール(伊丹市立演劇ホール)ディレクター)[発起人]:コンテンポラリー・ダンスのフィールドから話をしたいと思います。2001年、JCDN(ジャパン・コンテンポラリー・ダンス・ネットワーク)というNPO団体の活動によって、地域間の活動を促進していくネットワークであったり、アーティスト、芸術、劇場、プロデューサーをつないでいくような活動が精力的にされています。

演劇に比べると、アーティストも取り扱う劇場もプロデューサーも、数が少ないため、かなり顔が見える密度の高いネットワークが、オフィシャルにしてもアンオフィシャルにしても形成されている状況にあると思っています。ただダンスといっても、演劇や現代美術や音楽といったジャンルに接近したような多様な表現になってきたり、そういった状態の中で、ダンスのネットワークの中では解決しきれないような問題や、もっと広いネットワークを必要としている状況があります。

密度の高いネットワークということを活かして、例えばアイホールで海外のカンパニーを招聘したいという事業企画を出した時に、同じような志向を持ち、予算、劇場の規模が同じような劇場をネットワーク化して企画を立てるとき、あの劇場に声をかけようという顔が見える形でのネットワークはできていますが、それがかなり限られたネットワークになってしまっていて、新しい人たちに出会ったり、新しい人脈というものを作っていくのが難しいと、最近感じていました。なので、このような新しいネットワーク、具体的なものを含めたネットワークの必要性を、ダンスのフィールドからも求めています。

あと、私は公共劇場をベースに仕事をしていますが、今の様々な問題を考えていくとき、自分の所属している団体のノウハウを積み重ねていくだけでは対応できない、もう少し広い意味で舞台芸術というものをみんなで考えていくような時期に来ているのではないかと思って、ネットワークに参加したいと思っています。公共劇場に関しても、劇場の仕事を通して他の劇場の方に出会ったり、ネットワークを築く機会は多くあると思いますが、個人個人がプロデューサー、制作者という自覚を持って、個人単位で参加していくネットワークになればいいと思っています。


団体規約の説明

(活動の種類)
第4条 この団体は、第3条の目的を達成するために、次に掲げる種類の非営利活動を行う。
(1)社会教育の推進を図る活動
(2)学術、文化、芸術の振興を図る活動
(3)国際協力の活動
(4)子どもの健全育成を図る活動
(5)前各号に掲げる活動を行う団体の運営または活動に関する連絡、助言または援助の活動

(事業の種類)
第5条  この団体は、第3条の目的を達成するため、次の各項に掲げる事業を行う。
(1)国内外の芸術家及び舞台芸術関係諸団体とネットワークを結び、情報共有や情報発信を行う事業
(2)舞台芸術に関する内外諸問題の調査と研究及び政策提言
(3)舞台芸術の担い手に関する技術向上、情報集積のための事業
(4)舞台芸術の創造、公演、普及を促進し、その価値を向上し発展させるための事業
(5)その他目的の達成のために必要な事業

(委員会)
第6条  第3条の目的を達成するために、正会員によって構成する委員会を設ける。
2 委員会の組織及び運営に関する必要な事項は、理事会の決議により、別に定める。

川口さん:『舞台芸術制作者ネットワークミーティング(仮称)』の大きな特徴は、「委員会=ネットワークの事業」という点です。ネットワーク内で、数年単位で調査研究、政策提言を作成する、さまざまな委員会を立ち上げ、調査と研究及び政策提言、舞台芸術の担い手に関する技術向上、情報集積のための事業、舞台芸術の創造、公演、普及を促進し、その価値を向上し発展させるための事業、その他目的の達成のために必要な事業を行います。数年間で入れ替わっていくこの「委員会」こそが「目的の達成の方法」となり、「ネットワーク」の「事業」となります。

(会員の種別)
第7条 この団体の会員は、次の各号に掲げる3種とする。
(1)正会員:この団体の目的に賛同し、第7条第1項の所定の手続きを経て入会した舞台芸術活動を推進する個人で、議決権を有するもの
(2)賛助会員:この団体の主旨に賛同し、その活動を賛助・支援する団体または個人で、第7条第2項の手続きを経て入会し総会における議決権を有しないもの
(3)学生会員:この団体の主旨に賛同する学生で、第7条第2項の手続きを経て入会し総会における議決権を有しないもの
※総会において議決権を有するのは、「“個人”として参加する“正会員”」のみということになります。組織が参加して、その組織を代表して誰かが参加する形態ではなく、あくまで個人が個人として参加する形態になります。

(入会)
第8条 この団体の正会員となろうとするものは、入会申込書を提出し、理事会の承認を得なければならない。
2 この団体の賛助会員になろうとするものは、会員の種別を記載した別に定める入会申込書により理事長に申込むものとする。

(入会金及び会費)
第9条
(1)会員は、総会の議決を経て別に定める会費を毎年納入しなければならない。
(2)会員は、総会の議決を経て別に定める入会金を入会初年度に納入しなければならない。
(3)年会費、入会金の額は、総会で定める。

(退会)
第10条
会員で退会しようとするものは、別に定める退会届を理事長に提出し、任意に退会することができる。
2 会員は、次の各号のいずれかに該当するときには、理事会の議決を経て退会したものとみなす。
(1)本人が死亡または失踪宣告を受けたり、団体にあっては解散したとき
(2)正当な理由なく会費を1年以上滞納し、相当の期間を定めて催告してもそれに応じず、理事会において退会と議決したとき
(3)除名されたとき

(除名)
第11条
会員が次の各号のいずれかに該当するときには、当該会員に事前に弁明の機会を与えた上で、理事会の議決を経て当該会員を除名することができる。
(1)この団体の名誉を著しく傷つけるか、またはこの法人の目的に反する行為をしたとき
(2)この団体の定款または規定に違反したとき

橋本さん:続いて、会員がどういう風な構造になって事業をしたり関わったりするかをお話していきたいと思います。まず、総会というものがあります。正会員の人たちが年に一度集まるのが総会です。

(権限)
第13条 会員総会は、次の各号について決議する。
(1)定款の変更
(2)理事及び監事の選任又は解任、理事長候補者の選出
(3)貸借対照表及び損益計算書(正味財産増減計算書)並びにこれらの附属明細書の承認
(4)長期借入金及び重要な財産の処分又は譲受け
(5)解散及び残余財産の処分
(6)その他会員総会で決議するものとしてこの定款で定められた事項

(開催)
第14条 会員総会は、定時社員総会として年1回、毎事業年度終了後3か月以内に開催するほか、必要がある場合に臨時会員総会を開催することができる。

橋本さん:定足数や召集は何日前、というのは、NPO法人の特定非営利活動促進法に則っています。

(役員等及び監査人の種別)
第22条 この団体に次の役員を置く。
(1)6名以上20名以内
(2)監事2名又は3名
2 理事のうち、1名を理事長、とする。

橋本さん:役員というのは理事のことです。6名以上20名以内としておりますが、これは明確な根拠ではなく、今のところ、我々12人の発起人が中心となって、最初の年度の理事になるであろうということで準備をしているので、ちょうど真ん中くらいの数と設定して、その幅を持った数にしています。

(役員の職務及び権限)
第24条 理事は、理事会を構成して、この定款に定めるところにより、職務を行う。
2 理事長は、この団体を代表し、団体全体の取りまとめをする。
3 副理事長は、理事長を補佐し、理事長に事故のあるとき又は理事長が欠けたときは、その職務を代行する。ただし、理事長の職務代行者の順序は、あらかじめ理事長が決めておくものとする。
4 常務理事は事務局長の職に就き、理事長の指示を受けてこの団体の事務を掌る。
5 理事は理事会の構成員として、法令、定款の定め、および総会または理事会の議決に基づいて、この法人の業務を遂行する。
6 監事は次に掲げる職務を行う。
(1)理事の業務執行の状況を監査すること
(2)この団体の財産の状況を監査すること
(3)前2号の規定による監査の結果、この団体の業務または財産の状況に関して、不正の行為または法令もしくはこの定款に違反する重大な事実があることを発見した場合には、これを総会または所轄庁に報告すること
(4)前号の報告をするために必要がある場合には、総会を招集すること
(5)業務執行の状況またはこの団体の財産の状況について、理事に意見を述べ、必要により理事会の招集を請求すること

橋本さん:理事の中でも役割が三つあります。まず理事長。要はこのネットワーク・ミーティングの代表者に当たる人です。次に副理事長。理事長に何かあったとき、代わりを務める人です。そして常務理事といって、日々いろいろな業務を行っていくわけですけれども、理事の中から常務として事務局長を兼ね、毎日仕事をしてもらう人を設定しようではないかと。皆さんもご経験があるかもしれませんが、大きい組織があったとき、理事が結構好き放題言って事務局の人が駆けずり回るみたいな大変な思いをして事務局に入っておられるような方も多いと思います。

その苦しみを私たちも想像しており、理事が好き勝手なことを言ってはいかんだろうと思い、理事も責任を持って事業の内容を決めていくということで、理事の中で一人、生け贄として(笑)常務理事が決まるというような形で行こうと思います。理事及び監事は総会で決まります。一般的には理事長・副理事長および常務理事は、理事の互選ということにしていますが、試しに理事長を総会で選んでみてはどうかということも議論がありましたので、もし意見をお持ちの方がいらっしゃったら後でお聞かせください。

(役員等の任期)
第25条 役員の任期は2年とし、選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとする。
2 前項の規定にかかわらず、総会で後任の監事が選任されていない場合に限り、任期の末日後最初の総会が終結するまでその任期を伸長することができる。
3 欠員の補充または増員による任期途中からの役員の任期は、所定の任期の残任期間とする。
4 役員は辞任または任期満了の場合においても、第22条に定める最小の役員数を欠くときには、後任者が就任するまで、なおその任にあるものとする。

橋本さん:役員の任期は2年です。再選は妨げないとなっていますが、2期くらいがいいのではないかという話は、我々の間でしています。なので、3~4年ぐらいで一つ、ある目標を設定して、ビジョンを描いて具体的な事業を展開していくということが繰り返されていき、新陳代謝があるといいのではないかと思っています。次に、理事会で具体的にどのようなことが話し合われ、決まっていくかという、理事会の権限についてお話をします。

(権限)
第33条 理事会は、この定款に定めるもののほか、次の各号を議決する。
(1)総会に付議すべき事項
(2)総会の議決した事項の執行に関する事項
(3)事業計画および収支予算ならびにその変更
(4)理事の職務および報酬
(5)事務局の組織および運営
(6)会員の除名
(7)その他総会の議決を要しない運営および会務の執行に関する事項

(事務局)
第40条 この団体の事務を処理するため、事務局を設置する。
2 事務局には、事務局長及び所要の職員を置く。
3 事務局長は、常務理事をもって充て、理事長が任免する。
4 前項以外の職員は、理事長が任免する。
5 事務局の組織及び運営に関する必要な事項は、理事会の決議により、別に定める。

(事業年度)
第45条
この団体の事業年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる。ただし、この定款の施行の日の属する年度にあっては、当該施行の日から翌年3月31日までとする。

(附則)
5 この団体の設立当初の入会金および会費は、第9条第1項第3号の規定にかかわらず、次に掲げる額とする。
(1)正会員
・ 入会金 10,000円
・ 年会費 一口 10,000円
(2)賛助会員
・ 入会金 なし
・ 年会費 一口 (個人)10,000円 (団体)20,000円
(3)学生会員
・ 入会金 なし
・ 年会費 一口 (個人)5,000円

橋本さん:正会員や賛助会員などいろいろとありますが、そういった人たちが具体的にどういう関わり方があるのかということを、会員の種別によって分類してみました。もちろん理事は理事会に参加します。正会員で理事ではない方は、理事会には参加しません。総会に参加するのは理事・正会員のみなので、賛助会員や学生会員の方は総会には参加されないです。委員会ですが、これも理事・正会員で基本的には構成するということです。

これも議論してきましたが、必ずしも理事が委員会の委員長のようなことをして取り仕切らなくてもいいのではないか、役職にはついていない正会員の方が、非常に関心があって皆様と一緒に議論をした方がいいトピックがあったとしたら、その人を中心とした委員会を立ち上げることができる方がいいのではないかという話をしました。
学生会員の人は、仕事をしてもらうインターンとしてであれば参加をしてもらって良いのではないかと思っております。報告会・シンポジウムは、会員の方全員が参加できます。報告会とは、委員会でリサーチした結果などを報告するための会です。この組織の性格というものを踏まえて、我々が議論しながら作った規約の数字の部分や権限の部分については、今お話ししたような感じです。

川口さん:現在、「案」としては上記の入会金、年会費で検討していますが、金額設定は発起人の間でも意見が分かれています。出来る限り安く設定したいという思いと、ネットワーク組織の継続とスムーズな運営を考えた場合、常務理事を兼ねる事務局長は、なるべく専任できるようにしたいと考えています。助成に頼らず、会費のみでの運営を目指している組織であり、今まで機能しなくなった組織の事例などをみても、事務局長が機能できなくなった場合に運営が困難になるケースがありました。

事務局に最低でも一人の専任担当者を置くためには、正会員の年会費は「1万円」では足りず、「2万円」に設定した方がいいのではないかという意見もあり、会員数によって運営費は変わってくる為、いくらの設定が最適と感じるのか、皆さんにご意見を伺いたい点でもあります。

丸岡さん:運営をする為の最低限の自己資金は必要だと思います。例えば助成金ひとつにしても運営をする為の費用はでませんので、継続を考えるなら自己資金をある程度でも持つ事は重要だとおもいます。


質疑応答

原智治さん(京都 京都市文化市民局 文化芸術都市推進室 文化芸術企画課):第46条(事業計画及び収支予算)について、予算のことはありますが、決算について伺いたいのですが。

橋本さん:予算は基本的に理事会で作ります。決算の承認をするのは総会です。

落合由人さん(東京 世田谷パブリックシアター劇場部):4条(活動の種類)について、特定非営利活動促進法では「まちづくりの推進」ということが活動の一つに挙げられていますが、このネットワークの話し合いの中で、まちづくりの推進を入れるかどうかということが、議題に上がったかどうかを伺いたいです。

橋本さん:同様にスポーツのことも上がったのですが、関わりがなく、引きずられる恐れがあるので可能性として削除しました。

丸岡さん:まちづくりに関しては話としては上がりましたが、このネットワークは特定の場所でやるものではないので条項の中に入れなかった、という議論が少しなされた記憶があります。

(30分休憩)


3ヵ年計画の紹介

大平勝弘さん(神奈川 STスポット館長)[発起人]:舞台芸術制作者ネットワーク・ミーティング(仮)では以下のような3ヵ年計画を準備しております。全ての内容はまだ仮の段階ですので皆様のご意見をもとに更にブラッシュアップしていきたいと考えています。2012年は目標として組織の骨子をかためるため検討、運営主旨の策定、規約・活動内容案の策定、組織発足の周知を行っています。

また、活動内容としては、発足準備(規約案策定)・運営計画の策定(3ヵ年計画の策定)→発起人による検討会の開催をしました。(6月12日、7月23日)、そして本日、キックオフミーティングの開催(10月22日)、来年の2月に設立総会の開催、正式な発足/理事会および委員長の決定を予定しております(2月13・14日予定)。最終的な規約、活動内容の策定は2月に発表します。2013年は目標として法人設立を目指したテスト・ラン・イヤーとし、任意団体から法人化(今のところNPOを予定している)、地方開催やスカイプ、ストリーミングなど機動性を持った組織として、有機的に様々な出会いを生み出しつつ展開していきたいと考えています。

また、アジアでの有機的なネットワークの場の形成に向けた準備と周知、首都圏中心ではないポータブルで有機的な場の運営スタイルの実践、運営システムの構築と実践を目指し、会員100名程度集めることを目標とします。活動内容としては委員会の開催(年4回以上)、報告会(勉強会)の開催(年2回)、シンポジウムと総会の開催(年1回)、会員親睦会の開催(年1回)、理事会の開催適宜行い、またウェブサイトの立ち上げを行います。ウェブサイトでは日頃の活動、イベント告知、活動をアーカイブしていくことを考えております。

次に、各委員会についてです。委員会は、定期的にそれぞれの主題に対してリサーチ、議論を行なう場として、以下を検討しています。委員会のテーマ候補としては、
①劇場法検討委員会
②アーツカウンシル検討委員会
③助成金検討委員会
④アーティストの活動環境
⑤制作者の活動環境/人材育成
⑥国際交流・共同製作環境検討委員会
⑦アジアおよびインターナショナルなネットワーキング検討委員会
⑧地域との連携の在り方を検討する委員会
⑨「表現の自由」をめぐる委員会

これらの委員会候補について、①・②・③は諸制度についてひとまとめにすることが検討されたり、⑧については公、民劇場や地域プロジェクトなど地域にあるスペースの社会的定着について考える会となることが目的となります。これらはまだ案でイメージを共有するために具体的な言葉をあげていますが、実際にはもう少し数が絞り込まれてスタートすることになると思います。

また、報告会については各委員会での成果を発表し組織全体に提案します。オープンネットワークの象徴的実践の場として報告会はそれを会員全体に周知する機会となります。原則、会員はいずれかの委員会に入ることが望ましいと考えているほか、委員会にはアドボカシ―(政策提言)を具体的に推進させる役割がありますが、2014年に確立していきます。2014年の活動目標は法人設立、アジアでのミーティングの開催、法人設立段階では会員100人を目指しています。

この会員数については2013年の会員が法人化後もそのまま継続していただけるようなイメージです。
活動内容は委員会の開催(年4回以上)、勉強会の開催(年2回)、シンポジウムの開催(年1回)、総会の開催(年1回)、会員親睦会の開催(年1回)、「アジア」でのネットワークをテーマとしたミーティングの開催(2015年以降に、アジアとの連携を意識したネットワークのあり方を検討、実践していく)、パブリックコメント等の発表を考えています。


中村茜さん(東京・大分 株式会社プリコグ代表取締役/NPO法人ドリフターズ・インターナショナル理事)[発起人]:これからの流れのイメージを共有したいと思います。今日発表したことは、本当に第一案の段階です。皆さんの意見を伺って、それを反映させた上で 例えば会費はいくらが妥当かとか、こういう委員会があると良いのではないかといった意見を伺いたいと思います。

2月のTPAMでの本会のときに、再度練り直した案を皆さんに提案させていただき、具体的な委員会の設定や会費の設定をして、来年度どのように動かすかを決めていきたいと思っています。具体的には年間を通じて、委員会というグループの運営が主体となるイメージを持っています。この委員会に参加する方々がそれぞれ、当事者としてテーマを持った活動をする、そこに参加できるのは会員のみであるということを考えています。

例えば2013年は年に4回と出しておりますが、これが果たして妥当な数字なのかというのもまだ見えていません。それぞれの委員会で誰が主体となって動かすのか、どこで動かすのか、何回くらいが妥当なのか、そういったことを検討していかなくてはなりません。そういった意味でのテスト・ランが、来年想定されています。同時に、2014年の具体的なビジョンとして、アジアでのミーティングの開催を予定しています。国際的な動きの第一歩として、アジアでこういったミーティングを開催すると。それに向けた下準備をするというとも、2013年の活動としてメインになってきます。

また、経営システムの構築というのがやはり重要ではないかと思っており、オープン・ネットワークということでだれでも入会・退会できることになる訳ですが、委員会を組織していく、定期的な開催をハンドリングしていく、シンポジウムや総会で、多くの人にこの活動を周知するといったことは、最低一人の従事者が必要であろうと想定していまして、会費を取るというのは、そういった活動に従事する事務局スタッフを置くための運営費用、というのが私どもの今の想定です。

現在はセゾン文化財団さんの助成金を頂いておりまして、今年度は検討会を持つ会が得られました。このような会を持つのも、助成金のおかげで成り立っています。毎年審査があった上ですが、継続できる可能性は3年間頂いておりますので、2013、2014年は助成金を念頭に入れた予算計画を立てていきたいと考えています。
しかし2015年以降は自立した組織として活動していかなくてはなりませんので、そこも含めた会費の妥当性を決めていかなくてなはらないというところです。

丸岡さん:インターナショナル・ネットワークについて補足ですが、このネットワークはオープン・ネットワークとして、一つはサブ・ネットワークを作る、もう一つはネットワーク同士がつながるというのがありましたが、十分・不十分ということは関係なく、ヨーロッパ・北米には顕在化した組織としてのネットワークがありますが、アジアのネットワークは各国に別々にのみにしか存在していないといえます。

しかし、アジア内でのはっきりしたネットワークの必要性を、アジアの舞台人たちは意識し始めています。2014年のミーティングの継続をイメージしたというもので、例えば2014年に日本以外のアジアでのミーティングを開催としたのは、その後に日本以外の人も会員となり委員会を作っていくようにならないか、というようなイメージを持っています。


韓国の舞台芸術の創造環境、ネットワークについて

コ・ジュヨンさん(韓国 フリーランス):いまはフリーで色々なアートプロジェクトのプロデュースをしたり、日本の舞台芸術の交流に関わる仕事をさせていただいております。つい最近まではKAMSという、色々なアートカンパニーを支援する公共の組織で働いていて、色々な現場の人と幅広く出会えるチャンスを持っていました。KAMSで6年以上働いてきたので、みんなが求めているような、ネットワークというのも大袈裟かもしれないのですけれども、そういう集まりが必要ではないかという考えを持ちまして、フリーになってからも具体的に現場でのつながりを持ちつつ、いわゆるネットワークについて考えております。

特に私が興味を持っているのは、いわゆる30代の世代のネットワークです。もちろん自分が当事者であるということも大きいと言えるのですけれども、韓国の舞台芸術で30代のポジションというのが、特徴があるのではないかなと思っています。韓国の文化芸術というのは、公共のリードがかなり強い方なんですね。作品を作ったりそれを流通させたり、国際交流をさせたりというのも全部、政府というか公共がリードしてきています。

こんな風になってきたのは最近10年のことで、その前までプロデュースとか企画者として働いていた人、民間で自分でフェスティバルを立ち上げたり一生懸命プロデュースをしていた私の先輩の人たちは、いまちょうど政府がアートに力を入れるようになってから、公共にスカウトされつつ、結構いいポジションで仕事ができるようになったんですよ。でも、私の世代は最初から公共の関わりで仕事をしたスタッフとして仕事を集めて、それが10年とかになっちゃうと、公共組織という組織の特徴ですが、いくら頑張っても自分は意見を決められないっていう、その限界が見え始めたんですよね。そこから、私みたいな年齢の人たちがそこに並んできて、そこからこの現場を離れていくというケースが多くなってきております。

公共の力が強いから、政権が変わったり、リーダーが変わったり、政策が変わったりすると、組織自体がなくなったりもするし、全然違う組織になったりもして、今まで10年やってきたのが全部台無しになったりしたり、仕事をなくしたとか、そういうケースが多くて、そういう公共組織の仕組み上では、いくら頑張っても先が見えないという悩みを抱えている人が多いと思います。何かを作りたいとか、何かを作っている人を支えていきたいっていう気持ちで現場に入ってきた人が、だんだん10年近く経って消耗して消えていくっていう、今のままではちょっとどうかと思って、それをみんなで話し合ったり、悩みを話し合ったり、打ち明けあったりしたいっていう気持ちで、ネットワークの相手を考え始めたんです。

私たちが思っているネットワークは、かなり大雑把ですごく華奢なフォーマットで考えていまして、どうやれば30代の制作者たちが仕事を続けられるか。自分のやりたかった仕事をどうやれば自分のやりたい付加価値で続けられるかをみんなで相談していく、なんか女子会みたいな感じで(笑)話もしたんですけれど、そういう事情とかを打ち明けたりすると、そのあとの段階では、自然に情報とか意見とかをシェアできるようなネットワークになるのではないかと思っています。あと、ちゃんとした組織、ネットワークにはしたくないというのも実は持っています。

なぜかというと、韓国にはすでに舞台芸術プロデューサー協会というのがありまして、もう15年以上経ったのですけれども、当時は私のような考えで始めたのかもしれないですが、だんだんと年をとって組織がちゃんとしてくると、そのネットワーク自体が主眼になってきて、その主眼の利益のために、カンパニーが持つべき助成金を自分のネットワークに持ったりということが起きて、しかも若い世代が入りにくい雰囲気になっていて、そういう組織にするよりは、自然な女子会みたいな雰囲気でやって、そこから何か生まれてきたらいいんじゃないかなと思っています。

あと国際交流の話も出てきましたが、私が話したような大雑把なネットワークが韓国で実現できたら多分、今の世代は国際交流は当然のように起こっているので、何らかの形で国際交流はし始めると思うのですけれども、国際交流と言ったら国の代表になりがちじゃないですか。そういうネットワークではなくて、一緒の仕事をしている仲間、ほかの所に住んでいる仲間という感じで交流ができればという風に思っています。国際共同制作とか交流とか、良い言葉はいっぱいあるのですが、そういったのもその交流から、どこにいっても会える友達がいて、そこから会話をして企画を立てたり制作をしたりという動きが出てきたらいいのではないかと思います。


意見交換

齋藤啓さん(鳥取 鳥の劇場)[発起人]:われわれ発起人にから皆さんの意見をお伺いするというのではなく、われわれも含め、いまこの場所にいらっしゃる皆さんで、意見を交わしていきたいと思います。といいますのも、先ほどから話がありますように、オープンネットワークという話があります。簡単に言うと、だれでも参加できるものだと。ということは、発起人だけではなく、ここにいる皆さん全てが、会員になるかどうかは分からないけれども、基本的に参加の可能性があるということだと思います。

もう一つは、あちこちの資料に「仮称」と書いてありますが、つまり、まだこの会はできていないんですね。これを作るために今日皆さんにお集まりいただいて、色々な知恵を貸していただこう、というのがこのキックオフの主旨だと思うんです。なので、是非皆さんの思っていらっしゃることをどんどん出していただければと思っております。

(一同、席を円になるように移動)

話し合う内容としては色々とあると思います。このネットワーク自体、どういう組織というか形態にすべきか、ということもあります。それを先ほどの規約案に、色々と反映させていったり。あるいは、これからどういう活動をしていくべきなのか。これは3ヵ年計画という形で、先ほど発起人の方のアイディアを紹介させていただきました。そういった具体的なことも当然あるべきなんですが、そもそも、なぜこのネットワークを立ち上げるのか。俗にいうそもそも論というやつですが、そういったことをここで出しても差し支えはないのではないかという風に思います。

先ほどコ・ジュヨンさんの方からも、既存の韓国のネットワークの弊害の話もありましたが、どういう風にそういう問題を乗り越えていくのか、ということも話し合っていくべきではないのか。それが来年以降、この会を立ち上げるときの肥やしになっていくのではないかな、という風に思います。きっかけとして私の方から質問として投げかけさせていただきたいのが、このキッフオフ・ミーティング自体には皆さん文字通り参加者として関わっているわけですが、その参加にあたって、どういう問題意識を持って参加していただいているのかということを是非、まず何人かの方に語っていただきたいと思います。

もちろん、ちょっとのぞきに来たという人もいらっしゃるかもしれませんが、どういう問題意識を持ってここに来て、それが自分が普段されていることで、どういう観点を持ちうるのか、あるいは持たないかもしれないけれど、こういうことに関心があるということを、何人かの方に語っていただきたいと思います。

三坂恵美さん(福岡 劇団ぎゃ。):理事はイコール正会員と考えていいんですよね?

齋藤さん:はい。

広田さん(東京 アマヤドリ):作、演出、主宰をしており、ちゃんとした制作者がいない状況でやっております。
問題意識としてすごくあるのは、東京でやっていて、制作者の地位というのはすごく向上しているし、ある種の経験力というか、ちゃんと得てきつつある、発言力は増してきつつある。だけれども、なり手がなかなかいないことと、なり手になろうとしている人と劇団との出会いがないということがあって、主催同士で会うと、制作がいないよねっていう話は常々しているし、制作の地位が上がったということと、何というかカンパニーとのつながりが、今一つうまくいっていないということもあり、制作者としてどう動くかということで今日のような会があるということだったので、どう動いていくのかなと。

今までの既存の制作者のあり方だと、劇団、カンパニーとどう付き合うか、作・演出とどう付き合うかということが制作者のかなり大きな仕事だったと思うのですが、どうもそうではない流れに、制作者は制作者で様々な演出家と付き合う可能性、様々なネットワークと付き合う可能性というのを持って動きつつある時代が来ているのかな、という風に思った時に、どういう風にカンパニーの主催としてはそういった意志とか能力を持った制作者と出会って仕事をしていけばいいのかと。

その接点がないということが自分の個人的な危機感としてはありまして、こういった場に来て、いまの流れがどうなっているのかということを単純に知りたかったということもありますし、どういう出会いがあるのかなという知見を得たかったというようなことで、今日は参りました。最初に急に条文の話から入ったので難しかったのですが、発起人の方々の名前を見ても、それぞれにポジションというものがあると思うんですね。カンパニー、演出家とすごく近いポジションの方もいれば、すごく中立性の高いポジションにおられる方もいて、それぞれがずいぶん違うんだろうな、と思うんです。

目的の第3条というのも読ませていただいて、ある意味では非の打ちどころもない文言だと思うのですが、あまりにも曖昧な文言にも見えてしまっていて、で、会費がありますとか、こういう条文でいきますとか、いわば具体的な話がある一方で、実際はたまに会って女子会やりましょう、みたいなことなのかな、位にしか。というのも、一つこういう事業をやりましょう、その中で予算を使いましょうということにどんどんなっていくと、そもそもオープン・ネットワークという、だれでも参加できることと結構変わっていってしまって、一つの目的を持って、その目的のために進むんだ、という集団に変化していかざるを得ないと思うんです。

たまにあって情報交換をするという目的のなさをキープするというのも一つ、集団が、このネットワークが価値を持つことになっていくと思うんです。その目的じゃないっていうことが。事業がいくつか立てられ、ここに向かって動いていきましょうと言えば、それにそぐわない人は離れてき、交流の場としてのバリューはむしろ下がってしまうのではないかという意味で、オープン・ネットワークであるということと、会費をとり、総会を作り、会則を作りという、極めて目的的に進んでいく、従来の会とかなり似通った部分と全然違う部分と、みたいなことを感じているんです。そのあたり、発起人の方々はどういったイメージを持っていらっしゃるのかと思うのですが、いかがでしょうか。

齋藤さん:ありがとうございます。今のは実演者の方からの立場からということでご発言いただきました。先ほど制作者の役割というのが変わってきて、劇団に付いて制作をするだけではない、ということを仰っておりましたが、今回の発起人12人ですね、制作者という職業を書いてはいるのですが、実際かなりそれぞれ立場は別でして、劇場についている人もいれば、劇団についている方もいれば、またフェスティバルをやっている人もいれば、また丸岡さんたちのようにプラットフォームという関わりをされている方もいれば。そういう非常に多様性があることをまず一つ指摘させていただきたいと思います。当然そのことも、このネットワーク作りにも反映されていくのだということだと思います。今仰っていた、会の形を作るということが若干先行しているのではないかというお話があったのですが。

伊藤達哉さん:広田さんの質問の答えになるかどうかちょっと分からないのですが、僕の場合はもう、かなり具体的にやりたいことがあります。たぶん発起人の12人12様、かなり具体的にあると思うんです。僕がなぜ文化行政の歩みみたいなことをつらつら話したかというと、2001年に文化芸術振興基本法ができ、2012年にようやく劇場法が成立した。そうするとまた約10年後、2022、3年に何か大きなものを僕たちは作らなくてはならない、っていう自覚がある。

2014~5年頃にはいわゆる第四次基本方針というのがまとめられるはずなんですね。それを、実演家とは別に、制作者たちで具体的に議論していく必要性を感じています。こうして国の政策を変えていくということが手に届くところにある、っていう実感があるんです。それを実現するためにどういう委員会にしていくか。様々だと思うんですけれど、どこをテーマにしていくかも含め議論がいま続いているんで、具体的にかなりあるという風に理解していただければいいのではと思っております。

伊藤初純さん(東京 東急文化村 企画制作室):今の話の流れで質問を兼ねてなんですが、委員会のことをサブ・ネットワーク、事業と仰っていたかと思うのですが、私の中で聞いた印象のサブ・ネットワークというのは、すごくゆるやかにできていく集まりというかコミュニティという印象なんですね。ただ、委員会とサブ・ネットワークを同等なレベルで扱うと、サブ・ネットワークがすごくしっかりとしたもの、ゆるやかなもの、それこそ理事に報告をして成り立っていくような、すぐには動き出しづらい、ゆるやかではないものになっていまして、広田さんが仰っていた、ゆるやかなネットワークとしての価値と、委員会としての価値が共存することは難しいなと思いつつ、それが本当に可能なのか私自身も考え中で、そこをどう考えているのかお伺いできればと思います。

丸岡さん:おっしゃる通り、委員会みたいなものではないゆるやかなネットワークとしてのサブ・ネットワークも、もっとできてくればいいと思うし、たとえばこのあと知り合い何人かと飲みに行ったりなさるでしょう(笑)、そういったこともどんどん起きてくればいいと思いますが、意見や考え方が異なる人同士でサブ・ネットワークを創るのは、頭では必要とわかっていても、なかなか自然発生的には難しい。

さらに、仕事の傍らで行なうことですから、継続する為には、いつでも立ち戻れる目的や形式は必要だろうと思います。新鮮なうちは良くても、人は目的なくそんなに動けるものではないと思うし、また、混乱したときに共通認識を確認できるようなものは必要なだと思います。伊藤さんのようにクリアな目的を持っている人もいるでしょうが、もっと抽象的な理由で参加する人でも、サブ・ネットワークとは別に、それを一歩進めた形の、ここでは委員会としていますが、そういうものに参加する事で充実するのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

それから広田さんが仰っていた制作者の話ですが、作品を作るにあたってアーティストたる演出家と制作者の関係が変わって来ている感じがします。演出家のやりたい事を実現する為の制作者というのがかつては主流だったのが、今はアーティストと制作がフラットな関係でひとつの作品を成立させる為に別の立場から共闘する様になったというか。また、作品の製作主体が、少し前迄はカンパニー/アーティストサイドが行なう事がほとんどだったのが、今は劇場やフェスティバルが主催となる場合が増えて来ているので、制作者はそういう所に所属しよう、またはする傾向にどんどんなっていて、結果として、地位の向上にも見えるのかもしれませんね。答えになっていませんが。

川口さん:僕たちが考えている「委員会」について補足します。このネットワークの中で立ち上がる「委員会」というのは、複数あることを想定しています。たとえば、劇場法に関して研究をしたいので、僕が「委員会」の委員長に立候補をする、それに対して一緒に研究したいという人がいてグループ(委員会)が立ち上がる。一方で広田さんが、アーティストの環境を作りたいんだ、っていう風に立ち上げてグループ(委員会)ができる。

それぞれがたとえば3年とかという期間を通して、ある一つの提言を練り上げるみたいなことが、このネットワークでそれぞれできる。ただ、「委員会」と「サブ・ネットワーク」で何が違うかっていうと、「委員会」ではある調査・研究のために誰かを招聘して話を聞きたいという時に、ネットワークの予算で招聘することができる。逆に言うと提言なりを作り上げる為には予算が必要になってくると思っています。

予算を使う以上、透明性みたいなものはどうしても確保しなければいけないと思いますし、その辺で、この規約でいろいろと定めているものがあり、ネットワークの枠組みの中での承認が必要になるということです。一方、「サブ・ネットワーク」で、例えば僕がいろいろと研究する仲間が欲しいというとき、それが別に予算を申請しない形で進行するのであれば、それは承認などなくても、いくらでもこの場を利用して課題を共有する人を見つけて自由にやっていけばいい、と考えています。

齋藤さん:ありがとうございます。広田さんがなぜここに来られたのかという話から広がりましたが、制作者の仕事の環境ということがまず一つあったと思います。地位は向上しているという意見がありましたが、そこも色々な意見があると思います。3ヵ年計画の一つとしてはもう消えてしまいましたが、実は制作者の活動環境を考える委員会を立ち上げてはどうか、人材育成は必要かという案が一つ入っていました。それと関連して丸岡さんの方から、舞台芸術における作品の作り方というのがもうそもそも変遷をしてきていて、その在り方がもう変わってきているということ。

それからもう一つはこの会もしくはネットワークの在りようですね。オープンなネットワークであるということが、どういう風に具現化していくか。それが規約や、委員会といった名称の付いた会がどうなっていくのか。それに付随して、ゆるやかなサブ・ネットワークという話がありました。似ているようでありますが、オープンであるということと、ゆるやかであるということは、似て非なるところもあるのではないか。

また、ネットワークそのものがオープンであることと、その下のサブ・ネットワークがゆるやかであることも、またこれも少し違うことではないかな、という風に思います。よろしければ広田さん以外にも、問題意識というものを、どのようにもっていらっしゃるかということをお聞きして議論を進められたらと思いますが、いかがでしょうか。先ほど広田さんからは制作者のなり手がいないという話がありましたが、おそらくここにいる人の大半は制作者になってしまった人だと思いますので(笑)、もしよければそちらのサイドからも意見を聞かせていただければと思います。

三坂さん:アートマネジメントを学ぶ学科ができたりして制作になりたいって思う人が増えてきたと思うのですけれど、制作という仕事が、今まで劇団の制作しか考えられていなかったのが、どんどん、いろいろな立場でいろいろな活動の仕方があるっていうので、それに興味がある人が増えきて多様化しているので、現状として絶対数が全然足りていないんだろうなって思っています。福岡の劇団制作の人も、制作のみでやって人はなかなかいなくて。

こういう実務の制作の人が集まるネットワークとして、ある程度の形のものがあると、海外からネットワークがどこに行っていいかというのと一緒で、今は国内でもどこに行けば制作としてだれに出会えるのかみたいな拠り所がない状態だと思います。一人ひとり、それぞれの地域の色々なネットワークを持っている人がいて、その人に当たることができればできるけれども、そこに当たれない人はネットワークに触れられない状態になっているなと思うので、こういうのができることで、ネットワークの外、ネットワークに外にいて触れたい人が関わる拠り所になることとしては、ある程度の形が見えやすいものがあるといいな、と思いました。

久野敦子さん(東京 セゾン文化財団):皆さんのお話を伺いながら、すごく基本的なところを確認させてください。制作者という言葉が自明のように存在しているかというように書いてあるのですが、今お話があったように制作者の仕事は多様化しているし、広い意味での制作者と言えば、私も行政の人も、文化的な部分で携わっている人はみんなアーツマネージャーと言えると思うし、今話が聞いていてすごく大きな部分と、すごく現場に沿った部分とが混在していると思っていて。ここで使われている制作者という言葉が何を指しているのかということでは、広田さんのように主宰者であっても、制作のセンスを持ちながら仕事を続けている方もいらっしゃるし、ダンス関係者のほとんどは、アーティスト=制作者です。

丸岡さん:それ自体がが問われる会となるかもしれないのですけれども、制作者の定義は、作品とお客さんをつなぐ間の仕事をしている人と私は話しています。アーティストでセルフプロデュースをなさっている方もいっぱいいるので、どこまで分けられるのかは別なんですけど。ご自身が、この定義において、自分も対象であるとおもわれれば、参加して頂きたいと個人的には思います。

久野さん:どこかに定義はあった方が入りやすいのではないでしょうか?私は対象であるのか、対象でないのか、というように。

丸岡さん:はい、そうですね。

齋藤さん:お客さんと作品をつなぐ仕事をしているのが制作者ということですね。お客さんを社会と言い換えることも、コミュニティと言い換えることも可能だと思うのですが、そこはそれぞれ活動によってずいぶん差があるかなと思います。他に定義がある方、私はこういうことを思って制作の仕事をしているという方がおられたら是非ご発言を。ちなみに私は鳥取で仕事をしているのですが、おそらく、舞台の制作という専門に鳥取県内で仕事をしている人間は、数えられるほどしかいないのではないかなと思います

制作といった時に、やはり舞台業界の外の人にはなかなかわかりづらいんですよね。実際に説明すると、本当にそれで飯は食えるのかという、次の話になりまして。いや、でもこういう風にしてやっているんですよ、と言うと分かっていただけるという側面もあるのですが、その制作者自体の仕事、例えばさっき、お客さんと作品をつなぐ仕事といった時に、それをつないでいる仕事もやはり、もう少しつなぐ相手に対して、可視化というか、理解しうるものになっていかなくてはならないのではないかなというのは、常日頃思っていることです。

赤羽ひろみさん(東京 ゴーチ・ブラザーズ):三坂さん、斉藤さんから挙がったお話を受けてですが、自分自身がいま25歳で、就職活動とか同世代を見ていると、制作にどうやったらなれるのだろう、ということがすごくあると思っています。私自身、桜美林大学でアーツマネジメントの学科ど真ん中で4年間勉強してきましたけれど、4年生になって、卒業して制作になるにはどうしたらいいだろうと迷って公共ホールに就職する人が、すごく多いという実感があります。

同時に劇団やダンス・カンパニーの制作になった人たちは、じゃあ自分自身が大きくなっていくにはどうしようと考えつつも、これで生きていけるのかについても不安を持っています。優秀で思想・考えが深い人たちが辞めていかなくてはならない現実というのは、すごくまずいと思っています。先ほど斉藤さんから話が上がりましたが、ここに制作の人たちがいる、ここに行けば何か情報が分かる、という環境・状況があると、希望があるのではないかと思っています。それに付随して、学生会員の在り方というのはもう少し考えられたらいいのではないかと思っています。

それはお金のこことかインターンのこともあるのですけれども、実際に今何を求めているかというところとか。
学生のうちからうまく制作のネットワークに関われたりすることを。それが教育の範囲なのか、仕組みの問題なのか、プログラムの問題なのかは、これから検討していけばいいとは思います。さらに下の世代にこのネットワーク・ミーティングが広がっていくという可能性を踏まえつつ、これからうまく議論が固められればいいのではないかと思っています。

齋藤さん:学生の人たちにこのネットワークに関わってもらうために、どういったことをするのがいいと思いますか?

赤羽さん:私自身も参加して思ったのが、まず場として、高尚ではないですが敷居を高く感じてしまう部分があると思っていて。例えば委員会ごとでの学生向けプログラムなのか、レクチャーなのかはわからないですが、開かれた形で、会員として誰でも入れるということは前提としてある上で、若い世代にリーチしていくということに重点を置いた活動がいいのでは、ということはすごく感じています。

中村さん:学生会員の意見を出したのは私だったのですけれども、私も大学で非常勤で制作を教えているんですね。彼らが入って来られて、現場の方々に触れられる機会が与えられるといいと思いまして、枠組みをどう持てるかということを検討しました。今のフレームで言うと、学生が私たちの潤滑油になっているというか、一緒に運営していくメンバーになっていくと。そういった労働力を提供してくれることによって、私たちも知識だったりネットワークだったりということを提供できるというところで、彼らは無料でも何人か受けられるのではないかと思っています。

想定としては2、3人、意欲のある方々が参加してくれるというのを想定していて、だれでもオープンに参加していいよ、っていうところではないんですね。そこはやはり責任感の問題とか、与えられる一つの大掛かりな事業になってしまうので、そこまで私たちもボランティアではできないであろうと。なので、意欲的な子たちが2、3人関われる場所は取っておきたいと。それ以上の所は、例えば委員会を結成して、そこに意欲のある方々が運営していく中で、学生との交流の場を設けていければいいのではないかなという風に想定をしています。

赤羽さん:その2、3人というイメージは実は私もぴったり来ている人数です。私自身も大学時代にインターンとしていろいろなところに何回か行っているんですけれども、インターンの受け入れ先は、私自身はすべて公共ホールだったんですね。先ほどの広田さんのお話ではないですが、劇団の制作になりたい、アーティストに出会って共に歩んでいけるというのは本当に幸せなことだと思うのですけれども、実際に歩んでいる人たちに出会える場として、このネットワークの中でインターンという形で何人か。それは公募という形でできると思うのです。インターンの受け入れができますというのがあると、その人たちがどう会員として関わるかというのとは別としても、働いてお金をもらって生きていく制作者の人たちのノウハウを掴んで感じられる場が成立していくといいではと、話を聞いていて思いました。

野村さん:人材育成をどうするのか、あるいは、アーティストと制作者の出逢いをどうつくるか、についてです。サブ・ネットワークと委員会の話と同じなんですけれども、僕も大学で非常勤講師をやっていて、授業で意欲のある学生が聞きに来たら例えば伊藤さんの現場、ゴーチ・ブラザーズ制作の公演の現場に紹介したり、というのをこれまでもやってきました。僕がこういうようなことをやるのと同じように「このネットワークに参加している人一人一人が他人に対するハブになる」っていうことだと思うんです。つまり、人材育成みたいなことがあらかじめ組織としてプログラムされているかどうかということの問題ではなくて、組織がなにを提供してくれるのか受け手として期待するということでなくて、参加している会員である自分自身が何を望んでいるかというところは、結構大事だと思います。

この場では、私たち発起人がこのネットワーク・ミーティングのプレゼンテーションをやっているような感じになっていますけれども、このネットワーク・ミーティングに参加しようという人は、ネットワークを自分がつないでいったり、人材を自分で育てたり、自分も誰かを誘い込んでいくっていう、そういうアクティブなマインドで関わっていけば、言い出しっぺの人たちからプレゼンテーションでそれの価値が100%説明されなくてもいいのではないでしょうか。「おい行こうよ行こうよ」って互いに知り合いや信頼している人を引き込んで、このネットワークを使ってふさわしい人たち同士を出会わせていくっていうことを、会員の方たち自身がやることで、ネットワークが「有機的に実践」されるのではないかと思っています。

中西由佳さん(大阪 子供鉅人):私自身いま大学4回生でいま就職活動を終えたところでして、会社に入ることになっているのですが、就職活動中に何とか制作として活動していけないか、どうやって生活するかということを考えた時に、私自身大阪にいたら、出会いの場はもらっていたけれど、どうしたらいいのかわからないことがあって、先ほどの話にあったように会がハブになったりというのがすごくいいなと思って。是非私もインターンしたいなというのをここに入れておきたいなと思って。といってもあと半年くらいしかないんですけれど(笑)東京の方に就職するので、ぜひよろしくお願いします。

齋藤さん:ぜひ今日はたくさん名刺をもらってください(笑)少し戻り、先ほど赤羽さんの方から制作者になりたい人の受け皿として、公共ホールという話があったのですが、そうすると公共ホールが制作者の人材育成を請け負っているという形になるのかなあと思うのですが、公共ホールにお勤めの方がいらっしゃったら、その点をお聞きしたいと思うのですが。

ヲザキ浩実さん(東京 あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)):東京の豊島区の劇場で制作をしております。今回のネットワークを興味深く思っておりまして。実は制作者の統括団体というものは実際にあります。ふるいのですが、日本新劇製作者協会というものがありまして、私はそこの理事も運営管理も両方しております。そこはいわゆる既存の新劇の劇団の人たちが集まってやっている制作の団体で、会員200弱かな。理事になってみてよく分かったのですが、それまではできたら私の世代、私より下の世代の制作者の人たちに対して、ネットワークや情報は必要だから入ることができないか、ということを考えていたんですが、挙がる話題が、演観はどうの学校公演はどうのとか、あと助成金のことに関しても色々なものがあるのですが、やはり民間の劇団のトップレベルのどうの、とか。

かなり皆さん目的が狭いものになっていて、他の、いわゆるこれだけの多様な制作者の入る隙間がないんですね。
これは参ったなというところに、自分自身が全く話題についていけないという状況になってしまい、でもどうしよう、これからどんどん色々な形で、アーツマネジメントの学校もあって、どんどん社会に出てきたい子たちがいる、と。そうでなくてもこうやって社会とやっている制作者がいっぱいいるということが、自分が逆に公共劇場で働いていて分かっていますし、このギャップはどうしたものか、と思っているところでこういうことが立ち上がってきて、しかも今の発起人の皆さんは、様々な形で関わって仕事を続けていらっしゃる。この多様性というものに非常に惹かれて、今回は参加させていただいた次第です。

皆さんプラットフォームやフェスティバルやアーティストマネジメントなどをやりながら制作をやってらっしゃるというのがあると思うのですが、もう一つ、公共劇場ができる、我々ができるのは、社会とつながるということなんですよね。アートマネージャーになりたい、制作になりたいという一般の学生がいるときに、人材を育てるっていうこともそうだし、アーティストをどうやって社会と関わらせるか、我々が持っているノウハウをどうやって社会に機能させるか、地域社会とアーティストと、隔絶しているものをどう結び付けるかっていうのは、我々公共劇場のミッションの一つなので、それは、この中にいるいろいろな職能の制作者のうちの一つの所で働いている、我々公共劇場のハブとして、是非活用させていただきたい、ということがあります。

だからこそ逆に、舞台を一生懸命書いて作ってというところだけ限定でしかやっていない、これだけ実はいろいろなかかわり方があるということが、今日ちょっと見えたと思うんですけれど。逆に、普段の仕事以外でこういう横のつながりが見えて、色々な問題がある、今まで見えていなかった、こういう形で社会に参加する意義、もしくはここのまるりょうかいまる情報を得られるというところを、ここでできたら非常にいいだろうなという風に思いました。それぞれ皆さんが持っている専門性というのも逆に共有できる。ということでオープン・ネットワークという話は、私はある専門性を突き詰める委員会という小さなユニットがもっと一杯あっていいし、いままで関わりが考えられなかったけれど、ゆるっと話していく中で、じゃあ新しいプロジェクトができるんじゃないかと思います。

それが何か一つ作品を作るっていうことじゃなくて、じゃあ学生会員の受け入れ先を確保する、例えばここに何人か公共劇場の人がいる、カンパニーを自分で運営している方もいる、受け入れられるところでじゃあ受け入れようとか。逆に教育機関で働いている方たちの所に誰か専門性の高い人たちが講義に行くとか。そういう色々な形で情報をシェアして、全体のボトムアップをしていければいいなと、そのための横のつながりであってほしいなと思うので。
学生さんとかもなるべくいろいろな形で、皆さん学校で教えられていたり窓口があると思うので、むしろ広く学生会員を募って、その受け入れ先は各会員が受け入れて、裾野を広げていくという積極的な方法で行けたらいいんじゃないかなと思います。我々も学生さんに情報を広めるとき、ネットTAM命、もしくはNextさんしかないので、それ以外で情報を共有したり広げられるネットワークがあるというのは、非常にありがたいことです。

齋藤さん:ありがとうございます。今少し組織の有り様についてもご研究いただいたのですが、もう少し人材育成の話を進められたらと思います。これは大卒の、いわゆる新人の方だけではなくて、ある程度キャリアのいった人たちが、どのように自分たちを再教育するかといったことも、問題として含まれてもいいのではないかと思いますが。

中原恵さん(福岡 福岡市芸術文化振興財団):普段はアートマネジメントのセミナーなどを企画しておりまして、九州の状況かもしれないのですけれど、ある程度現場を積まれた方たちが、ある時期に別の業種に就かれるということもありまして、非常にアートマネジメントの人材の流出と、新しい若い世代がなかなか安心して入ってこられる環境ではないということを課題に感じています。先月末に九州でも、公共ホールのアートマネージャーを対象としたセミナーを行いまして、そういった人たちが、顔の見れるネットワークでお互いの状況を把握できるようになるし、ネットワークが太い線になっていったり、細かく線が増えて行ったりっていうことが、そういった人材流出の一つの歯止めになるのかなと思っています。

今まで、良くも悪くも個人の努力でネットワークをそれぞれが築いてきた面があると思うのですけれども、文化芸術が社会のいろいろな場面で場を持っていっている中で、やはりほかの業種に比べて、もっとボトムアップしてかなくてはならないというか、個人の情報収集能力というところではなく、みんなが知っている情報量を全体として上げていくということが、これから非常に重要になるだろうと思っています。今回の、このような規模でのネットワークというところで、それが網の目が細かくなって取りこぼさないようにするとか、個人が抜けてしまうことで失われるものが、なるべく減るとよいなと思っています。

学生さんについて、うちの財団はホールは持っていないのですが、インターンの受け入れはしています。やはり現場にいっしょにかかわってもらうと、こういった仕事に就きたいとは言ってくれるんですが、やはり雇用の状況というものがネックになって、実際には、専門にある程度学んだ学生でも、こちらの道に進めないということがあって、そこの課題は深いと思うのですけれども、少しずつでも解決できたらと思っています。

郡山幹生さん(東京 Next ネビュラエクストラサポート):この春から制作者の人材育成のためのサービスとして、舞台制作塾を始めました。Nextは、劇団キャラメルボックスの一部署だったところから分社した会社として、制作者の多岐にわたる業務のうち、劇団同士で共同作業ができる部分をしていくことで制作者の業務を和らげて、もっとクリエイティブな仕事に専念させていこうというコンセプトで設立し、主にチラシ折り込み代行サービスという業務を通じ、色々な劇団とのネットワークが広がってきました。ニュートラルな立場で舞台制作の地位向上を目指してきて10年が経ったのですが、10年間で制作者がクローズアップされて発言する機会が増え、環境が変わってきました。こういう場にいることも、すごく夢のような気持でいます。

しかし、舞台制作を専門職として成立させることを成立させることを目標として分社したのですが、現状を見たところ、制作者にギャランティが支払われるような習慣は増えましたが、果たして職業として成立しているのかというと、例えば先ほどの斉藤さんのお話にあったように、一般の方に職業としてピンとこない、安心して職業として就いていると言える方がなかなかいないという状態のままだと感じています。現場の方からは、制作者の人手が足りないという意見を聞くことが続いたままで、人材の育成が何かできないか、カンパニー各々のコンセプトに左右されないところでニュートラルな立ち位置として制作者のお手伝いをしますよ、というスタンスから、より直接的な人材育成の場を作る動きへと変えていく中で、今年、舞台制作塾というものを立ち上げました。

これは、舞台制作を仕事にしようという人の拠り所になれるように、ということを使命と考えています。単発のセミナーではなく常設した講座を行う場を設けることで、主に、舞台制作を職業になることにたどり着けない人に向け、一番基礎のベーシックな部分のずれを擦り合わせる、ノウハウを享受するよりは基礎的なことを享受する、ということをコンセプトとしています。現場のやり方は制作者によって十者十様で、現役の制作者を招いて講座を作ってもらうことにより、ケーススタディとなるものを出してもらおうと考えており、勉強したかったらとりあえずここに行けば学べる、という場にできればと考えています。

永川剛仁さん(東京 オールスタッフ/ミュージカルカンパニーイッツフォーリーズ):僕も日本新劇製作者協会に入っていて、具体的な事案に対してのキャリアを積んだ方々が、その事項について話し合うという場だったので、学生会員の話とかはすごく真剣に聞かせていただきました。僕自身もまだまだ制作を始めたばかりで、これからそういう機会が増えてくれればありがたいと思っております。やはり僕もこれから職業としてやっていけるかどうかというところで学んでいきたいのですけれど、僕の場合は運のいいことに、今の会社に就職できて、僕がやりたかった劇場運営をする仕事、アトリエ・フォンテーヌという劇場を運営させてもらったこともあって。

今はなんとなく、演劇の近くにいたから制作者の仕事を分かっていただろうというような状況で、分かっている範囲の知識の中ですが、やはり現場では違うケースがあって。経験から出てきた知識というものを、こういった場で共有させていただければすごい助かるし、嬉しいです。委員会や3ヵ年計画の話の中で、組織として経営的なことを考えていかなければならないということと、委員会イコール事業ということの説明をされていたのですが、予算が関わることなので何か敷居を設けるかわからないですが、オープンなネットワークの中で、希望者はどこまで自主性で参加できることなのかということに興味があります。

蔭山陽太さん(神奈川 KAAT 神奈川芸術劇場 支配人):神奈川県の公共劇場で支配人をしております。今の人材育成の話を聞いていて、私は振り返ってみると、民間の劇場から劇団の制作をやって、今は公共の劇場の制作をやっているんですけれども、全然意図したわけではなくて、はっきり言って偶然です。東京中心で物事を考えて一極集中しているわけですけれども、そこで制作者の就職とかを考えていくと、ほぼ、運。なぜかというと、多くの公共劇場がそうなんですけれども、新人の募集をしていない。経験者の募集をするわけですね。大学でアートマネジメントを学んでそのまま就職するという道が、今非常に閉ざされている。KAATはインターンを受け入れています(笑)

私は会の説明があった第3条、あれこそが実現ができるかどうかにかかっているな、と思いました。全国の公共ホールは全部で2,000以上あると思います。2,000のホールが活性化して、いわゆるアートマネージャーを求めるという状況になれば、それだけで2,000人以上の求人があるわけです。そういうことを、社会全体が変わっていかないと、そういうところに行かないんです。せっかくアートマジメントの勉強をしても、次につながっていかないんですね。むしろ今劇場なんかで我々が求めているのは、ほかの企業とか、ほかの仕事をやってきた人をあえて求めていたりすることも多いんですね。つまり社会的な、社会とつながっている人が欲しい、ということもあるんですね。そういった視点で考えていかなければいけないなと思います。

それとさっきの新劇製作者協会。私も昔、入っていたような入っていなかったような記憶があるのですけれども(笑)、あれは調べたら、1961年にできているんですね。アングラとかができる前、新劇という言葉が格好良かった時代のことなんですね。当時は新劇経営製作者協会という名前でした。目的はやはり、職能の利益を代表するような組織で、今回書かれているような、制作者が積極的に社会と関与していくというようなことは書いていないんですね。当時は新劇運動というものがありましたが、そこに依拠しているということがあります。

そういう意味では、今日開かれているこの会で言われている規約というのは、画期的だと思います。私は、新しい歴史の1ページがここで始まっているような気がして、聞いていて非常にわくわくしています。
なので人材育成という観点からいくと、今の仕組みの中ではなかなか次に進まない、それを本当に変えていくような、アートマネジメントを勉強していく中で、自身もそれを変えていく、つまり就職するだけではなく社会を変えていくという視点でアートマネジメントを学んでいって、絶対につながっていくということが必要なのではないかなと感じました。

三坂さん:人材育成の中で、もしこのオープン・ネットワークが実際に行われたときに、どのくらいのネットワークを自分がつなげられるかいうのは、参加される方のモチベーションであるとか、その仕方に関わっていると思うのですけれど、事務局の常務理事の人は、たぶんそのオープン・ネットワーク全体の動きも把握しているし、ものすごく関わる人ということで、この人が多分、このオープン・ネットワークの中で一番ネットワークに触れることができるし、何かしらか経験を積むことができるものだろうと思います。

正会員の会費だけで事業の費用を賄ったりとか、常勤として雇うようにするのは、最初は難しいと思うのですけれど、もしそれができるような状態になったときは、できれば若い、まだ経験のあまりない人、なさすぎても仕事に支障が出るとは思うので難しいのですが、より発展できるような極力若い世代の人を起用してほしいと思うし、2年とか4年とかの任期というのがあるので、それを経験したことがある人が色々な地域に点在していると、そこでネットワークがまた広がる、その人が結構大きめのハブになれるというのがあるので、そういう風になるといいなと、話を聞いていて思います。

齋藤さん:人材育成の視点から、いくつかネットワークの在り様がおぼろげながら見えてきたのではないかと思いますが、整理しますと、人材育成ということがあって、それとこのネットワークがどうあるべきかということの繋がりを見つけようとしますと、まずさっき野村さんが仰っていたように、各会員がアクティブになることによって、そこから交流が生まれて、ゆるやかなサブ・ネットワークというものが生まれるんじゃないかということが一つありました。

それとさっきヲザキさんが仰っていたことで、専門性を突き詰める部分ともうすこしゆるやかな部分が並行してあってもいいんじゃないか、ということがありました。その専門性を突き詰めるのが委員会というものになるのかもしれませんけれども。それに関連してさっき永川さんの方から、委員会自体がどれだけオープンなものになるのかというご質問がありました。もう一つ、いま三坂さんの方から、常務理事の役割というのがありました。組織の在り様という方に議論を移して、この委員会がどれだけオープンなものになるのか、常務理事の役割について話したいと思うのですが。

橋本さん:委員会として立ち上げることは、理事会で決めようとしています。それはなぜかというと、予算を使うから。それは、会員の皆さんから集めた会費を使っているので、説明しなくてはいけないから。そういうプロセスで決まるということではあるけれども、二つ意見が分かれました。その委員会の責任者が、理事であるべきかどうか。正会員であれば誰でも委員会を立ち上げることができるのか。今のところ発起人の間で話しているのは、正会員であって、予算をつける必要性がある議題であれば、誰が委員長になって委員会を立ち上げてもいいんじゃないか、ということを話しています。

丸岡さん:常務理事は専任して事務作業をすることになり、先ほど仰られたようにそこがハブになりますから、情報を正確に受け正確に処理するという能力を持ち役割を負っている人がつくことになる。ところで常務というか専任者の必要性について補足したいのですが、日本の中にいくつかネットワークがあってですね、例えば九州にネットワークが多分あったり。色々とあったけれど、続かない。それは事務局がないというのが一つの原因と言われています。
北海道演劇財団が創っているネットワークが継続している理由は、必ずしも一概には言えないと思いますが、それ自体を専任できる人がいる事は大きいのではないでしょうか。やっぱり専任をする人がいないネットワークというのははかない。

たとえば三年くらい前に、助成金なくなるかもしれない、だから、みんなでフォーラムやって反対しよう、と集まっても、最初のパブリック・コメントを出すのでへとへとなわけです。また、今ここで色々な意見が出ましたけれど、その中には問いが多かった。どうするんですかと。しかし質問をしても回答はないから、自分たちが当事者として回答を創って行くというか。

話がかわりますが、さっき伊藤さんが重要なことを言っていたように、例えば助成金に関するルールや条文は変えられるわけですよ。現状とかけ離れた助成金のルールでもそれは仕方のないルールとして、クロバティックにそれこそ隙間隙間で対応して20年たって身動きが取れない所も多い。こういう状態を変えていこう、現場から現状に則した体制をつくる為の提言=アドヴォカシーをすることで変えて行こうとすることが目的に入っているわけです。

田窪桜子さん(東京 産経エクスプレス):全く立場は違うのですが、10月から演劇担当となったので、いまの若い世代が何を考えているかを知りたいと思っての話です。実際は、制作者に力を入れてほしいと思っています。制作者というのは、演劇なり、芸術に関わる人。というのは芸術文化振興基金の話が出たのですが、私、審査員をやっています。声を出す人の力がないと変わらないんですが、ちゃんとあれば通るんですね。だから今回話があったように、規約があって、きちんと理事とか、名前は何でもいいと思うのですが、ただそれが国に通ずるものとして作ってほしいなという風に思います。

文化庁の中も愛がある人はいっぱいいます。だけど組織なんで動かないんですね。いつも演劇に関わる制作者を見ていると未熟だなと思うのは、世の中のルールっていうのは変えられるんですけれど、まずルールがあるので。社会を知らない人があまりにも多いんですね。申請書を見ても、本当にひどいものが多いです。これは個人的なことなんですが、どうぞ聞いてください、自分たちが出した申請書がどういうものか、聞かれたら答えるということは、審査会でも言っていますので。社会性を身につけるということをすごく制作者に求めているので、そこはとても期待しています。さっき蔭山さんが言っていたのですが、20年くらい前に、新劇の制作者なり、アーツマネジメントという言葉が出た時に始めた方々と勉強会みたいなことを始めたんですね。で、蔭山さんメンバーですよね。

蔭山さん:あ、はい。

田窪さん:私もその場にいたのですが、続かなかったのは、やはりこういう形の規約であるとか、オープンであるとか、ある程度のルールがあってからだと思うので、そこに今回とても期待しています。だから、強くなってほしいなと思います。あともう一つ人材育成なんですが、ノウハウその他を教えるのはいいんですが、自発的に演劇を勉強しようっていう制作者が少ないので、その方向性を持っていくということも、意識を育てるということも是非やって欲しいなと思っています。これはあくまで客観的観客として見ての意見なんですけれども。

ゴーチの伊藤さんはよく知っていると思うんですけれど、10年間、演劇を勉強する会を続けています、全く違う制作者があり、ジャンルが全く違うメンバーでやっていますけれども、それは戯曲を勉強する会なんですけれども、最初は、岸田國士戯曲賞が欲しいといった人間が岸田國士の戯曲を読んでいないと言ったんですよ。それが実際、客観的にみると演劇の現状なんですね。ここの発起人の方々はその中でもトップレベルの方だと思うので、そういうところを動かしてほしいなとか、それは意見というよりも客観的に見ていた感想なんですが。あと国との関わりの中に入っているとすごく見えるので、その辺を期待しております。

齋藤さん:時間があと10分ちょっとなんですが、もう二つ、話したいことがあるかなと思っています。一つは社会の状況を変える、もしくは政策を変えていくということですね、これが英語で言うアドヴォカシーということなんだと思うのですが、これが一つ、このネットワークの存在意義なんではないかなと思います。もう一つがですね、国際交流。海外とどうつながっていくか、ということもこのネットワークの大事な点としてあるんではないかと思います。

広田さん:意見というか質問ですが、ちょうど国際的なことについてお伺いしたいと思っていたのですけれど、例えば、アジアとの交流をすると。アジアとのどこかで2014年、会をするというのがあったかと思うんですけれど、アジアという言葉でイメージされているのはまずどこなのか、ということ。いま日中韓は様々な、既存のネットワークがあると思うんですね。BeSeTo演劇祭であるとか、あとは日韓演劇交流センターみたいなものがあると思うんですけれど、そういったものとどうつながっていくのかということをお伺いしたいですし、あとアジアというとき、どういうイメージを持たれているのかということ。

もう一つだけ質問したいことがあったのですが、例えば地域でやる、アジアでやるというのはすごく広い話だと思うんですけれども、例えば京都でやるっていったときに、東京以外でやるというのはすごくいいことだとも思うんですが、反面行きづらいということもあると思うんですね。情報共有を、例えば行けなかったときに、会員の人がどうやってしていくっていうことに関しては、どのようにお考えかという点を伺えればと思うんですが。

丸岡さん:アジアについては、国を限定したりする段階ではなく、まだ曖昧です。ヨーロッパでもないし、北米でもないし、まあ、だいたいこの地域というかんじで。ただ、地政学的なリアルポリティクスにまかれない相手と行なう事は大事だと思います。具体的にじゃあ誰とやるんだという時に、こういうミーティングを共催する可能性のあるプラットフォームやフェスティバルは今もうすでにあります。この考えを共有してくれる相手のなかで2014年までに特定して実施し出来ればと思いますが。今日ここにはコ・ジュヨンさんがお越しですが、すぐ頭に名前が浮かぶ相手が私は何人かいますし、他の人もいるとおもいます。

横堀ふみさん(兵庫 Dance Box プログラムディレクター):DANCE BOXではアジアのネットワークを作っていくということで、2001年からアジアコンテンポラリーダンスフェスティバルを行ってきたんですが、2001年から今の段階ですごく変わってきていると思うのが、一緒にやり取りをしている制作の方が、昔の場合は、アジアのいろいろな地域に通じるところがあるのですが、すごくヒエラルキーをイメージしているところがあって、この人に行かないとここたどりつかないという相関図を把握しておかないと、たどり着かないということがあったのですけれど、今私が一緒に仕事をしている制作者っていうのが、その辺ですごくオープンなマインドを持っている制作者が多くって、あ、なんか一緒に考えていけているな、っていう、アジアを考えているよりは、誰と出会っていっているかということだと思うんですが、アジアで一緒に色々な人と出会って考えていく場というのが作れるんじゃないかなという実感があるんですね。それを拡張していくっていうように、という風に考えています。

糸山裕子さん(福岡 アートマネジメントセンター福岡[AMCF]):福岡演劇フェスティバルの事務局長をしております。アジアとの交流について、福岡では韓国等からの交流をすでに、えだみつ演劇フェスティバルなどで持っていらっしゃるというのがあって、枝光経由で逆に福岡演劇フェスティバルの方に、向こうである小劇場フェスティバルと福岡演劇フェスティバルをつなげてできないかと話を進めていただいて、来年度以降ちょっとずつ進めようかという話になっています。その時に一つ特徴的だったのが、韓国側の方が、福岡市が関わっているので福岡市及び財団の方たちにもその話をしましょうと言ったら、それはしなくていい、と言われたんですよ。

で、民間同士の交流はやりましょう、と言われました。それはなぜかというと、行政とかが入るとどうしても、東京中心に交流が行われる。韓国でもソウルを中心に交流が行われて、それを待っていると、順番を待っていると、どんどん年数が経ってしまうので、民間のNPOと、民間の向こうのフェスティバルの場を持っている人が交流することで、具体的に前に進めていきましょうと。先に進めて、後付けで行政に入ってもらうことは可能なんじゃないかということで、二人の間で決めて、お金もそれぞれで事務的な申請書を出し進めることを決めてしまいました。

なのでスピード感からいうと、もう今すぐコ・ジュヨンさんと交流したい(笑)そういう点から言うと、マッチングするような相手をつかまえちゃったほうが早いな、それがいつも枝光の市原君は上手いなといつも感心しています。逆にこのような会ができることによって、それぞれでの情報提供を、例えば福岡で私がつかんだ情報を提供することができて、彼らは東京とつながるのではなく、地方同士でつながりたいという希望を相当強く持っていますので、そのようなことが可能かという意味で、このミーティングに関しては是非、特に地方にいるものとして是非、やっていただきたいと思います。

齋藤さん:私も鳥取で地域間の国際交流という言葉に非常に可能性を感じているので、今の話はよく分かります。国際交流という部分も先ほどの人材育成と一緒で、このネットワークが日本を代表して何かにつながっていくのではなくて、おそらくそこの、どこかの会員を通して、もしくは何かの委員会を通して、そこから国際交流に関するサブ・ネットワークが生まれていくような形がもしかしたらいいのかなと、今お話を聞いていて思いました。もう一つ、アドヴォカシーのことをもう少し何かご発言のある方はいらっしゃいますか。

ヲザキさん:実務的なことで、公共劇場というのは先ほど蔭山さんがおっしゃった通り、新規雇用というのがなかなかありません。色々な問題があります。私たちの財団、例えば私のようなチーフプロデューサーや支配人のように、ヘッドハンティングでそこに集められる専門家以外は実は全部そこの財団の職員で、いつ彼らがほかの公民館に異動させられるかわからないという人間が一緒に劇場を運営しているというのが実際の状況です。でも本当は我々劇場としては、できたら専門のスタッフを若い人から登用したいというのもあります。

と同時に、おそらく、各公共劇場が今、予算カットでぎりぎりの人材、お金でやっていて、人数も、私のお給料なんかも聞いたらびっくりするわよという位の低いお給料でやっているので。正直に言います。即戦力じゃないと本当に困ります、というようなぎりぎりの状況で各公共劇場が運営しているかと思います。というところで、横のネットワークが欲しいというのは、運営している各自治体の横の状況が分からないので、せめて少ない人数だったら専門家を育てさせてほしいというこちらの現場の意見が、なかなか通らないんですね、役所だから。

だから、そのために私が欲しいのは横の事例。他の自治体でどんな風に各劇場が運営されているかという事例をここでまとめて、それを文化庁の方に提出して、それを劇場法にからめて、公共劇場を運営するにあたっての問題点というのを、逆に文化庁から各自治体の方へ提起できるようなことが。ものすごいこれは時間がかかるかもしれないし、皆さんの力が必要かもしれないけれど。横の情報がなくてみんな困っているけれど、どうしていいか分からなくてとりあえずヘッドハンティングという。

あまり私としてはよくないけれど。若い人が入っていく隙間が全くない。公共劇場がいま若い人たちに対して受け入れることができるのは、おそらくインターンシップだけです。いま我々ができることは。それこそ横のネットワークで、あそこが空いたからあそこに行け、とみんなで紹介するくらいしかできないので、そこを何か、実際にここで動いて行ってもらえたら非常にありがたいです。

久野さん:すごく実際にやってみようっていう話なんですけれども、横浜市が、横浜市の文化芸術に関するパブリックコメントを募集しています。10月末日が締め切りです。だれも発言しなかったら姿が見えないんですよ。であるともしかしたら、望まれていないんだな、舞台芸術の人は、横浜市に対して。ってことにつながっちゃうわけですね。なので、是非みんな書き込みして送りましょう。ということが一つと、もう一つはこの政策提言、パブリックコメントが最近すごく聞く機会が多いんだけれど、どうやって提言したらいいんだろう、っていう書き方が私たちはちょっと慣れていないというか、分からないっていうのがあるじゃないですか。

やはりそれは、効果的な提言の仕方というのを是非、このミーティングでは探ってほしいなと思うんです。例えばシンガポールでもよくパブリックコメントを出すんですけれども、彼らはもうパブリックコメントの募集が始まったとたんに、ものすごいディスカッションをするんですね。すごい仲が悪いのに、一致団結するんですよ。そういう場にもなってほしいな、っていうことです。

原さん:早速やっていくということで言いますと、劇場法の指針というのが年内にパブコメが固まると思います。11月の末くらいに期限が設定されているのではないかと思うのですけれども、それはまさに、このネットワークの大きな試金石の一つになるのではないかと思っています。

齋藤さん:ほぼ時間なのでここで終わりにしたいと思うのですが、二つ、まず今日色々な意見が出たことについて、2月に設立総会を予定していまして、そこで先ほどの計画案にもありましたが、2月13日もしくは14日にTPAMをプラットフォームにして、横浜で開催する予定です。その開催の詳細はメールで告知しますので、ぜひご参加いただけたらと思います。それからもう一つ、先ほど情報共有をどうするんだ、行けなかった人はどうするんだという話がありましたが。

横堀さん:Facebookで「舞台芸術制作者ネットワークミーティング」で検索をかけていただけましたら、ページを作成しておりますので、そちらに本日の議事録を含めてアップさせようと思っています。

齋藤さん:こういう議論を通してネットワークが育っていくものだと思いますので、是非引き続き、積極的な参加をお願いできたらと思います。

横堀さん:今日は長時間にわたり、ありがとうございました。2月に横浜でお会いできることを楽しみにしております。