キックオフ・ミーティング議事録

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【意見交換】

齋藤啓さん(鳥取 鳥の劇場)(発起人):

われわれ発起人にから皆さんの意見をお伺いするというのではなく、われわれも含め、いまこの場所にいらっしゃる皆さんで、意見を交わしていきたいと思います。

といいますのも、先ほどから話がありますように、オープンネットワークという話があります。簡単に言うと、だれでも参加できるものだと。ということは、発起人だけではなく、ここにいる皆さん全てが、会員になるかどうかは分からないけれども、基本的に参加の可能性があるということだと思います。

もう一つは、あちこちの資料に「仮称」と書いてありますが、つまり、まだこの会はできていないんですね。これを作るために今日皆さんにお集まりいただいて、色々な知恵を貸していただこう、というのがこのキックオフの主旨だと思うんです。

なので、是非皆さんの思っていらっしゃることをどんどん出していただければと思っております。

 

(一同、席を円になるように移動)

 

話し合う内容としては色々とあると思います。

このネットワーク自体、どういう組織というか形態にすべきか、ということもあります。それを先ほどの規約案に、色々と反映させていったり。

あるいは、これからどういう活動をしていくべきなのか。

これは3ヶ年計画という形で、先ほど発起人の方のアイディアを紹介させていただきました。

そういった具体的なことも当然あるべきなんですが、そもそも、なぜこのネットワークを立ち上げるのか。俗にいうそもそも論というやつですが、そういったことをここで出しても差し支えはないのではないかという風に思います。

先ほどコ・ジュヨンさんの方からも、既存の韓国のネットワークの弊害の話もありましたが、どういう風にそういう問題を乗り越えていくのか、ということも話し合っていくべきではないのか。それが来年以降、この会を立ち上げるときの肥やしになっていくのではないかな、という風に思います。

きっかけとして私の方から質問として投げかけさせていただきたいのが、このキッフオフ・ミーティング自体には皆さん文字通り参加者として関わっているわけですが、その参加にあたって、どういう問題意識を持って参加していただいているのかということを是非、

まず何人かの方に語っていただきたいと思います。

もちろん、ちょっとのぞきに来たという人もいらっしゃるかもしれませんが、どういう問題意識を持ってここに来て、それが自分が普段されていることで、どういう観点を持ちうるのか、あるいは持たないかもしれないけれど、こういうことに関心があるということを、何人かの方に語っていただきたいと思います。

 

三坂恵美さん(福岡 劇団ぎゃ。):

理事はイコール正会員と考えていいんですよね?

 

齋藤さん:

はい。

 

広田さん(東京 アマヤドリ):

作、演出、主宰をしており、ちゃんとした制作者がいない状況でやっております。

問題意識としてすごくあるのは、東京でやっていて、制作者の地位というのはすごく向上しているし、ある種の経験力というか、ちゃんと得てきつつある、発言力は増してきつつある。だけれども、なり手がなかなかいないことと、なり手になろうとしている人と劇団との出会いがないということがあって、主催同士で会うと、制作がいないよねっていう話は常々しているし、制作の地位が上がったということと、何というかカンパニーとのつながりが、今一つうまくいっていないということもあり、制作者としてどう動くかということで今日のような会があるということだったので、どう動いていくのかなと。

今までの既存の制作者のあり方だと、劇団、カンパニーとどう付き合うか、作・演出とどう付き合うかということが制作者のかなり大きな仕事だったと思うのですが、どうもそうではない流れに、制作者は制作者で様々な演出家と付き合う可能性、様々なネットワークと付き合う可能性というのを持って動きつつある時代が来ているのかな、という風に思った時に、どういう風にカンパニーの主催としてはそういった意志とか能力を持った制作者と出会って仕事をしていけばいいのかと。

その接点がないということが自分の個人的な危機感としてはありまして、こういった場に来て、いまの流れがどうなっているのかということを単純に知りたかったということもありますし、どういう出会いがあるのかなという知見を得たかったというようなことで、今日は参りました。

最初に急に条文の話から入ったので難しかったのですが、発起人の方々の名前を見ても、それぞれにポジションというものがあると思うんですね。カンパニー、演出家とすごく近いポジションの方もいれば、すごく中立性の高いポジションにおられる方もいて、それぞれがずいぶん違うんだろうな、と思うんです。

目的の第3条というのも読ませていただいて、ある意味では非の打ちどころもない文言だと思うのですが、あまりにも曖昧な文言にも見えてしまっていて、で、会費がありますとか、こういう条文でいきますとか、いわば具体的な話がある一方で、実際はたまに会って女子会やりましょう、みたいなことなのかな、位にしか。

というのも、一つこういう事業をやりましょう、その中で予算を使いましょうということにどんどんなっていくと、そもそもオープン・ネットワークという、だれでも参加できることと結構変わっていってしまって、一つの目的を持って、その目的のために進むんだ、という集団に変化していかざるを得ないと思うんです。

たまにあって情報交換をするという目的のなさをキープするというのも一つ、集団が、このネットワークが価値を持つことになっていくと思うんです。その目的じゃないっていうことが。

事業がいくつか立てられ、ここに向かって動いていきましょうと言えば、それにそぐわない人は離れてき、交流の場としてのバリューはむしろ下がってしまうのではないかという意味で、オープン・ネットワークであるということと、会費をとり、総会を作り、会則を作りという、極めて目的的に進んでいく、従来の会とかなり似通った部分と全然違う部分と、みたいなことを感じているんです。

そのあたり、発起人の方々はどういったイメージを持っていらっしゃるのかと思うのですが、いかがでしょうか。

 

齋藤さん:

ありがとうございます。今のは実演者の方からの立場からということでご発言いただきました。

先ほど制作者の役割というのが変わってきて、劇団に付いて制作をするだけではない、ということを仰っておりましたが、今回の発起人12人ですね、制作者という職業を書いてはいるのですが、実際かなりそれぞれ立場は別でして、劇場についている人もいれば、劇団についている方もいれば、またフェスティバルをやっている人もいれば、また丸岡さんたちのようにプラットフォームという関わりをされている方もいれば。そういう非常に多様性があることをまず一つ指摘させていただきたいと思います。

当然そのことも、このネットワーク作りにも反映されていくのだということだと思います。

今仰っていた、会の形を作るということが若干先行しているのではないかというお話があったのですが。

 

伊藤達哉さん:

広田さんの質問の答えになるかどうかちょっと分からないのですが、僕の場合はもう、かなり具体的にやりたいことがあります。たぶん発起人の12人12様、かなり具体的にあると思うんです。

僕がなぜ文化行政の歩みみたいなことをつらつら話したかというと、2001年に文化芸術振興基本法ができ、2012年にようやく劇場法が成立した。そうするとまた約10年後、2022、3年に何か大きなものを僕たちは作らなくてはならない、っていう自覚がある。

2014~5年頃にはいわゆる第四次基本方針というのがまとめられるはずなんですね。

それを、実演家とは別に、制作者たちで具体的に議論していく必要性を感じています。こうして国の政策を変えていくということが手に届くところにある、っていう実感があるんです。

それを実現するためにどういう委員会にしていくか。

様々だと思うんですけれど、どこをテーマにしていくかも含め議論がいま続いているんで、

具体的にかなりあるという風に理解していただければいいのではと思っております。

 

伊藤初純さん(東京 東急文化村 企画制作室):

今の話の流れで質問を兼ねてなんですが、委員会のことをサブ・ネットワーク、事業と仰っていたかと思うのですが、私の中で聞いた印象のサブ・ネットワークというのは、すごくゆるやかにできていく集まりというかコミュニティという印象なんですね。

ただ、委員会とサブ・ネットワークを同等なレベルで扱うと、サブ・ネットワークがすごくしっかりとしたもの、ゆるやかなもの、それこそ理事に報告をして成り立っていくような、すぐには動き出しづらい、ゆるやかではないものになっていまして、広田さんが仰っていた、ゆるやかなネットワークとしての価値と、委員会としての価値が共存することは難しいなと思いつつ、それが本当に可能なのか私自身も考え中で、そこをどう考えているのかお伺いできればと思います。

 

丸岡さん:

おっしゃる通り、委員会みたいなものではないゆるやかなネットワークとしてのサブ・ネットワークも、もっとできてくればいいと思うし、たとえばこのあと知り合い何人かと飲みに行ったりなさるでしょう(笑)、そういったこともどんどん起きてくればいいと思いますが、意見や考え方が異なる人同士でサブ・ネットワークを創るのは、頭では必要とわかっていても、なかなか自然発生的には難しい。さらに、仕事の傍らで行なうことですから、

継続する為には、いつでも立ち戻れる目的や形式は必要だろうと思います。新鮮なうちは良くても、人は目的なくそんなに動けるものではないと思うし、また、混乱したときに共通認識を確認できるようなものは必要なだと思います。伊藤さんのようにクリアな目的を持っている人もいるでしょうが、もっと抽象的な理由で参加する人でも、サブ・ネットワークとは別に、それを一歩進めた形の、ここでは委員会としていますが、そういうものに参加する事で充実するのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

それから広田さんが仰っていた制作者の話ですが、作品を作るにあたってアーティストたる演出家と制作者の関係が変わって来ている感じがします。演出家のやりたい事を実現する為の制作者というのがかつては主流だったのが、今はアーティストと制作がフラットな関係でひとつの作品を成立させる為に別の立場から共闘する様になったというか。

また、作品の製作主体が、少し前迄はカンパニー/アーティストサイドが行なう事がほとんどだったのが、今は劇場やフェスティバルが主催となる場合が増えて来ているので、制作者はそういう所に所属しよう、またはする傾向にどんどんなっていて、結果として、地位の向上にも見えるのかもしれませんね。答えになっていませんが。

 

川口さん:

僕たちが考えている「委員会」について補足します。

このネットワークの中で立ち上がる「委員会」というのは、複数あることを想定しています。

たとえば、劇場法に関して研究をしたいので、僕が「委員会」の委員長に立候補をする、それに対して一緒に研究したいという人がいてグループ(委員会)が立ち上がる。

一方で広田さんが、アーティストの環境を作りたいんだ、っていう風に立ち上げてグループ(委員会)ができる。

それぞれがたとえば3年とかという期間を通して、ある一つの提言を練り上げるみたいなことが、このネットワークでそれぞれできる。ただ、「委員会」と「サブ・ネットワーク」で何が違うかっていうと、「委員会」ではある調査・研究のために誰かを招聘して話を聞きたいという時に、ネットワークの予算で招聘することができる。逆に言うと提言なりを作り上げる為には予算が必要になってくると思っています。

予算を使う以上、透明性みたいなものはどうしても確保しなければいけないと思いますし、その辺で、この規約でいろいろと定めているものがあり、ネットワークの枠組みの中での承認が必要になるということです。

一方、「サブ・ネットワーク」で、例えば僕がいろいろと研究する仲間が欲しいというとき、それが別に予算を申請しない形で進行するのであれば、それは承認などなくても、いくらでもこの場を利用して課題を共有する人を見つけて自由にやっていけばいい、と考えています。

 

齋藤さん:

ありがとうございます。広田さんがなぜここに来られたのかという話から広がりましたが、

制作者の仕事の環境ということがまず一つあったと思います。

地位は向上しているという意見がありましたが、そこも色々な意見があると思います。

3ヶ年計画の一つとしてはもう消えてしまいましたが、実は制作者の活動環境を考える委員会を立ち上げてはどうか、人材育成は必要かという案が一つ入っていました。

それと関連して丸岡さんの方から、舞台芸術における作品の作り方というのがもうそもそも変遷をしてきていて、その在り方がもう変わってきているということ。

それからもう一つはこの会もしくはネットワークの在りようですね。オープンなネットワークであるということが、どういう風に具現化していくか。それが規約や、委員会といった名称の付いた会がどうなっていくのか。

それに付随して、ゆるやかなサブ・ネットワークという話がありました。

似ているようでありますが、オープンであるということと、ゆるやかであるということは、似て非なるところもあるのではないか。

また、ネットワークそのものがオープンであることと、その下のサブ・ネットワークがゆるやかであることも、またこれも少し違うことではないかな、という風に思います。

よろしければ広田さん以外にも、問題意識というものを、どのようにもっていらっしゃるかということをお聞きして議論を進められたらと思いますが、いかがでしょうか。

先ほど広田さんからは制作者のなり手がいないという話がありましたが、おそらくここにいる人の大半は制作者になってしまった人だと思いますので(笑)、もしよければそちらのサイドからも意見を聞かせていただければと思います。

 

三坂さん:

アートマネジメントを学ぶ学科ができたりして制作になりたいって思う人が増えてきたと思うのですけれど、制作という仕事が、今まで劇団の制作しか考えられていなかったのが、どんどん、いろいろな立場でいろいろな活動の仕方があるっていうので、それに興味がある人が増えきて多様化しているので、現状として絶対数が全然足りていないんだろうなって思っています。

福岡の劇団制作の人も、制作のみでやって人はなかなかいなくて。

こういう実務の制作の人が集まるネットワークとして、ある程度の形のものがあると、

海外からネットワークがどこに行っていいかというのと一緒で、今は国内でもどこに行けば制作としてだれに出会えるのかみたいな拠り所がない状態だと思います。

一人ひとり、それぞれの地域の色々なネットワークを持っている人がいて、その人に当たることができればできるけれども、そこに当たれない人はネットワークに触れられない状態になっているなと思うので、こういうのができることで、ネットワークの外、ネットワークに外にいて触れたい人が関わる拠り所になることとしては、ある程度の形が見えやすいものがあるといいな、と思いました。

 

久野敦子さん(東京 セゾン文化財団):

皆さんのお話を伺いながら、すごく基本的なところを確認させてください。

制作者という言葉が自明のように存在しているかというように書いてあるのですが、

今お話があったように制作者の仕事は多様化しているし、広い意味での制作者と言えば、私も行政の人も、文化的な部分で携わっている人はみんなアーツマネージャーと言えると思うし、今話が聞いていてすごく大きな部分と、すごく現場に沿った部分とが混在していると思っていて。

ここで使われている制作者という言葉が何を指しているのかということでは、広田さんのように主宰者であっても、制作のセンスを持ちながら仕事を続けている方もいらっしゃるし、ダンス関係者のほとんどは、アーティスト=制作者です。

 

丸岡さん:

それ自体がが問われる会となるかもしれないのですけれども、制作者の定義は、作品とお客さんをつなぐ間の仕事をしている人と私は話しています。

アーティストでセルフプロデュースをなさっている方もいっぱいいるので、どこまで分けられるのかは別なんですけど。ご自身が、この定義において、自分も対象であるとおもわれれば、参加して頂きたいと個人的には思います。

 

久野さん:

どこかに定義はあった方が入りやすいのではないでしょうか?

私は対象であるのか、対象でないのか、というように。

 

丸岡さん:

はい、そうですね。

 

齋藤さん:

お客さんと作品をつなぐ仕事をしているのが制作者ということですね。

お客さんを社会と言い換えることも、コミュニティと言い換えることも可能だと思うのですが、そこはそれぞれ活動によってずいぶん差があるかなと思います。

他に定義がある方、私はこういうことを思って制作の仕事をしているという方がおられたら是非ご発言を。

ちなみに私は鳥取で仕事をしているのですが、おそらく、舞台の制作という専門に鳥取県内で仕事をしている人間は、数えられるほどしかいないのではないかなと思います。

制作といった時に、やはり舞台業界の外の人にはなかなかわかりづらいんですよね。

実際に説明すると、本当にそれで飯は食えるのかという、次の話になりまして。

いや、でもこういう風にしてやっているんですよ、と言うと分かっていただけるという側面もあるのですが、その制作者自体の仕事、例えばさっき、お客さんと作品をつなぐ仕事といった時に、それをつないでいる仕事もやはり、もう少しつなぐ相手に対して、可視化というか、理解しうるものになっていかなくてはならないのではないかなというのは、常日頃思っていることです。

 

赤羽ひろみさん(東京 ゴーチ・ブラザーズ):

三坂さん、斉藤さんから挙がったお話を受けてですが、自分自身がいま25歳で、就職活動とか同世代を見ていると、制作にどうやったらなれるのだろう、ということがすごくあると思っています。

私自身、桜美林大学でアーツマネジメントの学科ど真ん中で4年間勉強してきましたけれど、4年生になって、卒業して制作になるにはどうしたらいいだろうと迷って公共ホールに就職する人が、すごく多いという実感があります。

同時に劇団やダンス・カンパニーの制作になった人たちは、じゃあ自分自身が大きくなっていくにはどうしようと考えつつも、これで生きていけるのかについても不安を持っています。

優秀で思想・考えが深い人たちが辞めていかなくてはならない現実というのは、すごくまずいと思っています。

先ほど斉藤さんから話が上がりましたが、ここに制作の人たちがいる、ここに行けば何か情報が分かる、という環境・状況があると、希望があるのではないかと思っています。

それに付随して、学生会員の在り方というのはもう少し考えられたらいいのではないかと思っています。

それはお金のこことかインターンのこともあるのですけれども、実際に今何を求めているかというところとか。

学生のうちからうまく制作のネットワークに関われたりすることを。

それが教育の範囲なのか、仕組みの問題なのか、プログラムの問題なのかは、これから検討していけばいいとは思います。

さらに下の世代にこのネットワーク・ミーティングが広がっていくという可能性を踏まえつつ、これからうまく議論が固められればいいのではないかと思っています。

 

齋藤さん:

学生の人たちにこのネットワークに関わってもらうために、どういったことをするのがいいと思いますか?

 

赤羽さん:

私自身も参加して思ったのが、まず場として、高尚ではないですが敷居を高く感じてしまう部分があると思っていて。

例えば委員会ごとでの学生向けプログラムなのか、レクチャーなのかはわからないですが、開かれた形で、会員として誰でも入れるということは前提としてある上で、若い世代にリーチしていくということに重点を置いた活動がいいのでは、ということはすごく感じています。

 

中村さん:

学生会員の意見を出したのは私だったのですけれども、私も大学で非常勤で制作を教えているんですね。彼らが入って来られて、現場の方々に触れられる機会が与えられるといいと思いまして、枠組みをどう持てるかということを検討しました。

今のフレームで言うと、学生が私たちの潤滑油になっているというか、一緒に運営していくメンバーになっていくと。

そういった労働力を提供してくれることによって、私たちも知識だったりネットワークだったりということを提供できるというところで、彼らは無料でも何人か受けられるのではないかと思っています。

想定としては2、3人、意欲のある方々が参加してくれるというのを想定していて、だれでもオープンに参加していいよ、っていうところではないんですね。そこはやはり責任感の問題とか、与えられる一つの大掛かりな事業になってしまうので、そこまで私たちもボランティアではできないであろうと。

なので、意欲的な子たちが2、3人関われる場所は取っておきたいと。

それ以上の所は、例えば委員会を結成して、そこに意欲のある方々が運営していく中で、学生との交流の場を設けていければいいのではないかなという風に想定をしています。

 

赤羽さん:

その2、3人というイメージは実は私もぴったり来ている人数です。

私自身も大学時代にインターンとしていろいろなところに何回か行っているんですけれども、インターンの受け入れ先は、私自身はすべて公共ホールだったんですね。

先ほどの広田さんのお話ではないですが、劇団の制作になりたい、アーティストに出会って共に歩んでいけるというのは本当に幸せなことだと思うのですけれども、実際に歩んでいる人たちに出会える場として、このネットワークの中でインターンという形で何人か。

それは公募という形でできると思うのです。

インターンの受け入れができますというのがあると、その人たちがどう会員として関わるかというのとは別としても、働いてお金をもらって生きていく制作者の人たちのノウハウを掴んで感じられる場が成立していくといいではと、話を聞いていて思いました。

 

野村さん:

人材育成をどうするのか、あるいは、アーティストと制作者の出逢いをどうつくるか、についてです。

サブ・ネットワークと委員会の話と同じなんですけれども、僕も大学で非常勤講師をやっていて、授業で意欲のある学生が聞きに来たら例えば伊藤さんの現場、ゴーチ・ブラザーズ制作の公演の現場に紹介したり、というのをこれまでもやってきました。

僕がこういうようなことをやるのと同じように「このネットワークに参加している人一人一人が他人に対するハブになる」っていうことだと思うんです。

つまり、人材育成みたいなことがあらかじめ組織としてプログラムされているかどうかということの問題ではなくて、組織がなにを提供してくれるのか受け手として期待するということでなくて、参加している会員である自分自身が何を望んでいるかというところは、結構大事だと思います。

この場では、私たち発起人がこのネットワーク・ミーティングのプレゼンテーションをやっているような感じになっていますけれども、このネットワーク・ミーティングに参加しようという人は、ネットワークを自分がつないでいったり、人材を自分で育てたり、自分も誰かを誘い込んでいくっていう、そういうアクティブなマインドで関わっていけば、言い出しっぺの人たちからプレゼンテーションでそれの価値が100%説明されなくてもいいのではないでしょうか。

「おい行こうよ行こうよ」って互いに知り合いや信頼している人を引き込んで、このネットワークを使ってふさわしい人たち同士を出会わせていくっていうことを、会員の方たち自身がやることで、ネットワークが「有機的に実践」されるのではないかと思っています。

 

中西由佳さん(大阪 子供鉅人):

私自身いま大学4回生でいま就職活動を終えたところでして、会社に入ることになっているのですが、就職活動中に何とか制作として活動していけないか、どうやって生活するかということを考えた時に、私自身大阪にいたら、出会いの場はもらっていたけれど、どうしたらいいのかわからないことがあって、先ほどの話にあったように会がハブになったりというのがすごくいいなと思って。

是非私もインターンしたいなというのをここに入れておきたいなと思って。

といってもあと半年くらいしかないんですけれど(笑)

東京の方に就職するので、ぜひよろしくお願いします。

 

齋藤さん:

ぜひ今日はたくさん名刺をもらってください(笑)

少し戻り、先ほど赤羽さんの方から制作者になりたい人の受け皿として、公共ホールという話があったのですが、そうすると公共ホールが制作者の人材育成を請け負っているという形になるのかなあと思うのですが、公共ホールにお勤めの方がいらっしゃったら、その点をお聞きしたいと思うのですが。

 

ヲザキ浩実さん(東京 あうるすぽっと[豊島区立舞台芸術交流センター]):

東京の豊島区の劇場で制作をしております。今回のネットワークを興味深く思っておりまして。実は制作者の統括団体というものは実際にあります。

ふるいのですが、日本新劇製作者協会というものがありまして、私はそこの理事も運営管理も両方しております。

そこはいわゆる既存の新劇の劇団の人たちが集まってやっている制作の団体で、会員200弱かな。

理事になってみてよく分かったのですが、それまではできたら私の世代、私より下の世代の制作者の人たちに対して、ネットワークや情報は必要だから入ることができないか、ということを考えていたんですが、挙がる話題が、演観はどうの学校公演はどうのとか、あと助成金のことに関しても色々なものがあるのですが、やはり民間の劇団のトップレベルのどうの、とか。

かなり皆さん目的が狭いものになっていて、他の、いわゆるこれだけの多様な制作者の入る隙間がないんですね。

これは参ったなというところに、自分自身が全く話題についていけないという状況になってしまい、でもどうしよう、これからどんどん色々な形で、アーツマネジメントの学校もあって、どんどん社会に出てきたい子たちがいる、と。

そうでなくてもこうやって社会とやっている制作者がいっぱいいるということが、自分が逆に公共劇場で働いていて分かっていますし、このギャップはどうしたものか、と思っているところでこういうことが立ち上がってきて、しかも今の発起人の皆さんは、様々な形で関わって仕事を続けていらっしゃる。

この多様性というものに非常に惹かれて、今回は参加させていただいた次第です。

皆さんプラットフォームやフェスティバルやアーティストマネジメントなどをやりながら制作をやってらっしゃるというのがあると思うのですが、もう一つ、公共劇場ができる、我々ができるのは、社会とつながるということなんですよね。

アートマネージャーになりたい、制作になりたいという一般の学生がいるときに、人材を育てるっていうこともそうだし、アーティストをどうやって社会と関わらせるか、我々が持っているノウハウをどうやって社会に機能させるか、地域社会とアーティストと、隔絶しているものをどう結び付けるかっていうのは、我々公共劇場のミッションの一つなので、それは、この中にいるいろいろな職能の制作者のうちの一つの所で働いている、我々公共劇場のハブとして、是非活用させていただきたい、ということがあります。

だからこそ逆に、舞台を一生懸命書いて作ってというところだけ限定でしかやっていない、これだけ実はいろいろなかかわり方があるということが、今日ちょっと見えたと思うんですけれど。

逆に、普段の仕事以外でこういう横のつながりが見えて、色々な問題がある、今まで見えていなかった、こういう形で社会に参加する意義、もしくはここのまるりょうかいまる情報を得られるというところを、ここでできたら非常にいいだろうなという風に思いました。

それぞれ皆さんが持っている専門性というのも逆に共有できる。

ということでオープン・ネットワークという話は、私はある専門性を突き詰める委員会という小さなユニットがもっと一杯あっていいし、いままで関わりが考えられなかったけれど、ゆるっと話していく中で、じゃあ新しいプロジェクトができるんじゃないかと思います。

それが何か一つ作品を作るっていうことじゃなくて、じゃあ学生会員の受け入れ先を確保する、例えばここに何人か公共劇場の人がいる、カンパニーを自分で運営している方もいる、受け入れられるところでじゃあ受け入れようとか。

逆に教育機関で働いている方たちの所に誰か専門性の高い人たちが講義に行くとか。

そういう色々な形で情報をシェアして、全体のボトムアップをしていければいいなと、そのための横のつながりであってほしいなと思うので。

学生さんとかもなるべくいろいろな形で、皆さん学校で教えられていたり窓口があると思うので、むしろ広く学生会員を募って、その受け入れ先は各会員が受け入れて、裾野を広げていくという積極的な方法で行けたらいいんじゃないかなと思います。

我々も学生さんに情報を広めるとき、ネットTAM命、もしくはNextさんしかないので、それ以外で情報を共有したり広げられるネットワークがあるというのは、非常にありがたいことです。

 

齋藤さん:

ありがとうございます。今少し組織の有り様についてもご研究いただいたのですが、もう少し人材育成の話を進められたらと思います。

これは大卒の、いわゆる新人の方だけではなくて、ある程度キャリアのいった人たちが、

どのように自分たちを再教育するかといったことも、問題として含まれてもいいのではないかと思いますが。

 

中原恵さん(福岡 福岡市芸術文化振興財団):

普段はアートマネジメントのセミナーなどを企画しておりまして、九州の状況かもしれないのですけれど、ある程度現場を積まれた方たちが、ある時期に別の業種に就かれるということもありまして、非常にアートマネジメントの人材の流出と、新しい若い世代がなかなか安心して入ってこられる環境ではないということを課題に感じています。

先月末に九州でも、公共ホールのアートマネージャーを対象としたセミナーを行いまして、そういった人たちが、顔の見れるネットワークでお互いの状況を把握できるようになるし、ネットワークが太い線になっていったり、細かく線が増えて行ったりっていうことが、そういった人材流出の一つの歯止めになるのかなと思っています。

今まで、良くも悪くも個人の努力でネットワークをそれぞれが築いてきた面があると思うのですけれども、文化芸術が社会のいろいろな場面で場を持っていっている中で、やはりほかの業種に比べて、もっとボトムアップしてかなくてはならないというか、個人の情報収集能力というところではなく、みんなが知っている情報量を全体として上げていくということが、これから非常に重要になるだろうと思っています。

今回の、このような規模でのネットワークというところで、それが網の目が細かくなって取りこぼさないようにするとか、個人が抜けてしまうことで失われるものが、なるべく減るとよいなと思っています。

学生さんについて、うちの財団はホールは持っていないのですが、インターンの受け入れはしています。

やはり現場にいっしょにかかわってもらうと、こういった仕事に就きたいとは言ってくれるんですが、やはり雇用の状況というものがネックになって、実際には、専門にある程度学んだ学生でも、こちらの道に進めないということがあって、そこの課題は深いと思うのですけれども、少しずつでも解決できたらと思っています。

 

郡山幹生さん(東京 Next[ネビュラエクストラサポート])

この春から制作者の人材育成のためのサービスとして、舞台制作塾を始めました。

Nextは、劇団キャラメルボックスの一部署だったところから分社した会社として、制作者の多岐にわたる業務のうち、劇団同士で共同作業ができる部分をしていくことで制作者の業務を和らげて、もっとクリエイティブな仕事に専念させていこうというコンセプトで設立し、主にチラシ折り込み代行サービスという業務を通じ、色々な劇団とのネットワークが広がってきました。

ニュートラルな立場で舞台制作の地位向上を目指してきて10年が経ったのですが、

10年間で制作者がクローズアップされて発言する機会が増え、環境が変わってきました。

こういう場にいることも、すごく夢のような気持でいます。

しかし、舞台制作を専門職として成立させることを成立させることを目標として分社したのですが、現状を見たところ、制作者にギャランティが支払われるような習慣は増えましたが、果たして職業として成立しているのかというと、例えば先ほどの斉藤さんのお話にあったように、一般の方に職業としてピンとこない、安心して職業として就いていると言える方がなかなかいないという状態のままだと感じています。

現場の方からは、制作者の人手が足りないという意見を聞くことが続いたままで、人材の育成が何かできないか、カンパニー各々のコンセプトに左右されないところでニュートラルな立ち位置として制作者のお手伝いをしますよ、というスタンスから、より直接的な人材育成の場を作る動きへと変えていく中で、今年、舞台制作塾というものを立ち上げました。

これは、舞台制作を仕事にしようという人の拠り所になれるように、ということを使命と考えています。

単発のセミナーではなく常設した講座を行う場を設けることで、主に、舞台制作を職業になることにたどり着けない人に向け、一番基礎のベーシックな部分のずれを擦り合わせる、ノウハウを享受するよりは基礎的なことを享受する、ということをコンセプトとしています。

現場のやり方は制作者によって十者十様で、現役の制作者を招いて講座を作ってもらうことにより、ケーススタディとなるものを出してもらおうと考えており、勉強したかったらとりあえずここに行けば学べる、という場にできればと考えています。

 

永川剛仁さん(東京 オールスタッフ/ミュージカルカンパニーイッツフォーリーズ):

僕も日本新劇製作者協会に入っていて、具体的な事案に対してのキャリアを積んだ方々が、

その事項について話し合うという場だったので、学生会員の話とかはすごく真剣に聞かせていただきました。

僕自身もまだまだ制作を始めたばかりで、これからそういう機会が増えてくれればありがたいと思っております。

やはり僕もこれから職業としてやっていけるかどうかというところで学んでいきたいのですけれど、僕の場合は運のいいことに、今の会社に就職できて、僕がやりたかった劇場運営をする仕事、アトリエ・フォンテーヌという劇場を運営させてもらったこともあって。

今はなんとなく、演劇の近くにいたから制作者の仕事を分かっていただろうというような状況で、分かっている範囲の知識の中ですが、やはり現場では違うケースがあって。

経験から出てきた知識というものを、こういった場で共有させていただければすごい助かるし、嬉しいです。

委員会や3ヶ年計画の話の中で、組織として経営的なことを考えていかなければならないということと、委員会イコール事業ということの説明をされていたのですが、予算が関わることなので何か敷居を設けるかわからないですが、オープンなネットワークの中で、希望者はどこまで自主性で参加できることなのかということに興味があります。

 

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