シンポジウム「表現の自由をめぐって」@京都芸術センター レポート
2014.1.31
2013年10月14日、京都芸術センター大広間にて「表現の自由をめぐって」と題して、ON-PAM主催シンポジウムが開催されました。
登壇して頂いたのは、
斉藤貴弘さん(「Let’s DANCE署名推進委員会」共同代表。弁護士)、
原智治さん(京都市 文化市民局 文化芸術都市推進室 文化芸術企画課 )、
吉岡洋 さん(京都大学文学部・文学研究科教授 。専門は美学 、情報文化論) です。
まず最初に、モデレーターの橋本祐介さん(KYOTO EXPERIMENTプログラム・ディレクター/ON-PAM理事長)から、ON-PAMの活動紹介、今回のテーマ、議論のプロセスについて説明がありました。
今回のテーマ
舞台芸術の現場では、一見、関わりがない、あるいは問題として直面していないのではとないかと思われがちでありながら、実はじわじわと本質的なところで、この問題を考えざるを得ないような状況になっている「表現の自由」について。
議論のプロセス
1. ダンス営業を規制する風営法問題に取り組み、「Let’s DANCE署名推進委員会」共同代表で、弁護士である斉藤貴弘さんから「Let’s DANCE署名推進委員会」の活動の事例紹介をして頂く。
2. 「風営法」に限らず、現在どのような形で表現の自由は制限されているのか?特に戦時中のような直接的な形で表現の自由を規制する特定の対象があるのではなく、
もっと目に見えにくい形で表現の自由の規制は行われているのではないか?今の実態を明らかにしていく。
3. 表現に携わる人間が、守るべき、あるいは保証すべき表現の自由とは、一体何であるのかを、制度上の問題と理論的な問題の両方の側面から考えていく。
4. 表現の自由に関して、「Let’s DANCE」の活動から抽象的にさかのぼっていった上で、私たちがこの問題をどういうふうに考えて、行動していかなくてはいけないのか、を議論していく。
5. 表現の自由に関して、「Let’s DANCE」の活動を参照しながら、創造環境に対して大きな出来事が起こったときに具体的な行動にすぐ移していくためには、どういうことが可能なのか、について。
くわしい議論の内容については、既にいくつかのサイトに詳細が記されていますのでそちらで見て頂ければと思います。以下にリンクをご紹介します。
京都文化芸術オフィシャルサイト「KYOTO ART BOX」
KAB Dialogue インタビュー/対談
舞台芸術制作者オープンネットワークシンポジウム「表現の自由をめぐって」レポート1
舞台芸術制作者オープンネットワークシンポジウム「表現の自由をめぐって」レポート2
「Let’s DANCE署名推進委員会」活動ブログ
「舞台芸術制作者オープンネットワーク「表現の自由をめぐって」に出演」
参考:Let’s DANCE署名推進委員会
登壇者プロフィール/順不同・敬称略
斉藤貴弘
「Let’s DANCE署名推進委員会」共同代表。弁護士(斉藤法律事務所)。弁護士として一般民事から企業法務まで幅広く法律業務を行うとともに、著作権法や風営法など音楽やアートを支える法律分野にも力を入れている。法律分野以外でもより広く音楽やアートを支えるインフラ整備にコミットするため、ユニークな手法で多くの若手アーティストを輩出してきたL.Aのインターネットラジオ局“dublab”の日本ブランチ“dublab.jp”にも関わっている。最近ではクラブやダンス教室などダンス営業を規制する風営法問題に取り組み、15万以上の法改正を求める署名を集め、ダンス文化推進議員連盟に届けた「Let’s DANCE署名推進委員会」の共同代表でもある。
原智治
京都市 文化市民局 文化芸術都市推進室 文化芸術企画課。1980年、京都市生。京都大学工学部電気電子工学科卒業。ソニー・エリクソン勤務を経て、2007年、京都市入庁。現在は文化行政を担当。NPO法人芸術生活研究所hanare監事。主な寄稿に「ヒップホップのハード・コア」(『GRL KYOTO MAGAZINE』所収、2011)。
吉岡洋
甲南大学教授、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)教授を経て、現在 京都大学文学部・文学研究科教授(美学芸術学)専門は美学、情報文化論。主な著書に、『情報と生命―脳・コンピュータ・宇宙』(新曜社 1993年)、『〈思想〉の現在形―複雑系・電脳空間・アフォーダンス』(講談社 1997年)など。訳書に R.ローティ『哲学の脱構築―プラグマティズムの諸帰結』、H.フォスター『反美学』、M.ポスター『情報様式論』、B.マズリッシュ『第四の境界―人間機械(マン・マシン)進化論』など。批評誌『ダイアテキスト(Diatxt.)』(京都芸術センター刊)1~8号、『ヨロボン(Diatxt./Yamaguchi)』(山口情報芸術センター刊)編集長。『京都ビエンナーレ』(2003)、「岐阜おおがきビエンナーレ」(2006)総合ディレクター。日本記号学会会長。美学会副会長。
文責:川口聡