【オンライン講座】舞台芸術の「未来」をのぞむ連続講座2023 〜持続可能な創造環境に向けて

2023.9.12

2021年の「契約にまつわる」連続講座、2022年の「関係性をめぐる」連続講座では、コロナ禍を契機として舞台芸術の創造環境における課題を可視化し、改善をはかる一助となりました。
2023年はシリーズの最終章として、私たち自身の身体・心理等の視点から、より長期的かつ前向きに人と舞台芸術のあり方を見つめ直します。
舞台芸術の特性と可能性を引き出し、新たな発想、思考および活動の起点や拠り所を探る、全6回のオンライン講座です。

チラシはこちらからダウンロードできます。

▼▼ 報告書 ▼▼
各講座の概要とアンケートの回答を中心に、講座全体を振り返る内容になっています。
画像をクリックしてご覧ください。


報告書掲載ページはこちらからご覧いただけます。

【開催日時】
2023年
10月23日(月)19:00〜21:30 第1回 老いと舞台表現
11月20日(月)19:00〜21:30 第2回 舞台芸術と遊び
12月18日(月)19:00〜21:30 第3回 ベイビーシアター
2024年
1 月15日(月)19:00〜21:30 第4回 脳科学から見た演劇
2 月13日(火)19:00〜21:30 第5回 アーカイブ〜その創造性と未来志向
3 月12日(火)19:00〜21:30 第6回 舞台芸術の公共性と公共圏

各回終了後、参加自由のおしゃべり会を30分ほど行う予定です。

実施方法
オンライン(Zoomウェビナー)
※UDトークによる日本語字幕配信を行います。
※資料を画面共有する場合がございます。タブレットやPCなど文字の読みやすいデバイスをお使いください。

対象
舞台芸術をはじめ芸術、文化活動・事業に携わっている方。
本講座で学びたい方、興味のある方はどなたでも。

アーカイブ動画視聴
本講座にお申し込み頂いた方は、リアルタイムでの受講だけでなく、
アーカイブ動画をご視聴頂けます。
視聴期間|各講座終了の数日後〜2024年3月29日(金) 23:59
※講座の内容は基本的にリアルタイム受講に合わせられています。
できるだけ当日に「ライブで」ご参加ください。

受講料
全講座(6回)|一般:4,000円 学生またはON-PAM会員:2,500円
※2023年12月31日(日)23:59までにお申込み頂いた場合のセット料金です。

各回|一般:800円 学生・ON-PAM会員:500円

お申込み締切
リアルタイム受講|各講座の前日 23:59
※ただし、全講座(6回)セットのお申込みは2023年12月31日(日)23:59です。
締切までにお申し込み頂いた方に、リアルタイム受講用のZoomアドレスをお送りします。
締切後にお申し込み頂いた方には、後日アーカイブ動画視聴のためのURLをお送りします。

アーカイブ動画視聴|2024年3月22日(金) 23:59

お申込み方法
Peatix からお申し込みください。


講座概要

第1回 老いと舞台表現
2023年10月23日(月)19:00〜21:30
以前より日本では、高齢者が舞台に立つことは特別ではありませんでした。時にネガティブな印象を持たれていた「老い」が、人口の1/4が高齢者という社会で当たり前のことになっています。思想や感情などを表すこと、また、それが形として表れる「表現」に年齢は関係なく、一生を通じたものであり、その人らしさ=個性に強く結びついています。老いてからの自由にも焦点を当て、演劇と舞踊それぞれから社会と舞台芸術における「老い」をポジティブに、豊かなものとしてとらえてみます。

講師:菅原直樹[「老いと演劇」  OiBokkeShi主宰]
1983年栃木県宇都宮生まれ。桜美林大学文学部総合文化学科卒。劇作家、演出家、俳優、介護福祉士。「老いと演劇」OiBokkeShi主宰。四国学院大学非常勤講師、美作大学短期大学部非常勤講師。青年団に俳優として所属。2010年より特別養護老人ホームの介護職員として勤務。2012年、東日本大震災を機に岡山県に移住。2014年「老いと演劇」OiBokkeShiを岡山県和気町にて設立し、演劇活動を再開。並行して、認知症ケアに演劇的手法を活用した「老いと演劇のワークショップ」を全国各地で展開。2016年より活動拠点を岡山県奈義町に移す。
平成30年度(第69回)芸術選奨文部科学大臣賞新人賞(芸術振興部門)受賞。
撮影:草加和輝

©TAIFUN

講師:中島那奈子[ダンス研究者/ダンスドラマトゥルク]
老いと踊りという研究分野を切り拓き、ダンスドラマトゥルクとして国内外で活躍。近年は老いやジェンダー、伝統と現代といった研究と実践を融合させ、米国ポストモダンダンスの再構成「イヴォンヌ・レイナーを巡るパフォーマティヴ・エクシビジョン」、日本のコンテンポラリーダンスのアーカイブ化「ダンスアーカイブボックス」、老いのダンス化「型の向こうへ」がある。2019/20年ベルリン自由大学ヴァレスカ・ゲルト記念招聘教授。2021年からカナダバンフセンターのドラマトゥルクも務める。著書『老いと踊り』。2024年3月に京都でドラマトゥルク・ミーティングを開催。(http://www.dancedramaturgy.org
©TAIFUN

第2回 舞台芸術と遊び
2023年11月20日(月)19:00〜21:30
日本にまだ「芸術」という言葉のなかったころ、平安時代に使われていたのは「あそび」という言葉でした。その典型である「遊宴」は、日常とは別の世界で、他人と共に世界と自己とを体験するための仕掛けと考えられます。なぜ「遊び」は芸術から切り離されてしまったのでしょうか。そもそも「遊び」が持っている意義とは? 世代や時代を超えて、創造の源ともいえる遊びと舞台芸術の関係を解き明かしていきます。

講師:尼ヶ崎彬[学習院女子大学名誉教授]
1947年生まれ。学習院女子大学名誉教授。専門は日本の美学、舞踊美学。著書に『花鳥の使--歌の道の詩学』(勁草書房 1983)、『日本のレトリック』(筑摩書房 1988)、『ことばと身体』(勁草書房 1990)、『縁の美学--歌の道の詩学Ⅱ』(勁草書房 1995)、『ダンス・クリティーク』勁草書房 2004)、『近代詩の誕生――軍歌と恋歌』(大修館書店 2011)、『いきと風流――日本人の生き方と生活の美学』(大修館 2017)、『利休の黒――美の思想史』(花鳥社 2022)、編書に『芸術としての身体--舞踊美学の前線』(勁草書房 1988)、『メディアの現在』(ぺりかん社 1991)など. 個人サイトに『Flying Cabinet 尼ヶ崎彬の書類箱』(http://amagasaki.no.coocan.jp/)がある。

スピーカー:額田大志[作曲家・演出家/ヌトミック、東京塩麹 主宰]
作曲家、演出家。1992年東京都出身。東京藝術大学在学中にコンテンポラリーポップバンド「東京塩麹」結成。FUJI ROCK FESTIVALの出演など、現在までリーダーとして精力的に活動。また2016年に演劇カンパニー「ヌトミック」を結成。「上演とは何か」という問いをベースに、音楽のバックグラウンドを用いた脚本と演出で、パフォーミングアーツの枠組みを拡張していく作品を発表している。2022年『ぼんやりブルース』で第66回岸田國士戯曲賞にノミネート。舞台音楽家としても数多くの作品に関わり、Q/市原佐都子、岩渕貞太、コンプソンズなどに参加。
©︎Yuta Itagaki / Mana Hiraki

第3回 ベイビーシアター

2023年12月18日(月)19:00〜21:30
赤ちゃんと共に大人が参加する体験型演劇。様々な事例について発達心理学、脳科学、保育・教育学等を切り口として概説しながら、社会的存在として赤ちゃんに向き合うことが、いかに大切であるかを学びます。「自由」な赤ちゃんが無意識に全身で世界を感じ取り、感情や欲求を表すことは、至高のダンスあるいは演劇的な行為であるかのようです。その限りない好奇心や遊び心は創作及び鑑賞の出発点であり、舞台芸術との関連性についても理解を深めます。

講師:浅野泰昌[倉敷市立短期大学准教授/一般社団法人日本ベイビーシアターネットワーク理事]
1981年生。2004年、岡山大学教育学部卒業。2006年、とらまる人形劇研究所附属人形劇学校パペットアーク卒業。2008年、岡山大学大学院教育学研究科修了。くらしき作陽大学子ども教育学部助教・講師を経て、2022年より現職。保育者・教員養成に携わり、学生と共に劇団を組織し、乳幼児向け舞台芸術の地域公演(2008~2023年の実績630回)を行う。日本児童・青少年演劇劇団協同組合ベイビーシアタープロジェクトの設立に参画し、日本ベイビーシアターネットワーク理事、国際人形劇連盟日本センター理事等を務める。研究業績に「日本における乳児向け舞台芸術の動向」(単著,日本子ども社会学会『子ども社会研究』第29号)がある。

スピーカー:弓井茉那[BEBERICA theatre company代表/演出・プロデューサー/一般社団法人日本ベイビーシアターネットワーク理事]
京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)、座・高円寺劇場創造アカデミーにて舞台芸術を学ぶ。俳優としてクロード・レジの作品に出演し、世界三大演劇祭のひとつアヴィニョン演劇祭に参加するなど国内外で活動。ドイツ・デュッセルドルフの児童青少年劇場で演劇教育士として従事。国際児童青少年舞台芸術協会の世界大会のプログラムで次世代の担い手の一人に選ばれる。2016年より、乳幼児とおとなを観劇対象とする演劇作品 「ベイビーシアター」 を制作するベベリカ・シアターカンパニーを設立。2020年にアジア初となるベイビーシアター実践家のネットワーキングを目的とした「第1回アジアベイビーシアターミーティング」を開催。
撮影: haruhiro sako

第4回 脳科学から見た演劇
2024年 1月15日(月)19:00〜21:30
他者を演じるとき、脳内では何が起きているのでしょうか。近年、脳科学が発達し、脳の働きが詳しくわかるようになってきました。再生される「感情」のアーカイブとしても興味深く、脳の機能を知ると、演技へのアプローチや表現が変わってくるかもしれません。ミラーニューロン、 シーン構築、デフォルトモード・ネットワークなど脳科学の領域から演劇について掘り下げ、両者の親和性をたどりつつ、人間の創造性や革新性に迫ります。

講師:田中昌司[上智大学名誉教授/工学博士/日本声楽発声学会理事]
名古屋大学工学部・大学院工学研究科博士課程修了(工学博士)。上智大学理工学部において長年脳科学の研究・教育に携わる。米国イェール大学医学部客員研究員、米国コロンビア大学医学部客員教授として在外研究を行う。これまで脳の社会的認知機能と感情の関わり、精神疾患患者の脳、音楽・演劇における脳活動、とくに内的精神世界の構築、エピソード記憶などの研究を行ってきた。研究手法は脳イメージング・データに基づくネットワーク解析などの最新技術を用いている。現在上智大学名誉教授。近刊:音大生・音楽家のための脳科学入門講義(コロナ社)、音楽する脳と身体(コロナ社)

スピーカー:横山義志[ドラマトゥルク/舞台芸術研究]
ドラマトゥルク、舞台芸術研究(西洋演技論史)。SPAC-静岡県舞台芸術センター文芸部、東京芸術祭リサーチディレクター、学習院大学非常勤講師、舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM)理事・政策提言調査室長。
1977年生まれ。生物学を志したのち、演劇を専門に。2008年にパリ第10大学演劇科で博士号を取得。2007年からSPACで海外招聘プログラムを担当し、30カ国以上を視察。近年、生物学と舞台芸術の関係について考えている。
撮影:松本和幸

第5回 アーカイブ〜その創造性と未来志向
2024年 2月13日(火)19:00〜21:30
圧倒的なエネルギーを持ちながらその時かぎりで消えてゆくライブパフォーマンスと、その膨大な情報を製作段階を含め最大限固定化し活用することのできるアーカイブ。それぞれの特質を踏まえながら、新たに生み出される価値、発展的な関係について考えます。
記憶が呼び覚まされ、感情が呼び起こされるプロセスにおいて、これまでにない創造性や発信性が見出されることでしょう。演劇的な虚構性をはらんでいることにも着目します。

講師:吉見俊哉[國學院大学教授/東京大学名誉教授]
社会学者。國學院大学観光まちづくり学部教授、東京大学名誉教授、東京大学出版会理事長。上演論的アプローチから都市論、メディア論を展開、日本のカルチュラル・スタディーズで中心的な役割を果たしてきた。長く東京大学で教え、大学院情報学環長、大学総合研究センター長、教育企画室長、副学長などを歴任。現在、デジタルアーカイブ学会長、東京文化資源会議会長。主な著書に『都市のドラマトゥルギー』『五輪と戦後』『東京裏返し』『アフター・カルチュラル・スタディーズ』『平成時代』『視覚都市の地政学』『夢の原子力』『アメリカの越え方』『大学とは何か』『博覧会の政治学』『ポスト戦後社会』『親米と反米』等、多数。

スピーカー:松延耕資[作曲家/演奏家(紙カンパニーproject)]
さまざまな音楽に影響を受け、<架空の地方のフォークミュージックを捏造する>ことをテーマに活動。バンド/ソロ活動を通じ自作曲を発表する傍ら、蜷川幸雄演出作品への出演をきっかけに、舞台での演奏、楽曲提供を開始。2020年、親交のあった各分野の専門家らとともに、架空の演劇公演を<あったことにする>技能集団「紙カンパニーproject」を立ち上げ、以降その企画・運営、使用楽曲作成に携わる。

第6回 舞台芸術の公共性と公共圏
2024年 3月12日(火)19:00〜21:30
演劇そして舞台芸術が持ち得ている公共性は、その力を発揮していると言えるでしょうか。私的/公的な領域の変化と「公共」に関する主要な言説に触れながら、「公」「官」だけでなく「私」「民」が持つ力の重要性について確認し、必要と思われる「公共」のありようを再認識します。これまでの連続講座での「権利編」(表現の自由など)、「文化権と法律編」に続き、舞台芸術の本質と社会的な意義を追求します。

講師:内野儀[学習院女子大学教授]
1957年京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(米文学)。博士(学術)。岡山大学講師、明治大学助教授、東京大学教授を経て、2017年4月より学習院女子大学教授。専門は表象文化論(日米現代演劇)。著書に『メロドラマの逆襲』(1996)、『メロドラマからパフォーマンスへ』(2001)、『Crucible Bodies』 (2009)。『「J演劇」の場所』(2016)等。公益財団法人セゾン文化財団評議員、公益財団法人神奈川芸術文化財団理事、福岡アジア文化賞選考委員(芸術・文化賞)、ZUNI Icosahedron Artistic Advisory Committee委員(香港)。「TDR」誌編集協力委員。

スピーカー:萩原雄太[演出家/かもめマシーン 主宰]
1983年生まれ。個人の身体と公共との関わりに焦点を当てた作品を創作。2011年、福島第一原子力発電所事故の避難区域から数百メートルの場所で『福島でゴドーを待ちながら』を上演。日本国憲法を扱った『俺が代』は、2017年ルーマニア国際演劇祭Temps dʼImages Festivalに招聘される。その他の代表作にシアターコモンズ’18に招聘された『しあわせな日々』や、コロナ禍において創作した『電話演劇シリーズ』など。TheatreTreffen International Forum(ベルリン)参加。Asian Cultural Council のフェローとしてニューヨークに滞在。


主催:特定非営利活動法人舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM)
助成:公益財団法⼈セゾン⽂化財団
公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京[東京芸術文化創造発信助成]