Co-Creation Camp」by Next Producers Meeting 公開セッション Camp-2 レポート

2024.12.25


日時:2023年9月18日(月)11:00~12:30
会場:豊岡市街地
スピーカー: 
チーム白昼夢…大蔵麻月(制作)、石坂雷雨(主宰/演出)
チーム譜面絵画…大川あやの(制作)、河﨑正太郎(制作)、三橋亮太(演劇作家)

Camp-2 最終公開プレゼンテーション「わたしたちの共創計画」
本会は、ON-PAMが次世代のアートマネージャーのネットワーク構築や環境整備にフォーカスを当て、共に集い対話し、コミュニケーションをはかる企画として実施している「Next Producers Meeting」(以下、NPM)のプログラム「Co-Creation Camp」(以下、CCC)。CCCはアートマネージャーとアーティストのパートナーシップを見つめ直す企画として豊岡演劇祭と共同で実施した。CCCではCamp-1として東京で7月に実施、Camp-2では豊岡で3日間のキャンプを実施した。

Camp-2では、CCC参加の2団体が豊岡演劇祭を訪れ、一緒にレクチャープログラムを受講したり作品を観劇して感想を交換するなど、コミュニケーションを通してお互いの関係性を深めていった。今回は、Camp-1とCamp-2を通した最終プレゼンテーションとして「わたしたちの共創計画」を発表する。それぞれの団体からこれまでの活動紹介とCCCを経て考えるこれからの活動についてプレゼンテーションが行われる。会の後半では、観客も交えて未来についてディスカッションした。

劇団「白昼夢」によるプレゼンテーションでは、豊岡キャンプに参加する制作の大蔵氏と演出家の石坂氏より発表が行われた。大蔵氏は、CCCを経て団体運営と公演制作の違いを考え始め自分がやりたいことは団体運営であることに気づいた、これからも制作として私がやるべきことは団体運営とメンバーの対話のきっかけづくりだと話した。続いて、東京キャンプを経てメンバーと作成した白昼夢の5ヵ年計画が発表された。それぞれの思いの集積のようにメンバーが個別に計画内容を書き込んだ計画表だが、いくつか共通する部分もある。

この計画を通し、白昼夢の名刺になる代表的な本公演作品を作るのが良いかもしれないとメンバー間で話すことができたのだという。2ヶ月間のプログラムを通し自分たちの現状を認識することができた、CCCにはほぼ2人だけで参加したことにより4人全員が揃って「白昼夢」について考えるのが最適だということにも気づいた。白昼夢は今、再スタートを切り、何かを吸収するのにとても良い状態だと気付いたからこそCCCを経てより良くなることを信じ引き続き活動したいと話された。

劇団「譜面絵画」のプレゼンテーションでは、制作の大川氏と河﨑氏から今後やりたいこと、これからも大切にしたいことの軸となる3つが発表された。ひとつは自分達が考える「新たな切り口」を大切にし、常に時代に合わせた作品を上演したいということ。もうひとつは、国内外問わずリサーチを通して作品創作することに今後は挑戦したい、土地や会場の文脈を引き続き大切にして作品を上演したいということ。最後に「環境整備」について。現在は劇団員が日本各地様々な場所で生活している。これからも彼らと活動が続けられるようにしたい、創作環境をより良くし、良いものを作りたいという思いがある。今後も場の力や人の想像力を信じて作品を作り続けることが今の目標だと話された。

会場の参加者からは、「小規模な公演と大規模な劇場公演との活動の関連性や違いがあれば教えてほしい」、「両劇団ともに特殊な上演形態や繊細な活動テーマをもっているが、アイデアマンがいるのか、そうであればメンバーはそれを受けてどのように反応するのか?」「メンバー集めはどのようにしてきたか?」などの質問が登壇者に投げ掛けられた。白昼夢はまずは劇場でやる大きめの作品を見てもらうことが主軸という。しかし、紙芝居演目「雲男の紙芝居屋」のような小さなものは団体を知ってもらう宣伝として始めたがコロナ禍を経てたくさんの上演機会を得たことで、紙芝居の位置付けも徐々に確立しつつあるとのこと。

いっぽうで譜面絵画は、作品がどの場所にふさわしいかという考え方がベースにあるため作品スペックの大小による作品の位置付けには大きな違いはない、と回答。また、両団体ともに作家、演出家を担う人が多くの場合、創作の起源となる立ち位置となることがわかった。仲間集めについて、譜面絵画は人を集めることも含めて一緒に共存していくことに悩んでいる。大学を卒業して以降はどのように新しい関係性を築いていくかが悩み。長く付き合ってくださる方ともこれからも一緒にやっていきたいと話した。

最後に、2ヶ月間参加したCCCの感想をそれぞれが話した。大蔵氏は、「とにかくメンバーとたくさん話しをした。自分たちの最近の身の周りの話や今回のプログラムの話、どんなことに興味があるのか、価値観や観劇の感想の交換など。CCCに参加する以前はそういうことを“何となく”やり過ごしてきたが、今回のように場が用意されて過ごすことでビジネスパートナーとしてもさらに仲が深まったと思う。譜面絵画と出会えたことも自身にとって特別だった。普段は当日運営の手伝いや制作の勉強として年上の人と交流することが多い。近い世代の人と意見交換したりプレゼンテーションを見聞きする機会が貴重だった」と話した。

石坂氏は、「CCCを通して作品創りの面だけではなく他のプロデューサー、演出家やディレクターから話を聞けたことがとても新鮮だった。そういう面から現在の演劇や演劇祭を見ることを経験したことが新しい楽しみ方の発見になった」と話す。大川氏は、「豊岡キャンプでせっせと劇団のメンバーとプレゼンテーション資料を作りながら取り止めのない話をする時間がとても貴重だった」と話す。自身が仕事で劇団とは離れた地域で暮らすようになったことやコロナ禍の関係で孤独感を感じることもあった昨今だが、CCCに参加し様々な人と出会えたこと、一緒に集まって話す場があるだけで有り難かったという。河崎氏は、「内省をしながら外にも目を向けることを同時に行える機会はこれまでにはなかったと振り返った。

取り止めのない話を他団体の人とする機会もこれまでにはなかったし、関係性を築くという点においてCCCはとても良い機会だった。同じ演劇祭に参加していたとか、同じ大学出身であるとかではなく、少し離れた人たちに出会えたことが今回は特に良かった。横の繋がりの強化以上に、縦の繋がりも含めてより立体的な繋がりみたいなことをCCCで補助してもらえた感覚がある。今後もこのようなことがあるととてもいい」と話した。以上で、7月のCamp-1、9月のCamp-2に渡り行ったCCC2023が終了した。

執筆:鳥井由美子