キックオフ・ミーティング議事録

2013.8.5

3ヵ年計画の紹介

大平勝弘さん(神奈川 STスポット館長)[発起人]:舞台芸術制作者ネットワーク・ミーティング(仮)では以下のような3ヵ年計画を準備しております。全ての内容はまだ仮の段階ですので皆様のご意見をもとに更にブラッシュアップしていきたいと考えています。2012年は目標として組織の骨子をかためるため検討、運営主旨の策定、規約・活動内容案の策定、組織発足の周知を行っています。

また、活動内容としては、発足準備(規約案策定)・運営計画の策定(3ヵ年計画の策定)→発起人による検討会の開催をしました。(6月12日、7月23日)、そして本日、キックオフミーティングの開催(10月22日)、来年の2月に設立総会の開催、正式な発足/理事会および委員長の決定を予定しております(2月13・14日予定)。最終的な規約、活動内容の策定は2月に発表します。2013年は目標として法人設立を目指したテスト・ラン・イヤーとし、任意団体から法人化(今のところNPOを予定している)、地方開催やスカイプ、ストリーミングなど機動性を持った組織として、有機的に様々な出会いを生み出しつつ展開していきたいと考えています。

また、アジアでの有機的なネットワークの場の形成に向けた準備と周知、首都圏中心ではないポータブルで有機的な場の運営スタイルの実践、運営システムの構築と実践を目指し、会員100名程度集めることを目標とします。活動内容としては委員会の開催(年4回以上)、報告会(勉強会)の開催(年2回)、シンポジウムと総会の開催(年1回)、会員親睦会の開催(年1回)、理事会の開催適宜行い、またウェブサイトの立ち上げを行います。ウェブサイトでは日頃の活動、イベント告知、活動をアーカイブしていくことを考えております。

次に、各委員会についてです。委員会は、定期的にそれぞれの主題に対してリサーチ、議論を行なう場として、以下を検討しています。委員会のテーマ候補としては、
①劇場法検討委員会
②アーツカウンシル検討委員会
③助成金検討委員会
④アーティストの活動環境
⑤制作者の活動環境/人材育成
⑥国際交流・共同製作環境検討委員会
⑦アジアおよびインターナショナルなネットワーキング検討委員会
⑧地域との連携の在り方を検討する委員会
⑨「表現の自由」をめぐる委員会

これらの委員会候補について、①・②・③は諸制度についてひとまとめにすることが検討されたり、⑧については公、民劇場や地域プロジェクトなど地域にあるスペースの社会的定着について考える会となることが目的となります。これらはまだ案でイメージを共有するために具体的な言葉をあげていますが、実際にはもう少し数が絞り込まれてスタートすることになると思います。

また、報告会については各委員会での成果を発表し組織全体に提案します。オープンネットワークの象徴的実践の場として報告会はそれを会員全体に周知する機会となります。原則、会員はいずれかの委員会に入ることが望ましいと考えているほか、委員会にはアドボカシ―(政策提言)を具体的に推進させる役割がありますが、2014年に確立していきます。2014年の活動目標は法人設立、アジアでのミーティングの開催、法人設立段階では会員100人を目指しています。

この会員数については2013年の会員が法人化後もそのまま継続していただけるようなイメージです。
活動内容は委員会の開催(年4回以上)、勉強会の開催(年2回)、シンポジウムの開催(年1回)、総会の開催(年1回)、会員親睦会の開催(年1回)、「アジア」でのネットワークをテーマとしたミーティングの開催(2015年以降に、アジアとの連携を意識したネットワークのあり方を検討、実践していく)、パブリックコメント等の発表を考えています。


中村茜さん(東京・大分 株式会社プリコグ代表取締役/NPO法人ドリフターズ・インターナショナル理事)[発起人]:これからの流れのイメージを共有したいと思います。今日発表したことは、本当に第一案の段階です。皆さんの意見を伺って、それを反映させた上で 例えば会費はいくらが妥当かとか、こういう委員会があると良いのではないかといった意見を伺いたいと思います。

2月のTPAMでの本会のときに、再度練り直した案を皆さんに提案させていただき、具体的な委員会の設定や会費の設定をして、来年度どのように動かすかを決めていきたいと思っています。具体的には年間を通じて、委員会というグループの運営が主体となるイメージを持っています。この委員会に参加する方々がそれぞれ、当事者としてテーマを持った活動をする、そこに参加できるのは会員のみであるということを考えています。

例えば2013年は年に4回と出しておりますが、これが果たして妥当な数字なのかというのもまだ見えていません。それぞれの委員会で誰が主体となって動かすのか、どこで動かすのか、何回くらいが妥当なのか、そういったことを検討していかなくてはなりません。そういった意味でのテスト・ランが、来年想定されています。同時に、2014年の具体的なビジョンとして、アジアでのミーティングの開催を予定しています。国際的な動きの第一歩として、アジアでこういったミーティングを開催すると。それに向けた下準備をするというとも、2013年の活動としてメインになってきます。

また、経営システムの構築というのがやはり重要ではないかと思っており、オープン・ネットワークということでだれでも入会・退会できることになる訳ですが、委員会を組織していく、定期的な開催をハンドリングしていく、シンポジウムや総会で、多くの人にこの活動を周知するといったことは、最低一人の従事者が必要であろうと想定していまして、会費を取るというのは、そういった活動に従事する事務局スタッフを置くための運営費用、というのが私どもの今の想定です。

現在はセゾン文化財団さんの助成金を頂いておりまして、今年度は検討会を持つ会が得られました。このような会を持つのも、助成金のおかげで成り立っています。毎年審査があった上ですが、継続できる可能性は3年間頂いておりますので、2013、2014年は助成金を念頭に入れた予算計画を立てていきたいと考えています。
しかし2015年以降は自立した組織として活動していかなくてはなりませんので、そこも含めた会費の妥当性を決めていかなくてなはらないというところです。

丸岡さん:インターナショナル・ネットワークについて補足ですが、このネットワークはオープン・ネットワークとして、一つはサブ・ネットワークを作る、もう一つはネットワーク同士がつながるというのがありましたが、十分・不十分ということは関係なく、ヨーロッパ・北米には顕在化した組織としてのネットワークがありますが、アジアのネットワークは各国に別々にのみにしか存在していないといえます。

しかし、アジア内でのはっきりしたネットワークの必要性を、アジアの舞台人たちは意識し始めています。2014年のミーティングの継続をイメージしたというもので、例えば2014年に日本以外のアジアでのミーティングを開催としたのは、その後に日本以外の人も会員となり委員会を作っていくようにならないか、というようなイメージを持っています。


韓国の舞台芸術の創造環境、ネットワークについて

コ・ジュヨンさん(韓国 フリーランス):いまはフリーで色々なアートプロジェクトのプロデュースをしたり、日本の舞台芸術の交流に関わる仕事をさせていただいております。つい最近まではKAMSという、色々なアートカンパニーを支援する公共の組織で働いていて、色々な現場の人と幅広く出会えるチャンスを持っていました。KAMSで6年以上働いてきたので、みんなが求めているような、ネットワークというのも大袈裟かもしれないのですけれども、そういう集まりが必要ではないかという考えを持ちまして、フリーになってからも具体的に現場でのつながりを持ちつつ、いわゆるネットワークについて考えております。

特に私が興味を持っているのは、いわゆる30代の世代のネットワークです。もちろん自分が当事者であるということも大きいと言えるのですけれども、韓国の舞台芸術で30代のポジションというのが、特徴があるのではないかなと思っています。韓国の文化芸術というのは、公共のリードがかなり強い方なんですね。作品を作ったりそれを流通させたり、国際交流をさせたりというのも全部、政府というか公共がリードしてきています。

こんな風になってきたのは最近10年のことで、その前までプロデュースとか企画者として働いていた人、民間で自分でフェスティバルを立ち上げたり一生懸命プロデュースをしていた私の先輩の人たちは、いまちょうど政府がアートに力を入れるようになってから、公共にスカウトされつつ、結構いいポジションで仕事ができるようになったんですよ。でも、私の世代は最初から公共の関わりで仕事をしたスタッフとして仕事を集めて、それが10年とかになっちゃうと、公共組織という組織の特徴ですが、いくら頑張っても自分は意見を決められないっていう、その限界が見え始めたんですよね。そこから、私みたいな年齢の人たちがそこに並んできて、そこからこの現場を離れていくというケースが多くなってきております。

公共の力が強いから、政権が変わったり、リーダーが変わったり、政策が変わったりすると、組織自体がなくなったりもするし、全然違う組織になったりもして、今まで10年やってきたのが全部台無しになったりしたり、仕事をなくしたとか、そういうケースが多くて、そういう公共組織の仕組み上では、いくら頑張っても先が見えないという悩みを抱えている人が多いと思います。何かを作りたいとか、何かを作っている人を支えていきたいっていう気持ちで現場に入ってきた人が、だんだん10年近く経って消耗して消えていくっていう、今のままではちょっとどうかと思って、それをみんなで話し合ったり、悩みを話し合ったり、打ち明けあったりしたいっていう気持ちで、ネットワークの相手を考え始めたんです。

私たちが思っているネットワークは、かなり大雑把ですごく華奢なフォーマットで考えていまして、どうやれば30代の制作者たちが仕事を続けられるか。自分のやりたかった仕事をどうやれば自分のやりたい付加価値で続けられるかをみんなで相談していく、なんか女子会みたいな感じで(笑)話もしたんですけれど、そういう事情とかを打ち明けたりすると、そのあとの段階では、自然に情報とか意見とかをシェアできるようなネットワークになるのではないかと思っています。あと、ちゃんとした組織、ネットワークにはしたくないというのも実は持っています。

なぜかというと、韓国にはすでに舞台芸術プロデューサー協会というのがありまして、もう15年以上経ったのですけれども、当時は私のような考えで始めたのかもしれないですが、だんだんと年をとって組織がちゃんとしてくると、そのネットワーク自体が主眼になってきて、その主眼の利益のために、カンパニーが持つべき助成金を自分のネットワークに持ったりということが起きて、しかも若い世代が入りにくい雰囲気になっていて、そういう組織にするよりは、自然な女子会みたいな雰囲気でやって、そこから何か生まれてきたらいいんじゃないかなと思っています。

あと国際交流の話も出てきましたが、私が話したような大雑把なネットワークが韓国で実現できたら多分、今の世代は国際交流は当然のように起こっているので、何らかの形で国際交流はし始めると思うのですけれども、国際交流と言ったら国の代表になりがちじゃないですか。そういうネットワークではなくて、一緒の仕事をしている仲間、ほかの所に住んでいる仲間という感じで交流ができればという風に思っています。国際共同制作とか交流とか、良い言葉はいっぱいあるのですが、そういったのもその交流から、どこにいっても会える友達がいて、そこから会話をして企画を立てたり制作をしたりという動きが出てきたらいいのではないかと思います。