非営利中間支援の最前線:舞台芸術における中間支援団体の可能性
2026.7.1
日時:3月8日(日)14:00-16:10
会場:YAU STUDIO
ゲスト:実吉威(公益財団法人 ひょうごコミュニティ財団 代表理事)
ON-PAM2026年度 委員会 非営利中間支援の最前線:舞台芸術における中間支援団体の可能性
ON-PAMでは、政策提言を重要なミッションのひとつとして取り組んでいる。「小さな声を大切にする」という理念を重視し、2026年度からは単一の合意形成を前提とするのではなく、迷いや揺らぎを受け入れながら意見を交わすラボ形式の取り組みを進めていく。
この背景には、文化政策・文化支援のあり方がコロナ禍以降、特に大きく変化したことがある。現在の日本の文化政策では、文化芸術の成長産業化が求められるなど、経済との関係性が重要視されてきている。しかしながら、舞台芸術は市場経済に乗りにくい側面があり、改めて文化芸術の存在意義や価値、支援のあり方について考える必要に迫られている。
今回は、2026年度より始まる「対話ラボ」のキックオフとして、さまざまな分野のNPOを支援されているひょうごコミュニティ財団の実吉威氏を招き、改めて中間支援のあり方を考え、公的資金だけでなく、多様な資金を集めてそれを再分配していくために必要な考え方や視点について、学びと対話を深める場を開いた。
まず、実吉氏は昨今の文化政策の状況を踏まえ、「国立の文化施設に対して収益性が求められるなど、『稼ぐこと』が強調される状況にある。こうした状況の中で、どのように価値を発信していくかを考える必要がある」と述べた。実吉氏は、阪神・淡路大震災(1995年)をきっかけとして、これまでNPOの分野で中間支援に携わってきた。現在活動している公益財団法人ひょうごコミュニティ財団は、複数の中間支援組織が連携して設立したものであり、寄付を集めて地域で活動するNPOに再分配する役割も担いながら、資金以外の相談・伴走支援や人材育成、ネットワークづくりも行っている。
ON-PAMとの共通点として、
①プレーヤーというよりコーディネーターであり、目立たないが大切な役割
②ネットワーク組織であること
③事業収益に頼りにくい
という3点を挙げた。中間支援組織とは、現場で活動する団体がよりよく活動できるように、資金・人材・情報などの資源をつなぐ役割を指す。裏方として目立ちにくく、その必要性が社会に理解されにくい側面があることが指摘された。
続いて、非営利活動の財源に関する具体的な説明が行われた。非営利活動の財源を「会費・寄付/補助・助成/事業収入/受託収入」の4項目に分類し、より安定した活動を継続するための指標を示した。「会費・寄付/補助・助成」は「支えてもらう財源」であり、「事業収入/受託収入」は「稼ぐ財源」と分けられる。それぞれの財源に特性があり、持続的な運営に繋げるためには「大切なのはバランスで、どれか一つに偏るとリスクが高まる」と述べた。ON-PAMの2024年度の財源を事例として取り上げ、全体として委託事業の比重が大きくリスクが分散されていないこと、「寄付がほとんどない点については、今後の発展の余地がある」と分析した。
財源について考える際、財源の種類によって評価されるポイントが異なることも、重要な視点のひとつである。寄付は「社会からの共感や信頼」、助成金は「公益性や社会的意義」が評価される。一方で自主事業は「サービスの価値や満足度」が指標となるため、収益を重視するあまり、本来の活動の目的からずれてしまう可能性もある。また、財源の現状を把握した上で、今後の方向性を考える際には、「理想と現実は分けて考える必要がある」と実吉氏。「中間支援は社会にとって必要なインフラのひとつであるため、本来は公的な支援がもう少しあっても良い。しかし現実には、収益性や成果が強く求められているため、短期的には現実に対応した運営が必要」と述べた。
最後に、「中間支援は人と人、資金と活動、情報と現場をつなぐことで、社会の中で資源を循環させる役割を担っている。現在の社会では、経済的な価値が重視される傾向があるが、非営利活動や文化芸術には、経済的な指標だけでは測れない価値がある。その価値をどのように可視化し、社会に伝えていくかが、今後の大きな課題」と締め括った。
会の後半では、参加者から寄付を募るための方法について質問する声が複数上がった。実吉氏は「皆さんはこの仕事が面白いと思ってされているので、その面白さを一般の人に伝えることもできるはず」と期待を込めた。また、どのように寄付者と出会えるか、という質問には「常に、寄付を求めているということをチラシやウェブサイトなどで示しておくこと。すでに公演を通して多くの数の人と出会えているので大きなアドバンテージをお持ちのはず。「支えてほしい」というメッセージをきちんと伝えることが重要」と答えた。
本会を通して、中間支援組織の活動の必要性を社会に伝えていくことの重要性が改めて認識された。財源と活動のバランスを踏まえ、ON-PAMや参加団体の方針について考える契機となった。
参考:https://www.jnpoc.ne.jp/wp-content/uploads/2026/01/12noshiten.pdf
執筆:平岡あみ